第5話 模倣犯
いいね、工藤クン。とても、いい。
もっとも体育館での一件は見てなくて、人づてに聞いただけ。
こんなことなら、サボるんじゃなかった。
それにしても工藤クンってば、一体どうした? 急に正しい青春のあり方を、模索する気にでもなったのかな。
でも、工藤クンみたいな男子の考えることなんて、謎のままでいい。
あのたくましい腕でギュっとされたら、余計な言葉なんていらない!
はい、自分の気持ちに正直になってるだけですけど、何か?
もちろん、自分のこの「傾向」は、普段はおくびにも出さない。そうしないと、生きていけませんから。
今は多様性を尊重する時代?
どこが?
ホント、偽善者ばっかりで、生きづらい世の中ではあります。
ああ、それなのに、「あいつ」に対してはバレバレだったんだよね。
ほんと、ズルいやつ。
都合よく利用されてるだけなのはわかってる。
けど、あいつの役に立てるのはうれしい♡
で、着信あり。
〈予定通り、明日実行。よろしく〉
あまりに素っ気ない。
これも信頼の表れと思うことにする。
工藤クンの一件で、あいつはご機嫌斜め。
ちょうど目くらましになったんで、いいんじゃないって言ったけど、あいつの考えは違うみたい。
これからやらかすことのインパクトが減るんじゃないかって恐れてた。
そんなの心配し過ぎだって。
とにかく明日の終業式。
善雲学園高校は、とんでもない騒ぎになるのは間違いなし!
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