私には妹はいないのですが、妹っぽい感じの女の子はいました。親戚の子なんですけども。

 その子と喧嘩するたびに「お姉ちゃんなんだから、可愛がってあげなさい」と私は叱られて、だから、私はもうそれはそれはメロンメロンに妹的な彼女を可愛がりました。溺愛した。


 年頃になった彼女は、それはそれはワガママな問題児となりました。

 すると、どういうわけでしょう、なぜか私が親や親族から責められたのです。

「おまえが甘やかすから、あの子はああなってしまったんだ」

 ですって。


 え、どうなの?

 親が甘やかした子どもが、なんかアレになるとかならないとか、それはギリわかりますが、姉ぽい存在が甘やかしただけで、そんなことになる? なっとるやろがいって言われたらそうなんですけども。

 メロンメロンに妹的彼女を溺愛したのがいけなかったの? それで彼女が調子に乗ったとしても、そこは成人の皆さんが教育すればいい話では?


 なんで私の責任になっちゃってんのかな~。まあ、ちょっとは責任あるかもだけど。納得いかないな。


 多分ね、あの子は私から甘やかされたからああなったのではなくて、大人から愛をもらえなかったから、ああなったんだよね。大人たちのせいだと思うよ。



 あの子はかなり若いうちに結婚しました。結婚相手の名字が私と同じでさ。わあ、すごい偶然だねって言ったら、「違うよ」って。「お姉ちゃんと同じ名字の人の中から、相手を探したんだよ」って言われて。ああ、そうだったんだって。妹っぽい子ではなくて、本当の妹に、本当の家族になりたかったんだあって。欲していたんだよね、家族を。

 いや、ひょっとすると、本当は私と家族になるということではなくて、私と入れ替わりたかったのかもしれない。そんな気もしています。私の人生なんてろくなもんじゃないよ! って思いますが、でも、それでも欲しかったのかな。私の人生、あの子ならもっとうまく生きられたのかな。



 あの子が亡くなってから、もう何年になるのかなって考えて、うわ、何年なのかとっさにわからんってなって、ごめんねって。申し訳ない気持ちになりました。お姉ちゃんが覚えていないのは酷いことだよね。


 ネットの海に、あなたのことを書いて、残しておくよ。薄情なお姉ちゃんが何もかも忘れて灰になってしまったあとも、残ることを期待して。


 可愛い妹です。


 でもスッピンのお姉ちゃんを山下達郎って言ったことは一生忘れないから。それは溺愛する妹でも許しませんよ! それ以外は全部許すけど。お姉ちゃんのことも許してくれるだろうか。いろいろあったね。


 なんか寂しくなっちゃったな……。


 違う話をしましょうね。

 でももうなんか、山下達郎のことで頭がいっぱいだよ。どうしてくれんの。ねえ。お姉ちゃん、山下達郎じゃないから。ほんと違うから。まったくもー。


 そういえば昔ナンパしてきたオッサン二人組から「若い頃の近藤サトに似てる」って言われて、家に帰ってからネットで近藤サトさんについて調べてみたら、全然似てなくて、お世辞にもほどがあると思いました。そんなふうに言われてノコノコついていくと思ったか! そもそも近藤サトがわからんかったわ! 近藤サトと山下達郎だったら、まだ山下達郎のほうが近いわ! って思いました。

 いや、違うけどね、私は山下達郎ではないけどね。


 私と山下達郎と近藤サトには共通点があります。それは、髪型です。前髪が長くて、おでこを出すスタイルね。ただそれだけで言ってるよね、君たちは。


 今は違う髪型なので、山下達郎でもなければ近藤サトでもありませんよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る