第8話:サバサバ砂漠のサバイバル

受付嬢の話から推察するに、

サバサバ砂漠のスラム街跡に"ソイツ"(回復術師)がいる。

今だったらユルリカちゃんの意識が朦朧としているので色々やり放d...

いや、なんでも無い。そんなこと言ってる場合じゃない。

にしても水銀糞野郎(テドロ)め。ユルリカちゃんをこんな目に合わせやがって。

次会ったら殺してやる。ってあいつは俺の手で殺したんだったわ...

何ならギルドにいた冒険者も許さん。ユルリカちゃんが何をしたってんだ。

昔にテラルドの族が何か罪を犯したのかもしれないが、

ユルリカちゃんは何もしてないだろ!

ユルリカちゃんが治ったら問い詰めてやるクソ!

しかし、思ったより遠いな。本来サバサバ砂漠へは歩いて2~3日かかるらしい。

だがそんな悠長なことも言ってられない。

その間にユルリカちゃんに万が一のことがあったらどうする...

そんな不安が脳裏に過る。空を飛ぶ以外に早く移動できる手段とか無いのか?

この世界。一刻も早くたどり着かなくてはいけないのに。

なんて考えてたら砂漠が見えてきた。なんだ、空飛ぶのって案外早いじゃん。

さて、ユルリカちゃんの容態は...素人が見てもわかる。大分危ないな。

さっきよりも顔色が悪いもん。

治さなくてもいいから悪化させない魔法とか無いのか...あるわ。

あったわそう言えば。保存スキルがあるじゃん。


 "時間鈍化"


なんでこんなのもすぐ思いつかなかったのだろうか。判断力が無かったんだろうな。

今後判断力のパラメータ上げとくか。っとその前に、

ユルリカちゃんへの確認がまだだったな。


「保存魔法、かけるけど、いい?」


ユルリカちゃんに保存魔法がかかる。つまりはOKということだ。

これで、一時的に大丈夫だろう。残り一時間の余命でも10時間も持ちこたえれる。

何なら魔質を上げた俺なら10000時間耐久できるわけだが...

おい、今読者は「これ戦闘で使えよ」とか思ったかもしれないがそれは違う。

生物以外(死体OK)と、

スキルをかけられる事を望む者以外と魔法には効果がないのだ。

敵に「保存魔法食らってもいいよ。」ってやつはそうそういないだろう。

ってなわけで戦闘では使えない。本来は食品とかの、

すぐ腐ったりするものに使う魔法なのだ。まあそんなことはどうでもいい。

(どうでも良くない)魔法障壁と土魔法でユルリカちゃんを囲い、守っておいた。

万が一何者かに攻撃されてもこちらが気付くようにしてある。

えっ?窒息しないのかって?保存魔法で呼吸ペースは10000分の1だっつーの。

てなわけでちょっとの間砂漠で一人になってしまうわけだが。

辛抱してくれよ?行ってくるからね。俺。


ーあれから何分経っただろうか。

砂漠も思ったより広いなこれ...

ユルリカちゃんの座標はわかっているので問題ないが、スラム街跡なんて、

そう簡単に見つかるのか?ってあるぅ。

砂漠に入って北に行ったらすぐのとこにあったわ。東側の方見てたわ。不覚。

あそこにいるのか。よしとっとと行くか。


キリヤマはスラム街跡に向かって飛んだ。

その瞬間、弾丸が横を通り過ぎた。


「ん?」


あそこに誰かいるのか、と思った瞬間。後ろから撃たれた。いや、

撃たれたんじゃない。さっきの弾の軌道が変わった!?能力なのか魔法なのか。

はっきりしないがこれだけわかる。敵だ。(誰でもわかる)痛い。ものすごく痛い。俺、再生できるからってゴリ押しで行くのはマズイのか?

痛覚とか消せる"〇〇力"みたいの無いのかなぁ。もしくはそういう魔法とか。

って油断してる場合じゃないな。てか敵は誰なんだ?

そこそこの手練れかなんかだと思うのだが...視力1000倍!!!

って、近い近い近い!!!!鼻の穴まで見えてるから!

視力80倍くらいがいい塩梅な気がする。おお、見えた見えた。

ん?子供か?って日本人顔じゃねえか!?日本人顔の種族とかもいるのか?

多分そういうことだろう。小5〜6のやつが、

日本のスペック3%に選ばれるわけないもんな。

敵意も向けていないのに撃ってくるって事は...その回復魔法使いは...

いや、こんなとこで悲観視してる場合じゃないな。とりあえずはこいつを倒す。

てか結構遠い位置から撃ってきてるな。800m位あるか?

今は倒れたふりをしてるからこっちが生きてるとは思ってないっぽい?

仕掛けるか。つっても遠距離攻撃系の魔法あったかな...?作るか。


〜30秒でできる!結構飛ぶ魔法のやり方〜


1.土魔法で筒を作って

2.炎魔法を閉じ込めた弾を作ります。

3.筒の奥に爆発するタイプの炎魔法を仕込んで

4.弾に風魔法を仕込む!


完成!

3を爆発させて4の風魔法で軌道修正しつつ加速させれば届くはず。

速攻で考えた割にはいい案だと思う。


「3、2、1、発射ァ!!!!!!」


おお、飛んでる飛んでる!


ボ"ォ"オ"オ"オ"ォ"ォ"ォ"ォ"ン"!!!!!!


...無事着弾したっぽい。

今のうちに俺の間合いに持っていく!


