第2話

今といい、電話中といい、このドラゴンやたらと暴れたりなどをしない。観念でもしたのだろうか。食べないでってさっき涙目だったけど…


「ねぇ、?」


『…あぅ?』


「名前とかあるの?」


『わかんない。でもみんなねドラゴンだからゴンって呼んでくるよ』


あまりにも安直過ぎるネーミングセンスだ。これが先祖のネーミングセンスであれば1周まわって可愛いまであるのでは無いか?


「じゃあドンって名前どう??それともちゃんとした名前欲しい?」


『なんでいいよ僕そこまで名前にこだわってないから』


「あ、男の子なんだ。そうそう何なら食べれる?」


『男の子だよ〜!僕ドラゴン食べれない、』


「今まで何を食べてきたの?」


「わかんないけどドロっとした冷たくて白く甘いものを食べてたよ?」


ひょっとしてドラゴンアイスではなかろうか。そう思い叔母に聞いてみると思った通りドラゴンアイスだった。いやドラゴン食えんって言ってたじゃん!共食いじゃん!!


「わかった。今この家にないから買ってくる、、、一緒に来る?」


『行く!』


可愛い反応のドン。どうやらドンは私に早くも慣れ始めたらしくにこやかに話しかけてくる。それと比べて、ぎこちなく会話をしてしまう私。叔母にある程度の諸注意や育て方を聞いておかなければならなさそうだ。


「………」


家に置いておくのも怖いと思い連れてきたはいいものの気まずい。家からコンビニまでの5、6分なのだが一言も話すこと無く無言の散歩。

とりあえずまぁ逃げなければいいと思い早く買い物を済ませる事にした。


『あれ何?』


「え?」


ドンが見た先を私も見るとそこにはドラゴンミルク。牧場で飼育しているドラゴンの乳から出たものである。


「飲み物だよ?飲みたいの?」


『飲みたい、!』


「家にあるから家帰ったら出してあげるね」


『やったー!!』


なんて可愛げがあるドラゴンなんだ。これはもう育てるしかなかろう。


「じゃあ大人しくポッケに隠れててね」


『うん!』


そこからドラゴンアイスを買い、足早に家へと向かった。


「はい。これがさっき言ってたドラゴンミルクね。んでアイス」


『おぉ(*ºoº*)』


「召し上がれ〜私は自分のご飯作ってくるからね。大人しく食べててね」


“大人しく”は余計だっただろうか。とりあえず自分のご飯何を作ろうか。今日叔母が送ってくれたドラゴン野菜の中にいい食材があるかもしれないと思い野菜室を開け確認する


「うん。野菜炒めかな手軽だし。」


あまりに自炊は好きではなく女として恥を持つべきなのだが作れるには作れる。それにたまに彼氏にお弁当を渡す事もあるので作れない訳では無い。ただ面倒いことが大の苦手で飼育もまともにできないことが多々あり母を困らせていた


「どう?お望みのものだった?」


『これだった!』


「私も明日学校だからお風呂入らなきゃだけど、ドラゴンってどうするの?」


『一緒に入ってたよ?体とか洗ってくれてた』


このドラゴン小学生に見えてきた…。


「じゃ、じゃあ一緒に入ろっか」

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