おっぱいで攻めるお姉さん

「俺がブロックされたのはこいつのせいだ……こいつが居なかったら俺はマシロにブロックなんてされてないのに!」


 どこかの部屋でそんなことを呟く男が居た。

 彼はつい先日、推しでありガチ恋中のマシロの配信を見ていた際――何が彼女の逆鱗に触れたのかも分からない間にブロックをされてしまった。

 ブロックされるとアカウントを変えない限りコメントが出来なくなり、今までマシロに届けていた全てのコメントが無駄になってしまったことを意味する。


「くそが……くそがあああああっ!!」


 いや、自分の責任だろうと多くの人は言うはずだ。

 そもそも彼がマシロの嫌うであろう言葉……彼女の恋人でもあるたか君の悪口をコメントしただけでなく、殺すだなんて脅迫にも取れるメッセージを直接送ってしまったのも大きい。


「……俺はただ、マシロが好きなだけなんだよ。こいつが邪魔なだけだ」


 推しに嫌われたことの責任転換をする男の姿は見苦しい。

 分かるだろうか――殺すと酷い言葉を投げかけたくせに、彼は何も反省しておらず悪いことをしたという認識すらないのだ。

 まるで自分中心に世界が回っていると言わんばかりに、男は自分がしたことの間違いを頑なに認めず、どこまで行ってもたか君という存在が悪いのだと一方的に決め付けるだけだ。


「さっきから何をブツブツ言ってるのよ」


 男の部屋を覗いたのは母親だ。

 流石に母親を前にすると男も冷静になるらしく、叫び散らすのを止めて何の用だと問いかけた。


「これ、アンタ宛に来てたわよ。よく分からないけどアンタの名前だから」


 それは一枚の封筒だった。

 誰かからの手紙か……そう思い受け取った男だが心当たりはない――しかし、それを開いた時に男は全てを察し、怒りを後悔が塗り替えるのもすぐだったのだ。


▽▼


 真白さんは基本的に俺に対して何かをしろとは言わない。

 これから先、俺が真白さんのパートナー兼マネージャーのような立ち位置として居るわけだが、本当に真白さんは何かを強制するようなことはしないんだ。

 だからこそ真白さんに甘えてダメ人間にされてしまいそう……気を強く持っていても彼女の優しさと包容力がすぐに溶かしてくるから。


「えっと何々……」


 だからこそ、傍に真白さんが居ない時こそ腑抜けては居られない。

 既に夕飯も済ませ、真白さんがお風呂に向かった段階で俺はノートパソコンの画面を見つめながら作業をしている――具体的に説明すると、真白さんに届けられる案件の整理だ。


「大分慣れてきたな……こっちはこれ。これは絶対にやらないだろうからこっち……こいつは論外だから優先度低め……てか削除しても良さそうだな常識ないし」


 真白さんに届けられる案件整理……これに関してはもう真白さんのお墨付きをもらえるレベルで上手に仕分け出来るようになった。

 以前にも話をした気がするけど、俺の感覚で真白さんは受けるものであったり断る案件を選んで良いって言われてるけど……本当に絶大な信頼を寄せてもらっていることに嬉しくなる。


「ま、それでも真白さんに届けられたものだからちゃんと確認は当然してもらうんだけどね」


 最終的には真白さんが確認するから俺も安心して仕事が出来る。

 ただこうして案件の仕分けをしていると文章の書き方を勉強出来るのはもちろんなんだけど、どういう会社があってどういう案件があるのかなんてことも知れるのでそこんところも凄く楽しい。


「……っ」


 中にはたったそれだけの宣伝でそんな何百万円もお金出すのかってビビるのもいくつかある。

 まあ真白さん以上に登録者の居る配信者は多いし、それこそ一つの案件で億は払われているみたいなのもかつて聞いたことがあるので……本当に配信者というのは成功したら夢のある職業だ。


「ただいまぁ」

「あ、おかえりなさい真白さん」


 ちょうど作業がひと段落しそうに頃に真白さんが戻ってきた。

 髪も乾かし終えてバッチリみたいだが、お風呂上りということで普段以上の色っぽさを真白さんは纏っている。

 相変わらず胸元のボタンを二つほど外すスタイルで谷間を露出させているが、これはもうクセなのかな?


「ねえ真白さん」

「なあに?」


 真白さんは隣に座るでもなく、背後から寄り掛かるでもなく、俺の太ももに跨る形で腰を下ろした。

 ふわっと甘い香りが漂うだけでなく、僅かな動きだけでもスライムのようにぷるぷる震えるお胸様が目の前に来てしまった。


「っ……どうしてボタン外すんです?」

「あぁこれ、キッチリやると若干苦しいからよぉ。でもでも、こうやって見えていた方がたか君にとって目の保養でしょ?」


 よくお分かりで……。

 それならジッと見てやろうと思い視線を固定する――すると、その柔肉は徐々に俺の顔に近付き……むにゅっと触れて包み込んできたではないか。


「たか君がこうされるのを好きなのも大きいわねぇ♪ どう? お姉さんのおっぱいは気持ち良い?」

「……気持ち良いです」


 俺さ……マジでいつか罰が当たらないかってビビってるんだ。

 普通に一緒になれて嬉しいと思える彼女が出来ただけでも幸福なのに、こんな風にエッチなお姉さんがその相手ってもう……もう言葉に出来ねえよ俺は!


「たか君そのまま動かないでね」

「え? はい」

「っ……谷間の間で喋られるの気持ち良いわぁ♪」


 ……黙っておこう。

 言われたように動かないでいるとパシャっとスマホで写真を取られた音が響き、まさかと思って顔を離す。

 真白さんは満足したような様子でスマホを操作し、ニヤリと笑って見せてくれた。


「じゃ~ん!」

「……………」


 真白さんがツイッターに写真を投稿していた。

 パジャマを着崩した真白さんのおっぱいに顔を埋めている俺……もちろん、顔は隠れているので俺だとは絶対に分からないが……これはまた荒れる人は荒れるんじゃ?


『愛する人に幸せをお届けする女の図』


 そんな文章も書かれており、真白さんが嬉しそうにしている表情も印象的だ。

 この投稿に対し早速リプやいいねにリツイートが加速度的に増えていく……取り敢えず一言よろしいか?

 死ぬほど恥ずかしいんだけど!!



【あとがき】


こんなお姉さん好きやろ? そんなことを生意気に思いながら書いてます。


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