第13話 作戦会議




「ただいま」


「ただいま」


「おかえりなさいませ、レイ様」


 フィアと一緒に、家に帰ったレイは玄関の前に待っていたミアに出迎えられる。

 いつもは気にならない馬車の揺れに充てられてしまったのか、それとも心労が故かはわからないがレイはふらふらとした足取りでミアのいる方に向かっていく。


「お預かりします」


 そう言われたレイは手に持っていた鞄をミアに預けると一緒に伝言を頼んだ。


「ありがとう。ミア、申し訳ないんだけどバイテさんにご飯いらないって言っておいてくれないかな?」


 気分がこのまま勝手に治ることがないと悟ったレイは一度ゆっくり気を落ち着かせるために今日は早めに寝ることにしたのだった。


「お体が優れないのですか?なら、タオルなどを……」


 それを聞いて、レイの顔色が悪いことにいつもより少し良くないことに気づいたミアが心配そうにレイの近くに寄り添うとレイはあえて気丈にふるまった。


「いや、そんなことはないんだけど……なんかちょっと疲れちゃっただけだから気にしないで」


「そうですか……バイテさんには僕の方から伝えておきますね」


 そして、レイはすぐに自分の部屋に行って楽な服に着替えると倒れるようにして自分のベッドで眠りについた。






 

「フィア、今日は添い寝はやめてね?レイ様本当にしんどそうだったし……」


「わかってるわよ」


 二人はレイが寝静まったのを待ってから、ミアの部屋で二人は以前のように集まって話し合いをしていた。

 王都に戻ってきてから、というかレイがフィアに添い寝をするようになってからだがこんな風に話す時間をあまりとれなかったため、今日は久しぶりの話し合いの時間だった。


「最近の添い寝はどんな感じ?」


 ミアはベッドに座って、足をぶらぶらとさせながら制服から着替えようとしているフィアに声をかけた。


「どんなって……見てるくせにいちいち聞かないでよ」


 フィアはニヤニヤしながら聞いてきたミアに『はぁ~』とため息をついて冷えた目でそう答えた。

 すると、さっきまでのニヤニヤした表情が少しいたずらな感じに変わってミアは短く、


「まあね」


 と答えた。

 フィアが着替え終わり、ミアが部屋を出て飲み物を持ってくると二人は椅子に座って真剣な様子で話を始めた。


「学園の様子は変わりなさそう?」


「そうね。レイ様たちは相変わらずちょっと距離を置かれているみたいだけど、外部進学の女がちょっかいをかけてこないとも限らないから気を付けておくわ」


「それならいいんだけど……なんかレイ様ちょっと変じゃなかった?」


「ああ、それは……」









「……ってこと」


「はあ~~~~~もうフィア…あんまりやりすぎはだめだよ?」


 フィアが今日あったことを詳しく詳細を話していくと、途中からミアはあきれたように頬杖をついて話を聞いていた。

 もともとの予定では、フィアがレイに依存している様子を見せることで他の女たちやレイの恋人という女を近寄らせないようにして、レイの意識を自分に向ける役。

 そしてミアは、レイに『自分にいるのは二人だけ』という意識を植え付けるために相談に乗ったりすることで頼れる人間を自分たちだけにするために立ち回る役だった。

 そのため、今日の流れはミアたちにとって好都合ではあったがレイの体を案じて今日一日は安静にしておくことに決めた。






「…その外から見てた人って例の恋人さんかな?」


「それか、また別の女か……」


「ま、これで諦めてくれたら好都合だね」


 学園の空き教室の中にいた二人を見ていた誰かがレイを見ていたのか、それともフィアを見ていたのか、それはわからないがどちらにしろフィアにとって邪魔なのは間違いなかった。 


「恋人の時間が長い方が結婚してからうまくいくって言うでしょ?」


「気長にいこうよ」


「ふふ、そうね」









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すいません。色々あって時間が取れませんでした。

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