第四章:ユルリカ解放戦線編

第15話:妖精の一族

帰りの道中は特に話すこと無いのでカット。

強いて言えばロボットの素材が集まったからアマツさんに送った。

届くのは5日後位になるらしい。仕事が速くてマジで助かる。


後日俺等がカルロスに到着した時、街中で歓声が上がった。


一般人A

「あれが超新星、キリヤマだ!」


一般人B

「超新星万歳!」


メガネかけてる冒険者

「俺は始めからこうなると知っていたぞ。」


一般人C

「キーリッヤマ!キーリッヤマ!」


一般人D

「キリヤマはこの街の誇りだ!」


「ここまで持ち上げられるもんかね。」


タチバナ

「行きの時にお前から聞いたけど、

 お前魔王直属のやつ倒すの2回目だろ?」


「それでここまで歓声が上がんのか。」


タチバナ

「魔王直属の奴が倒されるのって滅多に無いからな。」


受付嬢

「お待ちしておりました。国王様がギルドにて、待機しております。」


「国王が!?」


本当に突然のことだった。国王が俺等のために直々に来るなんてな。


頭が真っ白になりそうになりながら、ギルドにたどり着くキリヤマ一行。


メルナード王

「我が名はレヴンタス・B・メルナードである。

 此度のそなた等の活躍、見事であった。」


何だこの緊張感。言葉の一つ一つに"威厳"と"重み"がある。


メルナード

「そなた等の実力を認め、キリヤマ・レイを神級冒険者とする!」


(えっ、神級?それって一桁いるかいないかっていうあの?)



メルナード

「そしてタチバナ・ユウキを龍級冒険者とし、

 その付き人、ミラを王級冒険者する!」


(こいつら、龍級と王級?)


メルナード

「そして、キリヤマを筆頭とするこのパーティを、

 "神級のパーティ"とし、その権利を使用することを許可する!」


一般人&一般冒険者

「うおぉぉおぉ!!!!!!」


莫大な歓声が巻き起こる中ー


「ユルリカちゃんは?」


ユルリカ

「いいんですよ、キリヤマさん。」


ユルリカちゃんが小声で囁く。


「ユルリカちゃんは!?」


メルナード

「口を慎め、転生者。我が伝えに来たのはこれだけだ。」


「おい!待てy...」


タチバナ

「よせ!気持ちは分かるが今じゃねぇ!」


タチバナはキリヤマの顔を地面に押し付けた。

その前を王、メルナードは堂々と立ち去った。


ー王が立ち去った後ー


「どういうことだ!ユルリカちゃんの階級は!?」


受付嬢

「一等級冒険者のままですよ。」


「どうしてだよ!ユルリカちゃんがいなかったら今頃俺死んでたぞ!」


受付嬢

「いい加減、自分でも気づいているのでしょう?」


「クッ...」


受付嬢

「ソイツが、薄汚れた"テラルドの一族"だからですよ!

 史上最悪の謀反を起こした汚れたカスみたいな一族!

 正直、同じ空間に居たくもない!」


「だからってユルリカちゃんは何もしてねぇだろ!

 ってかそもそもユルリカちゃんは何も汚れてなんz...」


ユルリカ

「もういいんです、行きましょう。」


ユルリカちゃんが笑顔なのが余計に俺の心を締め付けた。

先程の歓声が嘘の様に、帰り道は静かだった。


「どうなってんだよ!おかしいだろ!」


ミラ

「あの反応が正常なんですよぉ、テラルド族っていうのはぁ。

 むしろユルリカさんが族長の娘だから、冒険者を続けられているんですぅ。

 それが国にとっての最大の譲歩なんですよぉ。」


タチバナ

「お前の気持ちもよく分かる。だが、無策で突っ込むのは無しだ。

 やるなら徹底的に、だろ?」


「だな。テラルドの身分を市民と平等にする。

 王に直談判だ。いざとなったら戦闘も惜しまない。」


ユルリカ

「ちょっと待って下さい!テラルドのためにそんな事...

 それじゃあキリヤマさんたちまで嫌悪される事になりかねない!」


「なぁ、ミラ、タチバナ。お前等テラルド族ってだけで、

 ユルリカちゃんを軽蔑する奴に歯向かうの怖い?」


タチバナ

「いいや。」


ミラ

「全然ですよぉ。」


「俺等の意見はこうだけど、それでもしてみない?」


ユルリカ

「復讐はしたくないけど...

 テラルド族にも人として生きられる権利が出来るなら、私やります。」


「よく言った。その一言で俺は戦える。」


まずはあまり目を向けていなかったテラルド族の実態を知ることにした。


ユルリカ

「"妖精"と呼ばれる族って言うのはたくさんあるんです。

 中でも有名なのが"エルフ"ですね。エルフは...テラルドの謀反から国を守り...

 魔王の討伐に成功した、崇高な...一族...なんです。」


「嫌だったら無理しなくていいよ。」


ユルリカ

「...」


沈黙をかき消すようにミラが話を切り出した。


ミラ

「あくまで一般が知っているテラルドの印象、

というよりも語られてきたおとぎ話にはこうあります。


テラルド族は元々王に仕えていた妖精の一族でした。

しかし、エルフ族の台頭もあり、テラルド族は段々と勢力を失っていきます。

そして、元々弱小だったエルフが日の目を浴びるようになりました。

こうして、段々とテラルドとエルフ族の立場は逆転していったんです。

すると、テラルド族は段々とエルフ族を恨むようになります。

そしてあろうことか、魔王軍と結託して謀反を起こしました。

ですが、エルフの力はテラルドを優に超えており、王国軍とエルフは、

テラルド族を圧倒して、ついでに攻めてきた魔王も滅ぼしたのでした。

こうして、エルフの一族は王に仕える崇高な一族となり、

テラルド族は王都から追放されました。

だからテラルド族には何をしても構わないと。


これが大まかな話の内容です。」


「随分と偏った話だな、胸糞悪ぃ。てか魔王って一回倒されてんの?」


ミラ

「ええ。魔王はやられるたびに新たな王を作るんですよぉ。


「じゃぁ俺等が魔王倒しても意味ないんじゃ?

 なんなら幹部倒した所で大した意味も無いんじゃ...?」


???

「ありますよ。」


キリヤマ宅のドアを開け、子供が家に上がってきた。


「誰だアンt...」


ミラ

「これはこれはメイナード王子!?何用で此処まで!?」


「王子!?って事はこの男の子...」


メイナード

「おじゃまします。突然の訪ねてごめんなさい。

 僕がメルナードの息子、第一王子のメイナードです。

 父親と名前が似ててごめんなさい。分かりづらいでしょう?」


「こんにちは...ちなみにおいくつで?」


メイナード

「8歳です。」


「お前、8歳に身長追い抜かれそうなんだな。」


タチバナ

「うるせぇよ!」


メイナード

「フフフ、賑やかな方達ですね。」


「本当に、王子様が何のご要件で?」


メイナード

「要件は一つだけ。父上を止めていただきたいのです。」


それは、本当に突然の事だった。

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