第2話 自殺未遂
その悪い予感が的中したのは、季節的には、もうとっくに秋になっていなければいけないのに、まだまだ表は暑く、そのくせ、めっきりセミの声も聞こえなくなってきていて、コオロギやら鈴虫などの秋の虫の声が奏でる夜長に、
「体調を崩さないようにしないと」
と思っていた、九月末くらいのことであった。
その日は、前日からの雨がやっと上がって、そのくせ暑さだけが残ってしまったようで、夜になっても、アスファルトから立ち上ってくる蒸気が不快指数をどんどん高めていくのだった。
あいりは、真美の部屋まで、自分のマンションからさほど時間は掛からないところに住んでいた。会社に行くよりもよほど近い。
お互いに地の利を生かした関係も、友達として有利に働いていたのかも知れない。時々お互いの部屋を行き来して、一緒に食事を作って食べたり、自分から相手を食事に誘うなどということもあった。性格的にはあまり似ていない二人であったが、料理という共通点があったのも事実で、その数日前くらいから、少し距離が遠ざかっていたので、気にはなっていた。
あいりは相変わらず、彼氏はいなかった。作ろうという意識はあったが、肝心なところで億してしまうのか、いつも彼氏ができるまでには至らなかった。真美の方もあいりが知っている限りでは、付き合っている人はいないようだったが、お互いに異性のことは、相手が相談してこない限り、余計なことを聞かないというのが、二人の間の暗黙のルールになっていた。
二人の関係でうまくいっていた秘訣は、お互いに暗黙のルールを作るという共通点があったことで、余計な詮索もないので、お互いに気持ちよく付き合える相手として、選んでよかったと思っているのだった。
そんな真美からの呼び出しで、
「どうしたんだろう?」
という気になっていたが、数日連絡がなかったことでも一抹の不安があったのも事実だった。
きてほしいと言われて行ってみると、真美の部屋はカギが開いていた。中に入ってみると、玄関先にはキチンと鬱は脱がれていたのだが、リビング迄の通路にブラウスが脱ぎ捨てるように置いてアリ、几帳面な真美にしては信じがたい光景であった。いかにも普段と違う光景であることに嫌な予感を感じたあいりは、部屋の中に入ってみた。
キッチンと合わせると八畳くらいのリビングは、テーブルとテレビ、そしてテレビ台を本棚替わりにしているので、本棚などの余計なものは、置いていないので、サッパリした部屋に見える。几帳面というよりも、本当は片づけを嫌う真美が、片づけなければいけないものを最初から置いていないだけだ。片づけが下手で、モノもなかなか捨てられないあいりからすれば、
――まったく違う性格だ――
と、そこだけで断言できるほどであった。
ところどころに距離をかん汁あいりだったが、実際にはすぐそばにいるのが真美だと思っていたが。真美の方は逆に、
「あいりとはいつもそばにいるような感じがするんだけど、これって私の勘違いなのかしら?」
と言っていたことがあり、それを聞いた時、少し愕然とした、
まったく正反対であるが、両面の感覚を持っているという意識の持ち方が類似しているということで、真美と一緒にいる理由がそのあたりにあるのではないかと感じるほどだった。
あいりは真美と仲良くなったのは本当に偶然であったが、偶然だと思っていたことが本当は、
「出会うべくして出会った相手」
だと思うようになるということもあるということを、身に染みて知ったような気がする。
今まで知らなかった世界を教えてもらえそうだというのもその一つであったが、気付いていないところでの共通点の多さ、そんなことを感じているうちに、
――親友というのは、こういう関係をいうのかも知れない――
と感じるようになった。
真美があいりのことをどう思っているかは分からないが、少なくともあいりは米のことを自分なりに分析しているつもりだった。
そして、最近になって気になっていたのが、
――真美に誰か彼氏ができたのではないか?
