第3話

流れでお風呂に一緒に入ってしまったが、相手は一応男の子。ドラゴンだけど…


「先湯船入る?」


『ゆぶね?なにそれ』


「これこれ。この中に入ってるのが湯船」


入ったこと無かったのか。まさか一緒に入っていると言っていたのにシャワーだけだったとは…


「温かいよ?」


私はドンを持ち上げ水面に足が触れる程度まで下げてみた。ドンの反応はびっくりしたあとに温かい事が分かったらしく足をパタパタさせた。

ただ、人間サイズの浴槽なのでこのまま手を離すと沈んでしまうという事で、とりあえずその場しのぎの風呂桶で代用した。


「私が髪洗ってる間にのぼせたりしないでね?ぽわぽわしてきたら教えてね」


心配性な私。母親の気持ちが今わかった気がする…。

ドンを待たせてはいけないと思い急いで髪や体を洗い湯船に浸かる。


叔母から送られてきたから叔母が育てていたのだろうが、母は知っていたのだろうか…。素朴な疑問だが結構重要なものな気がする。


私には一応彼氏いるし見られたら死んじゃうんだろうし。


「あれ?…でも確か……」


『どしたの?考え事?』


「ううん。なんでもないごめんね」


母は今新たな彼氏捕まえたって言ってた気がする…。預けれないのでは?


「ドン〜そろそろ上がろっか。のぼせちゃうよ?」


『うん!上がる』


物は試しだ。連絡くらいならこの子の存在なんて消えないだろう。


私とドンはお風呂から上がり身体を拭きホカホカした状態でリビングへむかった。


「さてと、、。連絡取るかぁ」


私は母に叔母からの仕送りが来たことと、その中に一回り大きい食べれないドラゴンが入っていたこと。そのドラゴンの取り扱いや、注意事項を軽く聞いた事。そして母は知っていたのか。ということをまとめて連絡をした。

知らないと言われても仕方がないのかな。と思う反面一緒に育てたりとかできないものなのだろうか。


「私ひとりで荷が重い気がするよ…」


私は小さくため息をついてドンを見つめる。ドンは楽しそうに机を軸にし周りを走り回っている。机の脚に頭とかぶつけないだろうか。そんなことを考えてしまう。


「ドン?眠くないの?時間も遅いし走り回ってたら近所迷惑になっちゃうからバタバタしないでね」


『きんじょめいわく?』


「うん。このマンションに住んでる人間がうるさいぞー!って怒ってくるかもしれないから」


『怒るの怖い…』


「でしょ?だからこの時間は走り回っちゃダメだよ?」


『わかった。僕走らない!』


「偉いね〜!じゃあ私は寝るね」


『もう寝ちゃうの?まだまだ遊ぼうよ!』


「私明日早いんだって…時間見て?もう12時なの…眠いの私」


バタバタしてたから気づかなかったが、もう12時を回っていたのだ。さすがに美容にも…なんて女子力的な発言はしない私だが、流石に眠い。明日も課題とかレポート出さないといけないしやることが山ずみである。


大学は差程頭のいいところという訳でもなく平均的なレベルの大学だ。ちなみに彼氏とも大学で会った。


「明日また遊ぼ?…いや、明日私遅いんだ」


明日大学のサークルがある事をすっかり忘れていた。週に一回火曜集まりの民謡サークル

元々サークルには入るつもりなんてなかったのだが、民謡には少し興味があったし悪くないと思い入る事にした。


「…とりあえずおうちで明日お留守番ね」


『いい子にしてたら褒めてくれる?』


「褒めるよ。当たり前だよ」


まぁ、家を散らかしたらタダじゃ済ませないけどね。

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