第11話:謎のおっさんと少女

俺ら四人はそれぞれ情報収集することになった。

皆で別行動ってことなので俺は今温泉にいるよ^^昼間から温泉は贅沢ですね。

ちなみにサボりじゃないぞ。早速体を洗い流して...温泉に浸かる。


「あ"ぁ"〜...気持ちええ〜。」


サボりじゃないぞ!人が集まる温泉だからこそ、

色んな人に自然に話しかけられるわけだ。ま、

適当にそこらのおっさんに話しかけるか。


「最近物騒らしいですね。」


ニホニアのおっさん(以降おっさん。)

「だなぁ。なんでも殺人事件が多発しすぎてるとかでよぉ。」


「実は僕、異国の冒険者で、その事件について調べてるんスよ。」


おっさん

「ホントかい!?そりゃやめときな。アンタ死ぬぜぇ?」


「と、言いますと?」


おっさん

「いやぁ前にもよぉ?外国の一流冒険者一行が来てなぁ、王級冒険者、だっけかな?

 が、真相までたどり着きそうだったらしいんだがよ?

 どうやら殺されちまったらしいじゃねぇの。」


「なるほど、死因をお聞きしても?」


おっさん

「死因は、他の事件と同じやり口だ。腹に穴が空いてたんだとよ。

 それも直径30cm位で、鎧ごと綺麗にな。」


「なんでそこまで情報持ってるんすかね?」


おっさん

「おっと、俺を疑ってんのかい?言っとくがこの国の民は皆知ってると思うぞ。

 国民には情報共有されるからな。」


「それはそれは。疑ってすいませんでした。」


おっさん

「良いってことよ。ま、そんな国事情だから、関わるのはやめときな。」


「いえ、やることはやりますよ。情報共有有難うございました。」


おっさん

「...アンタ、死ぬなよ。」


「ええ。お気遣いなく。」


まあまあカットしているが、結構話した。

今思えば耐久力を上げればいい話だったがのぼせそうだったし、

何より夜にまたしっかり浸かりたいので俺は温泉を後にした。


...さて、別れてから五時間が経った頃。集合時間だ。

おっさんと喋った後はお土産を買い漁ったり射的したり、

りんご飴買ったりして時間を潰した。

まず最初に集合地点にたどり着いたのは俺。だって温泉地だもんね。

時点でユルリカちゃんが来た。


ユルリカ

「お待たせしました。」


「ううん。待ってないよ。(本当に待ってない)ユルリカちゃんは何か収穫あった?」


ユルリカ

「ありましたよ。調査結果は皆集まってからにしましょう。」


「そうだね。」


チッ、二人でイチャイチャしようと思ったらタチバナが来やがった。


タチバナ

「なんでお前もう浴衣着てんだよ!?」


既に温泉入ったからとか言えない。とか思ってたら奥から走ってくる音がした。


ミラ

「すみませ〜ん。遅れましたぁ!」


「よし、情報共有するか。」


宿へ向かい、部屋内で会議するキリヤマ一行。


 「まずは俺からね。俺がわかった事は、

 皆腹にきれいな穴を開けられて殺されているらしいってことだ。

 真相にたどり着きかけた王級冒険者が、

 纏ってた鎧ごと貫かれていたって話しだから、

 かなりの威力であな開けられたんだろうよ。それと、

 国民には大体の情報が共有されてるらしいぞ。」


タチバナ

「そうなのか?俺が適当に聞きまわったけど、

 詳しいことは知らないって人が多かったぞ。」


「え?そうなのか?」


ユルリカ

「そうですね。」


ミラ

「私もそうだったと思いますぅ。」


(じゃああのおっさん何で色んな情報知ってたんだ?)


ユルリカ

「続いては私ですね。」


「よっ!待ってました!」


ユルリカ

「事件があった周辺に住んでいる人たちに伺ったところ、事件があった当時、

 ニホニアの人ではない少女がいたらしいです。

 以降その少女について周辺住民に伺ったところ、

 その日以来は誰もその少女を見ていないらしいんです。」


タチバナ

「つまり少女が事件の何かしらに関わっている可能性があると。」


「或いは...少女が犯人だった。とかな。」


ミラ

「いやいや、まさかぁ...」


「次は誰行く?」


ミラ

「次私が行きますねぇ。私が得た情報は、殺されている人の共通点ですぅ。」


「なるほど?」


ミラ

「殺されてる人は皆"鍛冶師"や"発明家"等の技術者であるということですぅ。」


「技術者?」


ミラ

「えぇ。ニホニアの技術は世界でも群を抜いて高いのでぇ、

 ユルリカ様からの意見を聞く限り、それを妬む他国からの攻撃ではぁ?