という危惧だった。
自分にいない彼氏を先に作られたという嫉妬からの器具ではないかと、普通であれば感じるだろうが、あいりのその予感は違っていた。
――真美が誰か、変なやつにかどわかされてているのではないか――
という思いであった。
会社の帰りもいつも一緒だったにも関わらず、最近は別々に帰ることも多いし、最近ではスマホを見ながら喜んだり、何かを心配している残念な表情になっていたりと、今までではありえない上場をしていた。明らかに恋をしている雰囲気だった。
「自分に恋愛経験がないにも関わらず、どうして他人のことなら分かるのか?」
と言われるが、
「分かるものは分かる」
としか言いようがない。
特に親友だと思っている相手には、自分と重ね合わせてみることが多いので、当然自分との違いが浮き彫りになってくる。その部分をさらに見つめようとすると、普段は見えるはずのないものが見えてくる気がした。それがきっと、
「自分に恋愛経験がないにも関わらず、どうして他人のことなら分かるのか?」
という質問に対しての答えなのかも知れないと思うのだ、
ただ、そんなややこしい過剰をいかに表現すればいいかを悩み、さらに相手にそれが伝わらなければ、何をやっているのか分からなっくなる、それであれば、回答も、
「力技」
でいけばいいのではないかと思うのも無理のないことではないだろうか。
あいりは、真美の勝手知ったる部屋を、なるべくしの状態を崩さないようにした。
刑事ドラマなどでは、
「現状をなるべく動かしてはいけない。現状維持が大切だ」
と言われているのを見ていたから、そう思ったわけではない。
単純に、几帳面な真美に、
「何か触った」
と思われるのが嫌だったのだ。
しかも、彼女の部屋には余分なものが何もないことから、少々何かが散らかっていても、そこには何かの意味があるのではないかと余計なことを考えてしまう。そういう余計なことを考えてしまうのも、あいりの悪い癖の一つではないだろうか。
通路にブラウスが一枚落ちていたがが、リビングに入ってみると、、別に何か散らかっているわけではない、ただ、一つ気になったのが、テレビがついていたことだった。
テレビがついていることで、それだけで生活反応を感じる、
「たった今まで、ここに真美はいたんだ」
と思って間違いないだろう。
どうしてテレビが付いたままなのか、深くは考えず、消そうとも思わなかった。一つ気になったこととすれば、
「何かボリュームが大きい気がする」
というものだった。
真美を知らない人には気づかないことだろう、しかし、真美を知っている人は、
「このボリュームはちょっと大きいわね」
と思うだろう。
彼女は、元々あまり騒音の場所は嫌っていた、映画やカラオケなどは誘っても来ない。スポーツ観戦も来ないことから、それだけでまわりからm
「付き合いが悪い」
と言われていたが、その理由はすべてを冷静に考えれば容易に分かることで、つまりは、
「騒音が嫌いだ」
ということなのだ。
あいりも騒音は苦手だったが、大丈夫なものと苦手なものがある。きっと世間一般の人は皆あいりのような性格なのだろう。
つまり好きなことであれば、別に騒音も気にならないが、好きになれないことやどうでもいいことに対しては、大きな音は騒音として苦痛にしか感じないということである。
あいりだって、音楽が好きなので、コンサートやライブは気にならないが、映画館には二時間であっても苦痛である。
「ライブやコンサートだって、二時間以上あるでしょう?」
と言われるが、
「音楽と映画のようなセリフとではまったく違うのよ」
と説明しても、映画好きの人には理解できないようだが、
「でも気持ちは分かるよ」
と言ってくれた。
しかし、真美に関しては、そのどちらも最初から敬遠している。したがって気持ちも分かるはずがないというのが、彼女の感覚なのだろう。
そんな真美がいくら自分の部屋で自分一人しかいないとはいえ、テレビのボリュームを大きくするというのは、どう考えても理屈に合わない。そのことを気にしながら、キッチンの方に行ってみると、昼食を摂ったあとの食器がそのまま洗う前の状態で置かれていた。
ただ、一度水洗いをしてある。これは、より綺麗にするためには、一度水洗いをしておいて大雑把なところで汚れを落としておいてから、少し時間が経ってから潜在で洗うという真美なりの後片付けのやり方だった。
