第9話:魔王の足跡

てなわけでサイコキネシスができるようになったわけだが...

今考えると重力使えるし、他の能力を選んでいたほうがいいのでは?」

と思うだろう。俺も思う。でもねぇ!利点がないわけではないのですよぉ!

触れたものを飛ばすのはもちろん、形変えられる事に気付いたんですよぉ!?

いつ気付いたのかって?今逃げてる最中だよ!

地面に穴掘って蓋しようとしたところで気づきました。

掘ってて気付いたけどここスラム街っていうより、

馴染み深い都会が砂漠に移転されて廃れたような感じなんだよな。

どう見てもコンクリート製のマンション(?)があるし、

この辺の道路も整備された跡ような...今は気にしてても仕方ないな。

銃弾をなんとか凌いでいるこの現状をどうにか打開しないと...。

てか道路には一度触れることはできてるから、道路操ればなんとかなるのでは...?

物は試しだ。道路ひん剥いて、蛇のようにうねうねさせて攻撃!

みたいなことがしたいが...如何せん敵の位置がわからん。

こんな時は空間魔法ですね。空間内の把握も出来るんですよ。

一番便利な魔法ですわこれ。てなわけで発動!!!


...銃の男の位置はわかったけど肝心の僧侶女の位置がわからん。

魔法範囲内にいないんだろうな。とりま攻撃するか。チッ、マズイな。あの男、

僧侶女の魔法で飛んでやがる。機動力もあるタイプの狙撃手か。

戦闘機以上だなこれ。如何せん左目が消えたせいで、

右目だけで追わなくちゃいけないのが厄介だな。奴もそれに気付いたか。

左側をずっと攻めて来やがる。決めた。ひこうタイプには雷かこおりだよな。


俺「拡散砲雷(リ・デストロイボルト)!!!!!!!!」


この技は砲雷(デストロイボルト)をドーム状に拡散させて放つ技だ。

範囲が圧倒的に広くなる代わりに、

威力と発動時間が大分劣化するのがちょいネックだけど、

智力と魔質を強化した俺にとっちゃ関係ない。

この技を地面から手だけ出して放った。

...銃の男はもろに喰らって気絶してるっぽいけど、女はしっかりガードしてやがる。

地味に男よりこっちの方が厄介なのでは?とっととあの女を気絶させとくか。

スタンガンの最高V(電圧)は100万Vらしい。で、A(アンペア)は最高で5mA。

これ以上出すと最悪の結果を生みかねないらしい。

でも魔法で生み出す電力だから魔法防御力を加味して、

ギリギリの100万Vの5mAを手にまとって気絶させる。

名付けるとすれば"気絶雷拳(スタン・ハンド)"!!!!...安直だな。

ここいらのネーミングセンスと何ら変わらないが...これで行くか。

そう決心し僧侶の女目掛けて飛んだ瞬間...俺の左の脇腹が飛んだ。


「あ"ぁ"あ"ぁ"あ"!!クソ痛ぇ!!!!」

あの野郎、気絶する前に予め数秒経った後、

ホーミング性能ONにする銃弾を撃ってたわけか。


「ちなみにパッと見て状況を理解できてるのは洞察力強化のおかげだぞ。」


ってかあの女、銃の男の回復をしようとしてやがる。おまけに障壁も丁寧に3重。

こういうのは何気に気に入ってる土魔法をぶつけて壊す!


「岩銃(ロックガン)!!!」


3発打てば全部壊れて気絶雷拳(スタンハンド)が決まる!


「喰らえ!!!」


バチチチチチ!!!!!!!!!!


まあまあ痛そうな音が鳴ったがまあいい。体に異常があるわけでもないしな。

これにてこの二人の気絶という目的が達成されたわけだが...