 と考えましたぁ。」


「そっちはそっちで情報共有してたのね。ってか他国からの線もあるのか。

それを守ろうとした冒険者も対象っぽいのか?タチバナはなんかあるのか?」


タチバナ「無いな。」


俺「そうか。」


タチバナ「うん。」


「ってオイ!無いな。じゃねぇよ!」


タチバナ

「情報共有ならしたじゃん!?」


「したか?」


タチバナ

「おうよ。「「俺が適当に聞きまわったけど、

 詳しいことは知らないって人が多かったぞ。」」って言ったじゃねえか!!」


「ただの無能証明だけじゃねえか!?あと逆ギレすんな!」


二人はくだらない言い争いを始めた。


ユルリカ

「まぁまぁそのぐらいにしましょうよ。」


俺「そだね。」


キリヤマは笑顔で殴りかかろうとしていた手を止めた。


「状況を整理しようか。


・犯人はニホニアの技術者を狙う。

・被害者はどれも腹に穴を綺麗に開けられている。冒険者は鎧ごと。

・⇧により、かなりの威力で攻撃されたと予想される。

・俺が会ったおっさんは何故か事件に詳しい。そして嘘をついた。

・事件当時の現場周辺には謎の非ニホニア人少女が発見された。(複数の目撃証言)

・事件時以外の少女の目撃証言は無い。


っていうのが今分かってる事だな。」


タチバナ

「ん〜。見てみるとキリヤマが会ったおっさんってのが気になるな。」


「そうだな。今日は暗くなってきたし、明日探すか?」


タチバナ

「いや、それはやめておいたほうがいい。この世界の夜は長いからな。

 事件に足を踏み込んでる奴らも殺されるってことだから、

 俺が思うにおっさんは情報共有された何かしらの技術者だ。

 そして今日そのおっさんが殺される可能性も捨てきれない。

 何より、事件はいつも夜に起こるからな。」


なるほどな。あのおっさん、結構な重役なのか?


〜数時間後〜


「ま、おっさんの前に温泉だよなぁ〜」


夜になり、温泉にて身体を休めるキリヤマとタチバナ。

(当たり前だがミラとユルリカは女湯)