それがいいのか悪いのかは、あいりには分からなかったが、真美がそれでいいと思っているのだから、否定することはできない。ただ、
「私にはできないことだ」
と思うだけだった。
ということは、昼食を摂ってからそんなには掛かっていないということか、少なくとも一時間は経っていないだろう。
時計を見ると午後三時くらいである。一日の最高気温の時間を少し過ぎたくらいであろう。そのせいもあってから、クーラーは利いているのだが、それほど涼しいとは思えないという、我慢の時間帯と言ってもよかった。
その日は土曜日で会社が休みだったので、最初は、
「どこかに行こうか?」
と真美を誘ったが、
「私はいいわ」
と、簡単に拒否られた。
ただ、その時は真美が男とのデートだというわけではないことは分かっていた。なぜなら、もしデートであれば、もっとはしゃぐように断るはずだからである。ああ見えても真美は自分で意識しているのかどうなのか、すぐに態度に出やすいという分かりやすい性格であった。
思わず冷蔵庫も開けてみた。
「何これ、何もないじゃない」
思わずビックリした。
確かに家具関係は余計なものを置かない真美だったが、食料関係などは、結構備蓄していることが多かった。
普通の女の子と同じで、あまり食べる方ではないのだが、
「食料だけはいつ困るか分からないので、いつも余分に蓄えているのよ」
と言っていた。
もちろん、そんなことは分かっているのだが、もし食べきれなかった場合のことを聞いてみた。
「賞味期限切れすれば?」
と聞くと、
「その時は捨てるだけよ」
といけしゃあしゃあと言った。
真美の性格とすれば、家具や生活用品などは、別になくても困ることはないので、最初からなくてもいい。でも、食料品は生活必需品なので、もしもの時があれば怖いというのだ。
だが、その理由として、
「だって、生活用品は一つが高いけど、食料品は消耗品だから、他水じゃない、だから、もったいないとかいう理由とは少し違うのよ」
というものだった。
なるほど、現実的な話をいつもしている真美らしいではないか。
そう思うと、あいりはいつも冷蔵庫にしても、キッチンの床にある章句品格納庫にしても、それなりに備蓄があるものだと思っていたのだ。
確かに今までに真美の部屋の冷蔵庫を覗いたことがなかったので、初めて見る冷蔵庫であったが、思わず声にだして驚いたのも無理のないことだろう。
あいりは、冷蔵庫を開いたのは、本能的に覗いてみたのだと思ったが、本当は違っていた。
「この機会に見てみたい」
という思いが一番にあったのは事実だった、
いわゆる、
「鬼の居ぬ間に」
という心境で、実に不謹慎であったが、この冷蔵庫を覗いてみたことは、彼女の性格を本当に知るうえで必要だったのは、間違いのないことでもあった。
リビング・キッチンは一通り見て、そこにいないのが分かると、後はトイレか、洗面所、そしてバスルームである。
トイレも洗面所もバスルームも玄関からの通路の途中にあったはずだ。そう、さっき脱ぎ捨てられていたブラウスがあったあたりである。
まず、トイレに入ってみたが、そこにはいなかった。ただ、一つだけ気になったことがあった。それは便座が上がっていたことである。
女性一人暮らしで便座が上がっているというのは、これ以上不自然なことはない。最後に使ったのが男性だという証拠であろう。そう思うと、真美に誰か付き合っている人がいるというウワサは本当だったという証拠になりはしないだろうか。これまで確認したくてもできなかった思いをこんなことでしるなんてと、あいりは何とも言えない気持ち悪さを感じた。
嫌な気分を抱いたまま最後の洗面所をバスルームを開けてみたが、まずスライドドアを開けると、正面には洗濯機が置いてあり、左側が洗面所になっている。さらにその奥にM字型に開く扉があり、そこがバスルームになっていた。
すぐに目についた脱衣かごには、衣服は置いていなかった。ただ、気になるのはシャワーの音が聞こえていることだった。
水が勢いよく流れているわりには、その音はまったく表に漏れてこなかった。テレビの音が大きすぎるせいだろうか。ただ、ここまで来ると、あいりは嫌な予感しかしてこなかった。
急いでバスルームに入ると、
「わっ」
と思わず口を手で塞いでしまった。
―ーどうして人は、特に女性は、驚愕の光景を見ると、口を塞ごうとするのだろう?