防がれたか躱されたかは知らんがすぐこっちに撃ってきてやがる。

躱すのは容易だが問題はその後だ。恐らく奴は弾道を変えれる力がある。

魔法か能力かは知らんがな。だから四方八方から撃たれると、

流石に防御や回避に専念しないといけなくなる。そうすると俺は動けなくなり、

耐久戦に持ち込まれる。それだけは避けたい。いや俺なら耐久戦に勝てるだろって?答えはNOだ。あの銃、リロードする気配もなければ弾切れとかもない。

見る感じあいつの魔力も減ってないように見える。

だからあの弾は銃の中で銃によって生成されている(?)と考えていいな。

ともかく隙がない無限に撃てる銃ってことだ。

そりゃ5~6時間は俺でも持つがそれ以降は知らん。

なので障壁張って躱しつつの強行突破に賭けた。躱してる限り感じるのは、

同時に弾道を変えることができる弾には、限りがあるってこと。

それも20発程度だ。それを悟られないために捨て弾打ち続けてんだろうけど。


桐山は1秒でこの考えに至る。


「跳台(バウンド)!!!!!」


※ちなみにこの魔法はジャンプ台を空中に固定するスキルです。

10m位飛べますが、うまく飛ぶと30mくらい一瞬で飛べたりします


空へ飛び立つ桐山。


「からの烙炎!!!!!!」


銃の男目掛けて隕石が降り注いだ。

やつの防御術を加味して死なないであろう程度の威力で放つ。

が、障壁により防がれていた。


俺「これは...お前の魔法じゃねえな。」


もう一人いるな。どこだ?あの女か!って、ん?

アイツの服装どう見ても回復魔法使いだよな。明らかに僧侶的な格好してるもん。

あいつが受付嬢が言ってたヤツなのか?生存確認できたのは良いものの...

人殺しの手助けしてるやつが?えぇ...もしお前だとしたら、本当に味方なの?


「待て待て待て!俺は攻撃する意思なんて無い!(大砲は撃ったけど)

 なんとか話し合いで手を打てないだろうか?」


実際ここでやり合うのは連戦で疲れてるし、

今はユルリカちゃんが心配だから穏便に済ませて話し合いに持ち込みたいんだけど...


銃の男

「...」


ドドドドドドドドド...


男は銃でこっちに撃ってきやがった。こいつは話に応じる気はないようだ。

ていうか表情の一つも変えてない気がする。僧侶の女もそうだな。

よく見たら二人共目赤いわ。洗脳系の魔法でも喰らってるのか?

この二人俺でも捌き切れるかどうか...って待て待て。

これ二人に洗脳魔法かけた黒幕がいるってコトォ!?

だとしたらそいつ滅茶苦茶強いのでは?相当な手練二人相手に洗脳ねぇ...

俺でもできねえぞ?(そもそも洗脳魔法とか覚えてないし聞いたこともない)

気絶させたら魔法は解けるものだろうか。

この二人相手に傷つけずに気絶させるって...大分ハードなのでは?

まず俺は薄々気付いてはいるのだか、この能力あまり活かせてない気がする。

本来結構なクソチート能力と言っても過言じゃないのに、

さっきのテドロ戦なんかも泥仕合だったしな。しかも...

ユルリカちゃんまで犠牲にしてしまった...ここでもっと強くならなきゃな。

じゃなきゃまた今回みたいな事になる...。


「黒煙(ブラックアウト)!!!!」


まずこれでスラム街ごと闇で覆って視界を塞ぐ。

弱点としては俺も見えづらくなるってとこぐらいか。

視力を1000倍強化しても50m先位までしか見えん。

まあ相手もスコープを覗いても何も見えないだろうね。

電気ショックでも与えてやろうか。ん?あの男目を塞いでる?

耳を澄ましてこっちでも探ってんのかな?


僧侶の女

「爆白光(ホーリースパーク)!!!」


閃光弾を超えるであろう圧倒的光がキリヤマの目を襲った。


「目がぁっ!目がぁああぁぁあぁぁぁあああ!!!!」


適応が追いつかない!アイツが目を塞いでたのはこれか!聴力強化!

つっても俺はさっきまで動体視力で躱してたから躱しきれるかどうか...

障壁で防ぎ続けたら前回言ったとおり消耗戦の後敗れるだろうし...

こういうときは全力で移動だ。


「砕岩!!!!!」


※砕岩とは蹴りで岩や地面に穴をあける物理的な魔法(?)である。


俺は地面の中に通り道を作り逃げ込んだ。まぁ当然銃弾はこっち追ってくるわな。

...以前から試してみたかったことをしてみるか。


"超能力"


〜導きの女神と話していたときにふとその言葉が思いついた。


「俺には超能力は無いから何倍しても意味ないんですかね?」


(導)女神

「まぁそうなってしまいますね。」


「そうですか...そこをなんとかならないもんですかね?

 超能力とか操ってみたいんですよ」


(導)女神

「う〜ん...わかりました。なんとかしてみますね。」


「なんとかしてくれるんだ...」


10分後


(導)女神

「えっとですね。神々の診断によると、

 貴方の知っている超能力をお一つ選べることになりました。」


「なるほど。」


(となると王道を取ってサイコキネシスか...。

もしくはパイロキネシス、テレポートや透視も捨てがたい。

テレパシーは使えそうだけど人格歪みそうだからいいや。

パイロキネシスは炎と氷の魔法でなんとかなるやろ。使えるか知らんけど。

テレポートは冒険の楽しみが無くなりそうだから無し。

透視よりもサイコキネシスのほうが使えるから消去法でサイコキネシスかな。)

「サイコキネシスで。」


(導)女神

「かしこまりました。生物以外の触れたものを自由自在に操る能力となりますが、

この内容で大丈夫でしょうか?」


「あっ、はい。大丈夫です、ありがとうございます。」

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