「あ"ぁ"〜...気持ちえぇ〜。」


タチバナ

「だな〜。」


「何ならまた温泉におっさんいてくれたら助かるんだけどな。」


タチバナ

「な。」


おっさん

「お、外国の兄ちゃんじゃん。今は二人なんだな。」


「ああ、おじさん。昼ぶりですね。」


おっさん

「そうだな。夜もここで合うなんて奇遇だな。」


「そうっすね。」


タチバナ

「お前昼にもこの温泉にいたの?」


「あっ」


タチバナ

「あっじゃねーよ!なに先に入ってんだよ!調査さぼんなよ!」


「お前が言うな!」


おっさん

「まあまあ、落ち着いて。せっかくの再会(昼振り)だし、

 楽しく話そうや。それとも何だ?また事件についての事でも話すのか?」


タチバナ

「ん?お前この人から情報もらったの?」


「そうだけど?」


タチバナ

「じゃあ俺らが探してる人この人?」


「そうなるな。」


タチバナ

「そっか。」


「うん。」


タチバナ

「この下り前もやったか。」


「うん。」


おっさん

「仲良いんだなアンタら」


俺&タチバナ「良かねーよ!」


おっさん

「ハハハ、スマンスマン。で俺を探してんだってな、あんちゃん。」


「そうそう。おじさん何者なんです?」


おっさん改めアマツ

「隠すつもりはなかったけどな。良いだろう。教えてやる。

 俺ぁこの国一の鍛冶師兼彫金師、ヤマヒコ・アマツだ。」


タチバナ

「えぇ〜こんなおっさんが?確かにお前が会った人が技術者だとは予想してたが...」


「まあ確かにどう見てもただのおっさんにしか見えないよな。」


アマツ

「失敬な!これでも俺の打った刀は国宝になったりしてんだぜぇ?」


「マジか!えっとじゃあ、俺の刀を打ってくれたりとかは出来たりします?」


タチバナ

「何の脈絡もねぇし唐突すぎだろ!そんなん許可するわk...」


アマツ

「ガッハッハ!良いぞ。」


「即答あざっす!」


タチバナ

「いいのかい」


アマツ

「だがまぁ、今の状況じゃ無理だな。

 ココ最近の事件のせいで刀打ったら殺されちまう。」


「そっか、狙われてるのはアンタら技術者だもんな。」


アマツ

「そゆこと。しかもこの国一の鍛冶師だからな。」


「よく今まで生き残ってたな。」


アマツ

「まぁ鍛冶場から離れて一般人に紛れ込んで生活してるからなぁ。

 技術者が二人以上殺された時点で、

 国からこれ以上何もすんなって言われてるからよ。」


タチバナ

「なるほど。確かに顔は一般人だから何もしなきゃバレないか。」


アマツ

「そうそう。ついでに温泉も入りつつ敵の注意から逸れてるって訳。」


「あっそうそう、何でアマツさんは俺に嘘ついたんです?」


アマツ

「嘘?」


「ええ。一般にも情報は共有されるって言ってたじゃないですか。」


アマツ

「されてないの?」


タチバナ

「おう。事件が起こってるってこと以外民衆は何も知らないぜ。」


アマツ

「じゃあ何で俺に情報が回ってきたんだ?」


「国一の鍛冶師だからでは?」


アマツ

「その線があったか。」


タチバナ

「えっ、嘘。気づかなかったんすか?」


アマツ

「全然気づかなかったわ。なるほどのぉ〜。」


「まじですか、アマツさん。」


アマツ

「んまぁ、そういう訳で俺ぁ、刀を打つことができん。

 もしあんちゃんたちが事件を解決するってんならありがたいが、

 会って間もないけど、正直あんちゃんには死んでほしくない。

 知ってる人が死んだ報告なんざ聴きたかねぇ。」


「つっても、クエストは受注したんで、

 今更引き下がるってわけにも行かないんですよ。」


タチバナ

「じゃあ事件解決にとっとと向き合えってことか。」


「そうだなぁ。どうやって犯人の足を掴もうか。」


タチバナ

「そうだ。おっさん、刀打ってくれない?」


アマツ

「打てるなら打ちてぇよ。今も腕が鈍っちまわねぇか心配でたまらん。

 だが打ったところですぐ殺される可能性がある以上無理なんだ。」


タチバナ

「そこを狙ってきた犯人を待ち伏せれば良いんじゃね?」


「なるほどな。乗った。」


アマツ

「危険が大きすぎるだろ!君達が死んだら俺死ぬの確定じゃん!」


「そこは任せて欲しいです。俺ら4人でパーティ組んでるんで。」


アマツ

「あと二人いたところで変わるもんかね...」


「ええ。俺もコイツも、ミラさんもユルリカちゃんも、すげぇ強いっすよ」


タチバナ

「おうよ。」


アマツ

「う〜ん。分かった。もし俺が生きてたら、アンタに無料(タダ)で刀を打ってやる。

 死んだらその時だ。鍛冶しながらそれも本望だ。

 じゃあ早速、刀に使いたい素材とか渡してくれるか?」


俺「これでいいでしょうか?」


俺達は温泉から上がり山鮫(バクシャーク)の牙とガルムの素材諸々を渡した。


アマツ

「こりゃ一級品だな。でもあんた魔法をたくさん使うタチだろ?

 だから魔力をこの刀に込められるように魔石が欲しいな。

 うちの店は良いやつ大体使っちまったし、他の店で買ってもらうか?」


「俺魔石探してきますよ。」


アマツ

「待て待て気が早いぞ。魔石を刀身に組み込むのは、

 最後の方の工程だから原型は先に作れる。今日は俺が囮になって原型を作る。

 魔石は明日にでも用意してくれりゃ良いから。」


「わかりました。」


タチバナ

「しかしニホニアに来る道中も思ったが、女性陣の風呂は長いねぇ。」


「仕方ないだろ。」


とか話してたらユルリカちゃんとミラさんが来た。


ユルリカ

「キリヤマさ〜ん。今上がりましたよ。」


手を振りながらこっちに駆け寄ってくる。可愛いぃぃぃぃぃ!!!!!!!!

胸が!胸が揺れとりますよ!!!


ミラ

「そちらのお方はぁ?」


アマツ

「俺ぁアマツっつうモンだ。この国一の鍛冶師兼彫金師たぁ俺のことよ。」


「そういうこと。」


ここで俺は、二人にアマツさんのことと囮作戦の事を話した。


ミラ

「なるほどぉ。でしたら私がアマツ様を鍛冶場ごと結界でお守りしますよぉ。」


タチバナ

「それと、念のため周辺住民の避難を済ましとく。」


「助かる。じゃあ急ぎ足で申し訳ないが、

 とっとと準備してアマツさんの鍛冶場に行くぞ!」


ユルリカ&ミラ&タチバナ&アマツ「おう!」

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