と、急に思ったが、それは目の前の光景を打ち消したいという本能のような気持ちによるものなのかも知れない。
鬱咽になって洗面台にもたれている一人の女性がいた。倒れているわけではなく、持たれているのだ。洗面台に両腕を下げて、燃えにもたれる形になっている。下着姿であることは、通路にブラウスがあったことで、想像もつぃていた。しかし、あらわな上半身にシュミーズが絡みついていて、真っ白とまでは言えない素肌を濃紺の下着が隠している姿は、妖艶さを感じさせるというよりもそれだけで寒気が襲ってきた。
きっと男性が見ても、妖艶さよりも君の悪さが襲ってくるに違いない。シャワーが容赦なく彼女の肩まで伸びている髪を万遍なく濡らし、顔は水が溜まっていない浴槽に倒れこんでいた。
なぜ水が溜まっていないのかが分かったのかというと、水が浴槽からS触れていなかったからだ、ずっとシャワーが降り注いでいるであれば、すでに浴槽は満水になっていて。それ以上の水は排水溝に流れているのが必至だったからである。
水が溢れていないのが分かると、その浴槽がどうなっているのか気になってきた。八キロ言って、その時にはすでに浴槽の中がどうなっているのかということは想像がついていた。それを固唾を飲んでみているという光景は、それだけ自分がこの光景を、
「まるで夢を見ているようだ」
と感じたい一心であることが分かったからだ。
本当であれば抱き起こしてみるくらいしなければいけないのだろうが、それができなかったのはなぜだろう?
もし死んでいるのであれば、現状保存が大切だなどという悠長な思いを抱いていたとすれば、いくら信じがたいことであるとしても、あまりにも常軌を逸した精神状態であるということは分かり切ったことであろう。
それでも。それくらい放心状態だった時間があっただろうか。数秒にしか感じないが、数分だったような気もする。まず、何をしていいのかが分からなかった。
まずは、覗き込んでみて、そこがどんな様子になっているのかを確かめなければならない。
覗き込んでみると、果たしてそこに見えたものは、透明なお湯ではなかった。真っ赤な色を感じたが、決して想像していなかったものではなかった。そう思うと、鉄分の混じった嫌な臭いがした。さらに。奇妙な既視感も感じていて。
「前にどこかで」
と思ったが。もうそこまで考えると、今度は勝手に身体の方が動いていた。
浴槽の中を覗き込むとそこに見えたのは、想像を絶する光景だった。
浴槽には水は溜まっていなかったが。真っ赤な色はまるで血液のごとく、排水溝に流れ込んでいる。水が交っているのだから、色は薄れるものだと思いがちだが、深紅の鮮血はまるで泥のようなゲル状をしえしていて、このまま流れていくと、排水溝に詰まってしまうのではないかと思えるほどの色を呈していた。
ダランと垂れた手首が、すでに生気を帯びていないように見えたので、すでに死んでいるのかと思い見つめていると微妙に動いた気がした。
「水圧によるものかしら?」
と思ったが、そうでもないようだ、
二の腕部分に何かの力が加わっていて、その力が外部からではなく、身体の奥からであることが分かると、まだ彼女が完全に死んでいないことは分かった。
浴槽に雪崩れるように腕を垂れていたが、その先には指から話すことのないように、一本のカミソリが握られていた。もうそれを見る限り、状況は一目瞭然である。
――彼女が自殺を試みたんだ――
と思うと、やはり彼女には男がいて、それを悲観しての自殺であることは必至だった。
「とにかく、救急車」
まずは救急車に連絡し、それと同時に警察へ連絡をした。
この瞬間から、自分だけのことではなくなってしまったと分かってはいたが、その状況の中に一人だけいることで、余計に気持ち悪さがあった。
「早く救急車でも警察でも来てくれないかしら?」
一人自分をこんな状況に陥れた彼女を恨みさえした。
まだ死ぬとも生き残るとも微妙な状態に、何を不謹慎なことを考えているのかと思ったが、
「明日は我が身」
ということを考えてしまった自分が急に怖くなった。
――自殺をするとでもいうのかしら?