問題はこの後洗脳(?)が解けているかいないかだ。

解けてなかったら現状ユルリカちゃんが助かる道はかなり限られる。

しかしこの星の昼はめちゃくちゃ長いな。まあ地球の2倍の大きさがあるわけだし、仕方ないと言えば仕方ないか。3時間経った頃2人の意識は戻り始めていた。


銃の男

「ん?...ここは?荒廃したスラム街か?」


僧侶の女

「みたいですねぇ。」


「おいお前ら。洗脳は解けたみたいだが、自分たちが何をしたのか覚えてんのか?」


銃の男

「誰だお前?」


「人に自己紹介してほしい時は自分から名乗れ。」


タチバナ

「橘優城。転生者だ。」


ミラ

「タチバナ様の付き人、僧侶のミラですぅ。」


早速キリヤマは目が覚めたミラに折り入って頼む。


「桐山零だ。ってかそうだミラ...さん?唐突で済まないがこの子を治せるか?」


ミラ

「えっ、まぁできますけどぉ...っこれは...重症ですねぇ。危ないところでしたよぉ。

 ホント。...なるほど確かにこの子は私じゃなきゃ治さないかぁ。

 貴方の保存魔法がなければ今頃死んでいたでしょうねぇ。

 かなり強力な気体型毒魔法か...相当な毒魔法の使い手ですねコレェ。

 誰と戦ったのやら...」


その後もブツブツと何かを言いながら回復魔法を施すミラ。

ユルリカちゃんの顔色がみるみる良くなっていく。


「どうやらミラさんが回復術師の中で、TOP3に入るってのは本当らしいですね。」


ミラ

「勝手に言われてるだけですけどねぇ。」


タチバナ

「俺をそっちのけで話してるところ悪いけどよ、

 俺たちが記憶を失ってる間何かあったのか?」


「恐らく洗脳されていたであろうお前等を気絶させた。」


タチバナ

「...また随分と簡潔だな。ってかお前も転生者なんだな。どんな力を貰ったんだ?

 能力か?武器か?金か?」


「本来は味方かどうかもわからない相手に教えるのは嫌だが、

 ユルリカちゃんを助けてくれた礼だ。そのくらいは教える。

 生物以外の力を1000倍から1000分の1まで操れる能力を授かった。

 ちなみに自分は能力の対象内な。」


タチバナ

「何だそのチートじみた能力。」


「神様も元からチート想定で能力与えてんだろうが。つってもまぁこの能力は、

 お前等とかの攻撃力を直接上げることはできないから、

 一人で頑張んなくちゃ行けない力なんだがな。」


タチバナ

「チートにも限度はあるってこったな。ちなみに俺は神器の銃を授かった。

 銃の能力は魔力消費無しで、弾道、弾の種類、射程距離、連射力、同時発射数、

 装填速度を決めて放てる。ちなみにリロードもいらん。まぁ例えば、

 スナイパーライフル並の射程距離と発射速度で、機関銃並みの連射力、

 弾の種類はロケットランチャーみたいな銃が、

 魔力消費無しで無限に撃てるってわけだ。俺、

 転生前はFPSのゲームばっかやってたからエイムはいいんだぜ。」


「何だその小学生が考えたような銃は...」


タチバナ

「まあそんな事は置いといてよぉ、ホントに俺ら何してたんだ?

