踊り

 実はそんなに好きってわけでもないのよ、踊り。


 だけど、人生で一番誉められてきたような気がするの。踊りが。


 そういう意味で好きです。

 愛されたから好きになるみたいな、消極的な「すき」ですね。



 私の踊り人生はリトミックからはじまり、ラジオ体操、普通のダンス、創作ダンスまで誉められっぱなしでした。ラジオ体操は踊りにカウントしていいのか? いいってことにしてね。


 学校でラジオ体操をやるときに、みんなと向かい合って体操をする「見本係」っていませんでしたか。あれを私はやったことがない。ないんかい。ないんだけど、ビューテホーとよく誉められていました。私のラジオ体操、ビューテホー。


 体育の授業でダンスを習うときには、お手本係にはしょっちゅうなっていました。皆、私の踊りについてこいっ!


 どうも股関節が柔らかいみたいでね。足を高く上げる動作が得意でしたね。そういえばマット運動とハードル走も得意だな。私が誉められたというより、私の関節が誉められていたということなのかもしれない。ダンスで大事なのは関節。



 あと創作ダンスがウケる。みんな笑ってくれる。楽しい。イマジネーションのままに体を動かして、「お題」を表現するのが創作ダンスです。笑いを生みます。


 たとえば「洗濯ばさみ」というお題を出されたら、ダンスで洗濯ばさみを表現するわけですが、それが得意でしたね。なんだ、洗濯ばさみの踊りって。なんだ……? と疑問に思いつつも考えていたら、自然と体が動きませんか。


 ここを読んでくださっている方って、表現者が多いはずです。表現したくなってきませんか、洗濯ばさみを。ほら、ほらほら。


 さあ、踊るのよ!

 今すぐ、そこで、洗濯ばさみのダンスを!!

 おまえのいるところがステージだっ!



 社会人になってからは、ダンスをする機会もなくなりました。

 でも、たまに家でひとり踊ってしまうことがある。どうしたんだろうね。わからないけど、たまに踊ると楽しいね。


 私のいるところがステージだっ!



 まあ、こんなぐあいに。人間は誉められたら軽率に好きになってしまうこともありますから、なるべく子どもたちはたくさん誉められて育てられてほしいものです。そうすればきっといろんなものが好きになるよ。

 いいんだよ、もう、完璧にできなくても。ちょっとできたぐらいのところで誉めてもいいじゃないですか。



 さて、次回でこのエッセイも最終回となりますよ。はっはー!

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