第5話 初配信②


「鏡花、着いたぞ。あと、厄介ごとに巻き込まれたくないからお面をつけてもいいかな?」


俺は目的地にたどり付いたので鏡花に連絡を入れる、さっき聞いたことに嫌な予感がしたからそれへの保険も増やしてだ。


「いいけど、あぁ、なるほどね。有名なダンチューバ―が来ているらしいから万が一があったときに目立ちたくないと。」


「そういうことだ。」


どうやら鏡花は俺の考えを汲み取ってくれたようだ、昔からそうだが長々と説明する手間が省けて楽だ。但し師匠は…


「分かった、但しあの服装さえも変えるあの狐のお面にすること、分かった?」


「分かった。」


あの狐のお面か確か銀狐の名前付きネームド、別名『月光ノ狐』からのドロップアイテムの『月夜ノ現身』だったかな、服も白と黒と銀色を基準にした色の和服に変わるやつか。

まぁ、服が変わっても『月夜ノ現身』に付いてくる刀と扇のおかげで近接攻撃の手段が増えるしそのままアイテムも使えるから強さには関係ないから大丈夫か。


俺はアイテムボックスに改造してあるローブのポケットから『月夜ノ現身』を取り出し付ける


「ヨシっと、準備できたから鏡花始めてくれ。」


『了解、じゃあ前に教えたとおりの配信のあいさつをしてくれ。あと、これから私の声はスピーカーではなく君のイヤホンから聞こえる以上だ。』


そう言って、鏡花との交信が終わり撮影用UAVからホログラムでコメントが映し出される。


『始まった。』

『狐のお面?』

『首席殿』


「どうも、初めましてでいいのかな。レンの錬金工房のレンです。」


『レンか。』

『Ren?あのRenなの?』

『首席殿』

『首席殿ってなんだよ、てかコメントの方に表示されてる言語と画面の右に流れてくる言語違うじゃん。』


「お、どうやら気が付いた人がいるみたいだね。この配信はとっても高性能なAIによって管理されていてね、なんと俺が話した言葉がリアルタイムで別の言語に翻訳されたりコメント欄では日本語じゃないけど画面の方のは字幕と同じ言語になったりするし。後何より、これを撮影しているのはドローンじゃなくて小型のUAV無人航空機を使って撮影してるんだ、もちろん自作のね。俺は錬金術師だからそういうこともできるんだよ、ということでいいね?首席殿については後々分かるかもしれないよ。」


そう、俺はUAVのマイクに向かって鏡花に許可されたことを話していく、海外のリスナー?には俺の正体にきずいている人もいるみたいだが、別に大丈夫だろう。


『ん?』

『ファ?』

『さすがは首席殿。』

『ここどこのダンジョン?』


「ここはどこのダンジョンという話がありましたね、ここは浜松第三上級ダンジョンの一階層ですね。あの、大きな裂け目のところです。」


『ナオがいるところじゃん。』

『マジか。』

『映り込みか。』


やっぱり日本はナオなのか、本当に強いのかね?

そういえば、ナオはどこにいるんだ。四十階層にある転移トラップを踏んでこの裂け目の底、ドラゴンしか出てこないモンスタートラップに引っ掛かってないといいのだが。


「そういえば、ナオは今どこにいるのだい?」


俺は少し炎上を覚悟しながらリスナーにそう聞いた。


『40階層でトラップ踏んで転移で飛ばされてドラゴンに囲まれてる。』

『え?』

『ピンチです。』

『神龍とドラゴンロードなどの特級モンスターに囲まれてます。』


「っち、あのトラップを作動させたのか、助けに行った方がいいのか?」


俺は声を荒げながらそうリスナーに聞いた。


『何か知っているご様子』

『助けに行った方がいいと思います。』


「そうか、なら。」


そこまで言って、俺は後ろにわざと倒れる、その後ろは底なしと言われる裂け目、つまり俺はそこに落ちていった、違うか降りるのだ。


よし、きちんとUAVも付いて来ているな。コメント欄はよく見えないが。


『は?』

『おいおいおいおい。』

『自殺かよ。』

『首席殿?!』


そして、どんどん加速していくけどこのダンジョンにはしょっちゅう潜っているので問題はないのだ、毎回この方法で降りているしね。


さてそろそろか、俺は裂け目の終わりが見えてきたところで減速し始める、なにでと言われると少し困るが簡単に言うと魔力を放出して羽みたいな形にしているのだ。というかこの構図あれじゃん、狐のお面被ったやつが上から降りてくるみたいになるんじゃ。まぁいいか。


速度を落としつつ裂け目の終着点に着くと開けた場所に出た、そしてそこには大量のドラゴンに囲まれいや襲われている少女の姿があった、そして俺は彼女に問いかける。


「これって助けた方がいいの?」


と…

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