今日は一味違うお姉さん
お風呂、それは一日の疲れを癒す至福の瞬間だ。
今日は帰ってきて早々に真白さんと林檎さんが変身したスケベエルフに出迎えられるという出来事もあったけど、特に何事もなくこうして時間は過ぎて行った。
「気持ち良いわねぇ」
「そうですねぇ」
それなりに大きな浴槽だからこそ、真白さんと二人でお湯に浸かっている。
さっきまで二人で仲良く体の洗いっこをするだけでなく、少しテンションが上がって抱き合ったりと……まあちょっと大人なことをした後だ。
「それにしても今日は驚きましたよ。いきなりでしたもん」
「ふふっ、林檎ちゃんもノリノリだったものね。お隣さんでお世話になってるからせめて癒しだけでもお届けしたいって言ってくれたの」
「……あんなエッチな癒しとは思いませんでしたけど」
ちなみにエッチな癒しというのはあくまで視界に関することだけだ。
元々水商売をしていた林檎さんだからこそ、俺に対してそういう仕草を見せる瞬間はあるものの、俺や真白さんのことを考えて決して間違ったことはしない人である。
「でも……スケベエルフねぇ」
「なんです……?」
スケベエルフとは俺が二人に対して思った言葉だ。
お湯を手で掬いながら肩に掛けるという色っぽい動作をしながら、真白さんはクスッと微笑んでこう言った。
「ほら、エルフってどっちかって言うと神聖な響きじゃない? けれどそんなエルフだからこそエッチなのが良いわよねって思ったのよ」
「……分かります」
「そうよね!」
ゲームの設定をそのまま語ると自然を愛し魔法に愛されたのがエルフみたいなものだろうか。
でも最近はゲームもそうだがイラストなんかでもエッチなエルフって割とトレンドになっており、ツイッターとかを見ていてもそういうイラストを良く見かける。
「私は確かに女だけれど、エッチなイラストとかはよく見るし嫌いじゃないもの。大きなおっぱいのキャラクターとか、それこそエッチ大好きな女の子のキャラとか……全然理解はある方だから安心してね?」
「安心してください真白さん。それ、俺が一番分かってますから」
もうどれだけ一緒に居ると思ってるんですか分かってますよそれくらい。
力強くそう言うと真白さんは更に微笑み、体を俺に向けてチュッとキスの雨を降らしてくる……まるで先ほどの続きをしたいと言わんばかりのキスに、俺は流石に冬の風呂場はマズいでしょうと窘めた。
「……むぅ」
「そんな顔しないでくださいって……」
ただ……真白さんを止めたとはいえ俺も我慢してるんだ。
一つの浴槽の中に真白さんと一緒だし、何もタオルとかで隠していないせいでお互いに全てが丸見えだ。
真白さんの火照った顔、興奮を表すように大きくなっている胸の先端……そしてモジモジと股を動かしているそんな様子だけでも俺に火を付けるには十分すぎる。
「一応、この後も配信あるじゃないですか。だから……ね、真白さん」
「……分かったわよぉ」
めっちゃ不満そうだけどどうにか真白さんは耐えてくれそうだった。
それでも一瞬にして再び燃え上がる可能性も捨てきれなかったため、俺たちはすぐに風呂から上がるのだった。
「……ふぅ~」
冬なのに暑い……真白さんと一緒に過ごすと冬の概念がなくなりそうである。
「今日はもうやることないし……俺も真白さんの配信を聴こうかな」
まあいつもBGMにしながら作業をしているようなものだけど、今日は本当にやることがないのでただの一視聴者として楽しませてもらおう。
今日の予定はASMRということで、告知をした時から恒例の反応の良さだった。
【爆乳メイドの耳かきASMR】
……とまあ、タイトルからも興味をそそるものだ。
真白さんは既に顔出し配信を行っているものの、ASMRに関しては顔を隠しながらやっている。
『基本的に声と雰囲気で想像してもらうから顔は邪魔なのよ。その代わり、少しだけ状況を妄想してもらうために胸は映すけどね♪』
ASMRの時は顔から下をワイプに映すように配信を行うので、タイトルにもある爆乳というワードもいかんなく発揮されるというわけだ。
「あ、そういえば……」
そういえばと思い出したことがある。
実は真白さんとそっくり……というほどでもないのだが、スタイルの良い女性配信者でASMRや胸元を映してゲームをする人が居た。
探せば意外と居るので珍しくはないものの、真白さんという分かりやすく人気だった人に俺という彼氏が出来たことで、そういう似たエッチ系の配信をやっている場所に人が流れたというのもチラッと見た。
「お、始まったか」
真白さんの配信が始まったので、今日は俺も一人のリスナーとして真白さんのエッチなボイスを聴くぞ!!
ということでイヤホンをしっかりと耳に嵌め、目を閉じてその時を待つ……のだがまさかの爆弾発言が飛び出した。
『さてと、恒例のASMRをするんだけどもしかしたらいつも以上に熱が入ってるかもしれないわ。だってついさっきまでたか君とお風呂入ってて……キスまでしたり寸前の行為もしたんだけど配信があるからってたか君が止めちゃったの。それで少し体が火照ってるからいつも以上に興奮出来るのを届けられると思うわ!』
「真白さん!?」
:おぉ~~!!
:たか君うらやま!!
:マシロうらやますぎるぞ!
:定期的に沸くたか君大好きニキはなんなん?
:色々と隠さなくなってきたね!!
:これは楽しみだ!
……もしかしたら、途中で止めたことに対する仕返しだったりするのかなと俺は薄ら思うのだった。
でも真白さんが言ったように、今日のASMRはいつもと違った。
それこそ……傍に真白さんが居ないのに、これでもかと妄想させてくる熱の入った演技に俺はずっと興奮していたのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます