おむすび ころりん すっ とんとん

昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

ある日、おじいさんは山へしばかりにいきました。

お昼になりおじいさんは、お弁当を食べることにしました。

ワクワクしながらお弁当を開けるとそこには、キャラ弁、ではなく、おにぎりが3つ入っていました。

おにぎりの上には紙が乗っており、「塩」「こんぶ」「めんたいまよねーず」と書いてありました。


おじいさんは、大好きなめんたいまよねーずおにぎりが入っていると知り、「めんたいまよねーず、きたー!!」と空に拳を突き上げて喜びました。すると背骨がボキッとブキミな音をあげました。


「うっ。いたたたた・・・・」


あまりの激痛によろけた瞬間、塩おにぎりがコロコロと転がっていきました。


「ワシの大事なすい〜とはにー!」と叫びながら、腰の痛みに耐えつつおにぎりの後を追いました。

おにぎりが転がりついた先は、落とし穴でした。

おにぎりはそこに落ちたようです。


「なんということだ。ワシの大事なすい〜とはにー。君がいなければ、めんたいまよねーずのよさが、半減してしまう!!」


おじいさんが穴の前で肩を落としていると、穴の中から声が聞こえてきます。


「美味しい、美味しい、塩握り。もっと食べたい、おい、寄越せ。」


と可愛らしい声で歌っています。

すい〜とはにーを横取りしておいて、もっと寄越せとは何事だ、と穴を覗き込むとズルッと手が滑り、おじいさんは穴の中へと真っ逆さまに落ちていきました。


穴の中は、真っ暗で人の気配はしません。その代わり、いくつもの真っ赤な目がこちらを見ていました。


 「な、なんだ。何事だ」

 「おじいさん、おじいさん。とっても美味しい塩握りをありがとう」


暗闇から声が聞こえます。


「き、貴様らか。ワシのすい〜とはにーをたぶらかしたのは!」

「おじいさん、ここは一つ穏便にいきましょう。残りのおにぎりを渡してくれたら、お土産つきで解放してあげますよ」

「なんと卑怯な。すい〜とはにーをたぶらかした上で、まだ要求をするのか」


しばらく考えたおじいさんでしたが、声の要求を断りました。


「残念です。おじいさん。手荒にはしたくなかったんですが。やれっ!」


掛け声と共に赤い目が飛びかかってきて、あっという間に残りのおにぎりを取られてしまいました。


「ありがとう、おじいさん。約束通り、お土産のつづらをあげましょう。大きいのと小さいのどちらが良いですか?」


「ふん。貴様らからの施しなんぞうけん。ワシは帰らしてもらう」


そういって、おじいさんは、ばあさんの待つ家へ帰っていきました。


後ろでは、おにぎりをくれて土産は要らないなんて、なんて心の広いおじいさんなんだと称賛の声が上がっていました。



めでたし、めでたし。

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