 この街の調査に来て以来記憶が曖昧でよぉ、覚えてないんだよな。」


「よくわからんが1ヶ月前から消息不明ってギルドから言われてたぞ。

 何の調査してたんだお前等」


ミラ

「一ヶ月もですか。魔王の目撃証言があったので、

 緊急で私達が駆り出されたんですよぉ。

 私はそこで魔王を見た辺りから記憶が無いですぅ。あっ、

 あとこの子の治療は無事成功しましたよぉ。」


「よかったぁ...」


ずっと険しい顔をしていたキリヤマの顔が緩んだ。


タチバナ

「魔王の調査...?そうだ!俺ら魔王を見たんだったわ!」


「魔王を見た?フフ」


タチバナ

「おうよ。魔王がここらへんに現れたから調査に行けって言われてな。」


ミラ

「えぇ。後ろ姿を見たところ辺りから記憶がないので、

 恐らくここで魔王に気づか洗脳されちゃったみたいですねぇ。」


「つまり姿は見えてないってわけか。ンフフ」


タチバナ

「お前さっきからこの子の寝顔見てニヤニヤすんな気持ち悪い」


「いや、だってぇ///かわいいじゃないすかぁ///」


タチバナ

「そか...この子は付き人の子か?」


「ああ。」


碎けた顔から急に真顔になり、キリヤマは俯いた。


タチバナ

「しっかり大切にしてやれよ。お前が。」


「当たり前だ。もう二度とこんな目には合わせない。」


タチバナ

「ていうかその子の名前は何ていうんだ?」


「ユルリカちゃんに色目使う気かテメェ?あぁ!?」


タチバナ

「お前...大分面倒くさい性格してんな。ユルリカちゃんね。OK。」


「覚えて何の意味がある?」


タチバナ

「いやぁ、俺らも冒険者だし?見たところ同じギルドっぽいじゃん。

 今後も何かと縁があるだろうし、覚えておくことに越したことはないだろうし。

 それに、今回助けてもらった恩もあるしな。何時でも恩を返せるようによ。」


「それはユルリカちゃんのこと治してもらったから返してもらったから十分だ。

 あと、ユルリカちゃんだけには絶っっ対色目使うんじゃあねえぞ。」


タチバナ

「わぁってるよ。」


「そんじゃ、俺達は取り敢えずギルドにこのこと報告して帰るわ。

 なんかあったら頼ってくれよ。」


タチバナ

「おうよ。そっちも困ったら呼べよ。」


ミラ

「さようならぁ。では、ご達者でぇ〜。」


今日は大分濃い1日だったな。なのにまだ夕方だ。タチバナ達と別れた後、

事後報告の後、受付嬢と軽く話した。ユルリカちゃんのことでな。

ってか聞いた話だと、タチバナは俺の1個上だったらしい。

いってても13くらいだと思ってたのにな。ムカつくクソガキだと思ってたのにな。

思春期だと思ってのにな。


2日後の朝。


ついにユルリカちゃんが目覚めました。その間やましいことをしてないかだって?

するわけがないだろぉ!紳士だぞこっちは!童貞だけどなクソが!


「やっと起きた!おはようユルリカちゃん!体調は大丈夫そう?」


ユルリカ

「すっかり元気です。わざわざありがとうございます。そして...

 お手を煩わせてすみません。」


「どうしたんだい?そんな暗い表情して。

 俺は君が目を覚ましてくれただけで、すごく嬉しいよ?」


ユルリカ

「ですが町の外なのに私の注意力が足りないせいで、キリヤマ様は片目を失われ、

 そのくせに無理言って出しゃばって、役に立てずに傍観しているばかりか、

 敵にやられ足を引っ張りました。」


「別に何にも気にしてないよ?」


ユルリカ

「私は気にしているのです!あのままだと私恐らく死んでいたのに...

 貴方は優しいから私を助けるために色々なところへ飛び立ち、

 私を助けてくれたのでしょう?私はテラルド族だから、

 そう易々と治してくれる術師なんていないでしょうし...

 その上目が覚めるまでこうして...」


「俺は俺がしたいと思うことをしたくてしてるだけなんだ。

 だから気にしなくて良いんだよ?

 それに俺としては君に喜んで貰ったほうが嬉しい。笑顔の君が見たい。」


ユルリカ

(私みたいな立場の弱い人間を見捨てずに助けてくれて、そして蔑むどころか、

笑顔が見たいと励ましてくれる...私、この人の期待に応えたい。

いつかこの恩を返せるようになりたい!)

「ありがとうございますっ!私、キリヤマさんの付き人で本当に良かったです。」


キリヤマのに笑いかけたその瞼には涙が浮かんでいた。


(何その笑顔反則でしょぉ!可愛いぃぃぃぃぃ!!!!!!!!

その笑顔だけで俺の苦労とか全部飛ぶっっての!)


キリヤマが浮かれていたとその時


トントン


扉からノック音がした。


(今良いところでしょぉがぁ!!!)


そう思いながら扉を開けると、そこにはタチバナとミラがいた。



〜おまけ:空間魔法で出来ること〜

・魔法の効果範囲の指定(被害を抑えたり出来る)

・空間内の敵の位置把握可能

・範囲内の重力や圧力や引力とかの定数の変化(キリヤマに限る)

・空間ごと削り取る等の攻撃に使える

・結界も空間魔法の応用からできている。

・空間を捻じ曲げる。

・ワープ、転送等

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