第12話 柊と荊棘

Troenという団体はSub white loadとは異なる団体であり、どちらかというと三閉免疫症候群と近い立場といえるかもしれない。

「それはセオのお父さんがアメリカに作った団体なんだ」

スカーニーが誕生日祝いの二次会の席で嬉しそうに話し出した。スカーニーが一族の昔話をするのは珍しい。監永も捜永も酒のグラスをそっと置くほどに、水を打ったように静かになりその場にいた三閉免疫症候群の人々は話に集中した。 出席者はもちろん、セオやスチュワートだけでなく、ヴァージニアやヴィクトー、アーサーやジョセフもいたし、BRONZE-FROzenのメンバーもはじめて合同で会合に参加した。まだまだ公式の役割があるからこれは非公式の話としてだということをご注意願いたい。

「セオの血族のお父さんは俺の母親の兄なんだけど、その人がヴィクトーのじいさんと仲が良かったために、アメリカに三閉免疫症候群みたいな団体を作ろうって話になったんだよ。同じ頃戦前まではSub white loadを雇って俺たちの象徴を演じてもらってたんだけど、時間が経過するにつれて役割を忘れて自分たちが金持ちのように振る舞うようになったことが俺たちの悩みの種だった。Troenは俺たちMjustice-Law家の新たな象徴専属団体として起業した過程もあるんだ。契約書に”ただ演じるのみの雇用契約”を発行できるシステムとしてTroenを作ったから、セオもスチュワートもヴィクトーやヴァージニアも加盟している」

「えー!!すげえ、、そんな歴史があったんですね!!でも、どうしてTroenって名前にしたんですか?」

セオが連れてきた空軍指令官が聞いた。東側として長らく意味のわからない分断の被害者だった彼はMjustice-Law家の話を聞いてすぐにこの島にやってきてくれたセオの最愛の幼馴染のひとりでもあった。

「復活・イースターを意味してる。イバラの冠っていうだろう?」

「なるほど、、、それでSub White loadはその後どうなったんですか?」

「雇用契約は解除したよ。だから自力で金を稼ぐしかなくて、それでもいまだに象徴としてしがみついてるんだよ」

「クリスマスは?」

「柊?それは象徴。Throenを隠すために柊を用いているの」

みんながあ!!と同じ声量で同じ意味の感嘆詞を使った。

驚く時のリアクションだけは万国共通なんだなあとスカーニーは嬉しそうに微笑んだ。

「Troenは今ヴィクトーたちを中心に声を上げてくれているけれど、それでもSub White loadの行進は前進あるのみだから、君のような空軍指令官にまでご足労いただくことになってしまったんだ。申し訳なかった、ご家族もいるだろうに。よければいつでもご家族を呼び寄せていいからね、遠慮なく言ってくれ」


着陸態勢に入った。スカーニーはこの土日にすべての関係者に話をつけた。

「ヨハネとパウロとジョシュアの末裔が三者会談をした。世界はもうすぐ平和になる」。

「しかし1ヶ月だけ時間が欲しい。ラグビーワールドカップのお祭りに乗じて彼らに公開処刑を行いたい」。

期限は10月28日とした。



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