サービスエリアにて発見

中田満帆

忌日




 火柱を跨ぐ少女や秋白し



 夜ぴって書き終わらないト書きある



 草色のルード・ボーイや蠅いずこ



 夜行バス一台ばかりおなじ顔



 友引の鍵穴見つむ少年立つ



 別人のふりして通う鮨屋かな



 ひと攫い飛ぶ夢を見ん冬至なる



 足長き女ひとりや栗拾う



 遠き夏誕生石も砕けたり



 忌中告ぐ葉書の幾多竈に投げ



 中古るの産着の襞によぎる死は



 喃語とてもはや虚しく犬擲てり



 乳足らずの母の貧しき時計売る



 多年草実りなきまま燃やさるる



 柿実り嬰児殺しの記事が飛ぶ



 忘るるという字面はもの悲し



 われひとり罷り越したる御地の雪



 魚石の断面光る夜の宿



 秋晴れの尋ね人欄立ちどまる



 子供靴サービスエリアにて発見


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サービスエリアにて発見 中田満帆 @mitzho84

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