第二部 人助けとヒャッハー!

 クロの案内で、悲鳴のあった方角へ目指す僕。


 「シロ見て! あそこ」

「あぁ。襲われているな。山賊か? テンプレだな」


 街道沿いの茂みに隠れた僕達は、街道で2台の馬車が、山賊らしき者たちに、囲まれて

いるのを発見した。


 「悲鳴は、馬車の側にいるお姉さんな?」

「そうみたいだね。さて、どうしたものか?」


 馬車は、囲まれていて逃げ道はないものの、どうやら悲鳴の主と馬車の行者だけではなく、複数の護衛もいて、山賊と交戦しているようだ。


 「どうするの? シロ?」

「護衛も居るみたいだし、力の弱い僕達が行っても、邪魔になりそうだね。何人か護衛が倒れているのは、気になるけど」


 あれは? 護衛の鎧が焦げているのか?


 「ヒャッハー! 汚物は消毒だ! ファイヤーボール!」

馬車の前方にいる山賊の内、後に控えた一人が、魔法を放った!


 まさか! 山賊のくせに魔法を使うのか!

クソ! このままだと、馬車に直撃する!


 「ロックシールド! アンロック!」

「シロ! 待って!」

スキルを発動して、魔法を打ち消しつつ、不意をついて、馬車と山賊の間に滑り込む、

僕達。


 「ヒャッハー?」

「キャ!」

「「む! 何奴!」」


 突然現れた僕達に、護衛達が武器を向けて来るが、今はそれどこれではない!


 「通りすがりの旅人です! 助太刀します!」

「何を? 怪しい奴らめ!」

「貴様ら! 山賊共の仲間か?」


 あぁもう! それはそうか。突然現れた、ボロを着た、白髪の少年に、顔が爛れた

少女。そりゃ警戒するよな。


 「お待ちなさい!」

「「!?」」


 僕達を攻撃しようとした、護衛達を、悲鳴の主、女性が静止した。


 「先程の魔法を防いだのは、貴方ですか?」

「え? はい」

「シロのスキルだよ! お姉さん!」

「なるほど。シロという方、そのスキルは、まだ使えますか?」


 僕の【固定ロック】は、使い勝手は非常に悪いが、幸い殆ど魔力を使わない。おそらく無限に使えるかも知れない。


 「はい。まだまだ使えます」

「助かります。私達を助けて下さい。私達には、魔法を防ぐ手段が無いのです」


 どうりで、護衛も居るのに、劣勢な訳だ。


 「了解した!」

「さぁ! 皆さん! 魔法は防いで貰え

ます。今のうちにやっておしまい!」

「「かしこまりました! お嬢様!」」

「危ないですので、そこの女の子はコチラに」

「うん! 頑張って! シロ!」


 迷いなく女性に近づき、抱き着くクロ。

やっぱり、大物だな。


 「ヒャッハー! 俺様の連続魔法を喰らいやがれ! 汚物は消毒だ! ファイヤーボール×5 野郎共! 進め〜!」

「「ヒャッハー!」」

「どっちが汚物だ! ロックシールド! アンロック!」


 魔法の数は多いが、幸いにも目で追える。目で追えれるなら、視認した空間に、

【固定ノ盾ロックシールド】を発動すれば、魔法を通さない!

直ぐに【固定解除アンロック】しないと、

大爆発してしまうのは、不便だが。


 ・・・それに


 「ッハ!」「セイ!」「トォ!」

「ギャー」「ぐぁ!」「ひでぶー!」


 遠距離から放たれる、魔法に苦戦していたみたいだが、どうやら山賊よりも、護衛の方が強いらしいな。

良いぞ! コチラが有利だ! このまま僕が

魔法を防いで、護衛に山賊を倒して貰えれば・・・


 「ヒャッハー! 初級魔法を防げたぐらいで調子に乗るなよ? ならば俺様の最強魔法を喰らえ! うぉ〜!」

「!?」


 アイツの目の前に、現れた火球が、どんどん大きくなっていく! 不味い! 先程までと同じ様に、近づいてきた魔法を防いでも、

爆風が凄そうだ!


 だったら!


 「ファイヤーボンバー!」

「ロックシールド!」


 アイツが魔法を放つと同時に、アイツの

目の前に、ロックシールドを発動する!

更に!


 「ヒャッハー?」

「アンロック!」


 ロックシールドにぶつかった魔法に、更にアンロックを重ねる! すると?


 ドッカーン!!!!


 誤爆した魔法は、爆炎を起こして、

魔法使いの山賊を黒焦げにして、吹き飛ばしていった!


 「「ファイヤーの兄貴〜!?」」

「よし! 皆さん! 魔法使いは、倒しました。今がチャンスです」

「「おぉ〜!」」


 こうして、有利にたった護衛達は、残りの山賊達も倒していって、戦いは終わった。


 「ふう」

「やったね! シロ!」


 僕に駆け寄り、抱きついて来るクロ。

「うん。怪我はない? クロ?」

「大丈夫だよ!」


 笑顔で、答えるクロ。


 前の世界の僕なら、人助けなんてありえなかったな。これもクロが気づかせてくれた

お陰だ。


 うん。悪くない。力の弱い僕でも、スキルで人を、守る事ぐらいは出来るみたいだ。


 僕の人生は、まだ平行。


※この世界の魔法について。

 職業やスキル、人により適正や、得意な

属性が分かれますが、基本的に、この世界の住人は魔力を持っている為、学べば誰でも使えます。


 自らの魔力を原料に、イメージを具現化する事で発動しますので、想像力の足りない者や、魔力の少ない物は、今回の山賊の様に単純な火球や、より火球を大きくして、放つ事しか出来ません。


 シロは、職業の補正がなく、スキルも魔法使い寄りではない。そもそも元の世界のステータスでは、魔力が無いので、使えません。

 




 

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