第二話 未来への始まりの物語②

私が目を覚ますと知らない天井がそこになんてことはなく、第十一部隊内にある救護棟の天井である。


私は幻聴が聞こえて体調を崩して救護棟荷運ばれていた。


(どのぐらい時間が経ったんだろう)


そう思い扉の反対側にある窓を見ていようと体を動かそうとすると違和感を感じた。

なんかおかしくね? と違和感があった部分を見てみるとそこには私のことを心配してなのか信濃先輩がいた、まぁ寝てはいたが。


そして私は最初の目的であるあまり目立ちたくないという事は多分達成できていないだろう。


大通りの近くで起きたことであること、第九部隊の副部隊長である信濃先輩が関わっていることから大いに目立ちまくっただろうと。


私は信濃先輩を起こさないように信濃先輩が寝ている反対側からベットを降りまだが見える位置まで移動した。


信濃先輩が寝ているからもしかしてと思っていたが外はすでに暗く外を歩いてる人を見かけないぐらい遅い時間であった。


「寝すぎた……」


そうボソッと呟いたはずなのに狐族特有の耳がぴこんと動き、


「あれぇ……、みゆちゃん体の方は大丈夫……?」


信濃先輩は寝ぼけながら聞いてきて私はそれに対して、「大丈夫です」と返すと、「そっか」と反応した。


そして信濃先輩はベットをポンポンとたたき、


「ほら病人は大人しく寝ておきましょうね」


「……私、さっき大丈夫って言いましたよ」


そう言うと信濃先輩は頬を膨らませて可愛く、


「それじゃぁ少しお話しましょう」


私は気になることがいくつかあったのでその話に乗り、真夜中の救護棟でのお話し始めた。


始めの方の話の内容は私に対する質問だった。


「みゆちゃんはいつから第十一部隊に所属し始めたの?」


「今年から第十一部隊に所属し始めましたね」


とか


「みゆちゃんには姉妹とかいる?」


「私は一人っ子なので姉妹はいないですね」


他にも、好きな色はとか好きな食べ物はなどといった特におかしいところのない普通の質問ばかりだった。


話し始めてから一時間は経っているかどうかぐらいのころ合い信濃先輩は私に、


「そういえば今日……って言ってももう日付が変わってるから昨日か、昨日の昼間みゆちゃん私を撒こうとしてたでしょ」


「バレてたんですね……」


苦笑いしながら私は言うと信濃先輩は、


「撒こうとしてたけど何かしようとしてたの?」


と聞かれどうやって返そうかと考え咄嗟に、


「信濃先輩の邪魔かなぁって思ってほかの昼寝スポットを探しに散策してたんですよ」


ちなみに嘘は言っていない、昼寝の場所を探そうと歩いてはいたが、信濃先輩と一緒にいることで目立つから撒いこうとしていたのも事実。


それを聞くと信濃先輩は私を見つめながら、


「ほんとに?」


私はそうですよと言い返したが信濃先輩はこの間もずっと私を見つめていた。


その時昼間の会話を思い出した、


(そうじゃん、私噓をつくときに目が泳いでるって言われたんだ)


昼間信濃先輩と話をした際に嘘をついたらそれを嘘と見抜かれ、嘘ついているときの癖を教えてもらった。


もしその癖を見るために私を見つめていたとなると信濃先輩は私の言っていることが嘘かほんとかがある程度わかる。


そして信濃先輩は私を見つめたまま、


「う~ん、嘘のことは言ってないんだろうけどなんか怪しいなぁ」


癖はでていなかったがどうも話し方に怪しさを感じたのか私の言ったことを疑っていた。


しかし信濃先輩は私が嘘をついているのかどうかなんかには興味ないのか、信濃先輩は私に向かって、


「昼寝スポットを探してるんでしょう。私おすすめの場所知ってるわ」


と満面の笑みを浮かべながら言ってきた。


嫌な予感がしてきた。


どんな予感かって言ったら、今日目立ちたくないからといろいろしていたのにより目立つようなことが起こる気がした。


そんな予感は見事に的中し、


「明日第九部隊内にあるおすすめの場所に行きましょう」


それだけはという内容を提案されてしまった。


私の感は、今このガチャを引けば最高レアリティがと感じて引いても最低レアリティのキャラしか出ないとか混んでる道でこっちの方がすいていると感じて行ってみると全くそんなことはないといった具合に私にとって大事な場面ではとことん外していくのに対して、こういう嫌な予感に関しては外したことはない。


どうして私がここまで嫌がっているのかというと、まず一つ目に第九部隊に行くことでありあまりほかの部隊には行きたくないのだ、その理由は単純で目立つただそれだけ。


しかし今回に限っては一緒に行動するのは現副部隊長でもある夢見信濃であるという事だ、多分目立つとかそんなレベルじゃない話の話題の一つになるぐらいの規模になるだろう。


私は特に上にもいかずにのんびりと昼寝さえできればいいのだ。


目立つ理由がない、だからこの信濃先輩の提案には乗れない信濃先輩には申し訳ないが断らせていただこうと、


「信濃先輩それはありがたいんですけども、」


信濃先輩の顔に泥を塗らないようにやんわりと断ろうとしたら話の途中に信濃先輩が、


「もしかして断ろうとしてる?」


とこちらを見てきた。


その時の信濃先輩は普段は目元が緩くとろんとしているが、今は目を開けて私の方をがっつりとみている。


(は、ハンターの目や……)


そう思い内心びくびく怯えていると信濃先輩は絶対に逃がさないといった覚悟で、


「まさか私と一緒にいることで目立ってしまうからって理由で断ろうだなんてそんなことじゃないわよね」


と私の心の中を読んだのかってくらい今の私の考えを言ってきた。

そして信濃先輩は私に追い打ちをかけるように、


「それとも第九部隊内に入って目立つのが嫌なのかな」


信濃先輩はまたも私の考えを読み私を追い詰めていく。そして、


「それともこの両方かしら」


私は心の中で白旗を振り、信濃先輩の提案を飲むことにした。


信濃先輩は私がこの話を了承したときはいつもどうりの顔に戻っていた。


その後は連絡手段はあった方がいいよねってことで信濃先輩と連絡先を交換した。


何気に自分のスマホの連絡先一号である。


集会にも参加せずに一人で昼寝を繰り返している人からすればこんな寂しい連絡帳は必然的だった。


信濃先輩と話し始めてからどのくらいたったのか明確な時間はわからないが少なくとも日が沈んでいる時間から日が昇り始めた時間であることは確かだ。


「それじゃあ、明日は十一時頃にそっちに迎えに行くからね。逃げずに待ってるんだよ。それじゃあまた明日ね。まぁもう日付変わってるんだけどね」


信濃先輩はそう言い残して笑顔でさった。


(あ~あ、なんか昨日は疲れたな)


そう思いながら横になり、明日のことを考える。


明日は信濃先輩と一緒に第九部隊に行ってそこで昼寝をする……。


(あれ、やってることヤバくね……)


私はこれから起こる出来事のヤバさに気付いた、またそれと同時に、


(しかも迎えに行くって集合場所も言ってないのにどうやって迎えに来るのだろうか)


そんなことを考えたが、これ以上よくないことは起こらないだろう。多分……


そう思いつつ横になりやることがないので約束の時間になるまで仮眠をとった。

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