第18話 F*a*c*t Hospice Business
貧困ビジネスのパイオニアという不名誉な称号が10月8日にスカーニーより与えられることになった亜種白路はAmadeus Juryの審判ではなく、右炉、央観、左吾の裁きを受けることになった。
スカーニーの事件は三閉免疫症候群たちにとっても他人事ではなかった。
「あなた方の病はもはや症候群とは括れません。不全であるから、私たちの施設に収監することにしました」
それは突然やってきて、突然はじまり、突然昔からあるような常識として振る舞われた。スカーニーは深い悲しみを文章で公表したものの、オルレアンの時以上に神経鈍麻がDNAとして受け継がれていた人々には、それが何を意味しているかを汲み取ることはできなかった。
三閉免疫症候群は不全ではない。もちろん。
不全である臨床実験の過程は示されていないし、そもそも実験自体人権の問題から実行されることはなかったのだ。
「権威あるものが不全だと言っている」という言葉さえも昔からあるような常識に含まれていたから、それについて質問するものはなかった。
Amadeus Juryはオルレアン、ゲオルギ、アルバートが陪審を行う。スカーニー自身が何かを求めているのかもしれないとオルレアンは気遣ったが、それ以上に大切なことに気づいた。
三閉免疫症候群たちの熱狂的な信仰である。
彼らは全てを語れないかつてのMjustice-Law家を責めなかった。事情を汲み取る彼ら症候群の力にスカーニーがどれほど救われたかは見ていればよくわかった。
不全を言い渡された際の人質であっためぐみの登場は、不全の人々から受け入れられないのではないかという一抹の不安があった。しかし彼らはスカーニーの時以上に同情し、心を寄せ、親切に接した。
亜種白路が三閉免疫症候群たちを不全にしたことにはもうひとつ別の理由があった。
そもそもスカーニーに社会勉強の名目で三閉免疫症候群のもとに送り出したのは亜種白路だった。扱いづらい野武士のような彼らをスカーニーに押し付けたという言い方でも正しいかもしれない。コントロールしてくれさえすれば、程度の思いだったのだが、想定外にもスカーニーは三閉免疫症候群たちと意気投合してしまったのだ。
主旋律とそれを彩るさまざまな楽器はオーケストラとして世界的にも有名になっていった。
「奇跡だ!」と言われたこともあったし、「原点回帰だ!歴史を旅しているようだ!」と多くの称賛の声が聞こえるようになった。
亜種白路はFood Hoods Delibaryを空売りすることで自分達の地位や名誉を維持していた。めぐみとスカーニーの秘書というクレジットに疑念が抱かれはじめたことは、あらゆる場所で己の五感で感じられるようになっていた。
「あなた方は不全です。権威ある方がおっしゃっています」
名前は言わなかった。言えなかっだ、なぜならスカーニーが言ったことではなかったからである。
スカーニーの事件は三閉免疫症候群が不全だと認定されて以来、多くの症候群に属する人々が治療の地で殺された。
「これはスカーニーだけの事件ではない」。
三閉免疫症候群たちは目の色を変える。ついにその時が来た、と。
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