第4話:おや...?

クソ痛ぇ...そんな思いで目が覚めた。

まだ気絶してから間もないだろう。なぜなら腕が出血しているからですね。


ってどぅえぇええぇぇえええぇぇぇええぇええ!!!!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!??????????????????????


右腕がな"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!!!!!!!!!??????????


「痛い痛い痛い痛い!本当に痛い!泣きそうなくらい痛いんですけど!」


本当は転げ回るくらい痛いのだけれど、床は胃液でベトベトで、転がりたくない。

外では爆発音がまあ鳴り響いてますわ。胃袋の中もすごい広い。

多分ドッジボール出来るぞ。ってそんな事気にしてる場合じゃねえ!

さっさとここから出ないと...こういうのは内側から攻撃するのがセオリーだな。

とはいえど片手じゃろくに魔法は撃てない。一発殴るか。

攻撃力と腕力、再生能力、回復力起動!(毎回これダサいんだよな...)


「おんどりゃぁ!」


バシィィィン!!!!!!


胃袋内に衝撃音が響き渡る...


「おっと!?」


重力が反転した!?というよりワニが転げ回っているようだった。

ってそんなのどうでもいいんだよ!最悪だよ!胃液全部かかっちゃったよ!

髪の毛禿げて大変なんですけど!服も汚くなっちゃったし...ってあれ?

腕が戻ってる!?再生能力はたしかにさっき強化したけど、

こんなに早く戻るものなのか...気づけば髪の毛も治ってきていた。

こうなるとこっちのものである。


「喰らえ、さっき覚えた砲雷(デストロイボルト)!!!!!」


ドゴォォォォ!!!!!!!!!!!!!!


バクシャークのケツに巨大な穴が出来た。


「いやぁ、焦った焦った。死ぬかと思ったよぉ。」


そんなことを言いながら出てきたらユルリカは泣いて飛びついてきた。


ユルリカ

「ごめんなさい!わっ私のせいでキリヤマ様の腕が!!!

私がもっと注意深く見ていたらこんなことには!ってあれ?腕が治ってる?」


俺「まあ体質上のあれだから大丈夫だよ。俺が死ぬことなんてないから。

  あっでも、心配かけて、ほんとにごめん。」


ユルリカ

「いえいえ、私がいけないのです。」


というような謝り合いが小一時間ほど続いた結果、

お互いもっとサポートし合って行こうという結論のもと街に帰ることにした。

もちろん山鮫(バクシャーク)の素材回収をしてから。

回収途中に自分の腕が落ちていたのを見て複雑な気分になったのはまた別の話。


ユルリカ

「今日はどこに泊まる予定なんですか?」


「報酬次第で、それなりの宿に泊まろうかなって。」


ユルリカ

「だっ、だったら、私の家で泊まりませんか!?」


願ってもいない提案が来たぁ!ちゃんと人に気を使えて良い子だなぁ...

ここからは慎重に言葉を選ぼう。まずはがめついと思われたらいけないので、

嬉しいけど大丈夫なの?みたいな雰囲気を出しておこう。


俺「えっ良いのかい!?」


何言ってんの俺ぇぇぇ!!!!それだとただのがめつい男でしょうが!!!!

親にも散々言われてきたのに!...

親...そういえば、母さん、父さん、元気かな?

兄ちゃんは、医学部で頑張っているのだろうか?

金子は悪いやつに絡まれてはいないだろうか?また俺を殺した奴らに...

...そっか、皆にはもう、会えないのか...二度と。全部一気に俺の前から消えたのか。それも誰かの身勝手で理不尽に。もっとやりたいことあったのになぁ。死んで、

命取りな世界の中でも一番危険な職業でいきなり始めさせられる、

基本的に死と隣合わせの第二の人生...本来ならクソくらえだ...

俺は別に神を信じていないわけでは無かったから動揺は然程しなかったが、

女神様の前で笑顔を取り繕ったが、きっと内心ぐちゃぐちゃだったの、

バレてるだろうな。あれ?なんか涙出てきた。おかしいな。

泣く場面でも笑っているのが俺だろ。そんな泣く柄じゃないだろ。


ユルリカ

「大丈夫ですか!?何かおかしいところとか無いですか?

 えーと、あれ!?どうすれば!?」


そう。でも、君がいる。俺の何よりも大事な君が。泣いている場合じゃ無いな。

第二の人生、とっとと魔王をぶっ倒して、この子と地球で出来なかったこと、

全部してやる!俺は涙を拭いて彼女に笑いかけた。


「ごめん、元居た世界のこと思い出してつい、ね?」


ユルリカ

(考えてみれば普通、誰だってそうだ。いきなり家族も友人も夢も全部失って、

いきなり死と隣り合わせの世界に連れてこられて、

魔王を倒せなんて命令を出される。自由なんてありもしない。決めた、

私はこの人の苦しみを少しでも無くせる人になろう。一生をかけてでも。)

「そうですよね...」


私はこれ以上何も言わずにキリヤマ様を家へ招いた。ユルリカにとっては、

家に男性(というより客人)を招くのは初めてのことなのである。

キリヤマはできるだけ先程のことを忘れようと努力した。

記憶力を一部無くすことで、記憶から先程のことを消すことに成功した。

だがしかし、キリヤマは一つミスを犯していた...

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