と思うと、先ほどの既視感を思い出した。
忘れていたわけではなかったはずなのに、どうしてすぐに思わなかったのか、どこかに思い出したくないという思いがあったからなのかも知れない。
――そう、あれは姉が自殺未遂を起こした時のことだった――
あいりは、二年くらい前のことを思い出していた……。
その時のことが脳裏に浮かんではきたが、その時の姉が助かった。数週間の入院は余儀なくされたが、それでも、回復は早い方で、退院してしまうと完治までにはそんなに時間が掛からなかった。ただ、後遺症はどうしても残るようで、心身共に結構大変だったようだ、
あいりは、その途中に入試などもあり、大学も家から通えるところではなかったので、途中はよく分からなかったが、結構大変だったという。
あいりは、ちょうど姉の自殺未遂の場面を見てしまった。自分が最初に発見したことには変わりはないが、その時自分の前には父親がいてくれたので、幾分か心強かった。しかし、今回は一人だけだった。嫌な予感はあったのだが、それでもその気持ちを打ち消そうとする自分がいたのだから、それは当然のことながら、偽りの感情であり、姉の時とはまったく違った感情があったのは無理もないことだったに違いない。
そんなことを考えていると、救急車が到着した。続いてパトカーもやってきたのだから、当然マンションの前が騒然となったことは想像にたがわぬことであろう。
管理人室からは管理人が飛び込んできた。
「どういうことですか?」
と管理人が言うのが早いか、さすがに救急隊員の行動は素早かった。
何も言わずに、管理人を押しのけて、担架を手に、そそくさと侵入してくる。それは目の前に誰がいようが同じことで、管理人であろうが、あいりのような女の子であろうが、救急に邪魔になると思えば、容赦なく跳ねのけていた。
だが、それは当然の行動であり、救急車やパトカーのような救急自動車は、道路交通法の外にあると思っていいだろう、
スピード制限はあってないようなもの、信号であっても、対向車や青である横断側を制して、こちらが優先なのだ。もし、道路に救急の妨げになるような違法駐車があったとして、救急のためやむ負えずその車を破壊して、救急車が走行した場合、相手の車は救急車に損害を賠償することはできない。むしろ、その時救急車が歯損していたとすれば、逆に救急車の側から、相手に対して損害賠償を請求できるのだ。
そういう意味で、普通の交通事故であれば、十:0という確率はありえないだろうが、相手が救急車ということになれば、その損害のすべてを救急車は相手に請求できるということもあるのだ。
それくらいしなければ、救急自動車の意味もない。緊急で人を救うための自動車であるからこそ、特別の指名を帯びているのだ。何があっても最優先であることにしておかなければいけないのは、誰が考えても当然のことである。
通報してから救急車がやってくるまで、かなりの時間が掛かったと思った。だが、実際に救急車が到着すると、その感覚が錯覚であったと自分で分かった。静寂でしかもこの惨状の中に取り残されたのである。そう思っても当然ではないだろうか。
「よし、大丈夫だ」
という声が聞こえた。
そうなると、救急隊員の処置は早かった。まったく迷いはなく、人工呼吸器に点滴と、いかにも救急搬送のシーンをドラマで見るかのようだった。
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