第二節 配信編

第3話 初配信準備


「まさか本当に買ってくれるとは思わなかったよ、鏡華きょうか。」


リビングに広げられた撮影用のカメラやドローンを見ながらそう言った。

因みにエルは師匠に連れられてどこかに行っている。


「はぁ、あのねぇ。前はパーティだったからドロップ品とかを持ち帰れたわけで今のあなたはソロなの、持ち帰れないの。まぁ、特例は有るけどね。」


「あれ?それって鏡華や師匠とパーティ組めば行けたのでは?上級探索者と特級探索者だから確か組めたんじゃ。」


「師匠は忙しいから無理、いや、いそがしくなかったわ、納期前日からやり始めるほど暇な人じゃん。まぁ、それは置いておいて私は嫌よ、誰が本気を出すと瞬時に超小型のUAV無人航空機を錬金したり何事もないかのように乱数を調節したり魅せプをしたりとても最適化された動きをしたりする金髪幼女のホムンクルスを錬金したりするやつとパーティを組もうと思うのよ。」


「え?あの馬鹿な陽キャ共。」


「はぁ、それはあなたが偽装を使っていたからでしょう。」


「それもそうか。」


確かに俺は周りから見たら奇人変人だろう、だってねぇ、自分で創った神器アーティファクトなんかもうねぇ、一つはまともな武器だけどもう一つは狂創工場マッド・クリエイト・ファクトリーだからね、因みに狂ってる工場じゃなくて狂ってるものを創る工場という意味らしい。個人的には師匠の方が狂ってると思うが。


そういえば、特例って。上級探索者国際序列に入ることじゃなかったか、たしか。序列は100までで俺は1だから…あれ?大丈夫じゃん。


「鏡華、俺って上級探索者国際序列首席だからドロップ品を換金したりすることもできるんじゃ…」


「そういうことはいいの、万が一のための配信なのよ。」


「分かったよ。ただ、俺お手製のあれは付けさせてくれよ。」


「駄目よ。」


きっぱりと断られたら困るんだが、あれ認識阻害以外にも普通に仮面として使えるからいいんだが、どうやらだめらしい。


「あなたが素顔を出さないと意味がないでしょ、あなたを見捨てた馬鹿どもを見返してやるんだから。」


そういうことですか。

たしかにこの人は俺が馬鹿にされたとき何時も怒ってたな、今思えばあの時も。


「それもそうだな。そういえば、カメラってこのドローン以外にも付けられるのか?」


俺はドローンとカメラを手に取りながらそう聞いた。


「えぇ、そうね。ジョイントがあればしっかり、ってまさかあなたUAVにカメラをつけようとしてたりしないわよね?」


「ご名答、と言っても普段使っている戦闘用じゃないぞ、低速飛行、高速飛行、アクロバット飛行、等々の飛行ができる非戦闘用の機体だ、尤も魔力固形型機関砲は付けてあるけどな。」


「成程じゃないんだよ、あ、でもそうかあのドローン動きが鈍いもんなそれならUAVの方がいいのかもね。分かったよ、カメラをUAVに内蔵できるようにに改造してさらにカメラの性能も数段上げたり音声自動認識システムとか色々つけてあげるからさそのUAV貸して。」


「分かったよ。」


俺はそう言いながらカメラとそれ用のUAVを鏡花に渡した。


「じゃあ、私は大規模神器グラン・アーティファクトに改造した自室にこもって作業するからよろしく。」


そう言って、彼女は部屋から出て行った、大規模神器ねぇ、俺も欲しいけども俺が作るとするとどういうコンセプトにするか悩みようなんだよな。


配信の操作は基本的に俺がやるらしいが禁止ワードや過激な言葉などの削除などは鏡花がやってくれるらしい。


しっかし金髪幼女のホムンクルスTAS。一昔前、ダンジョンができる十年位前によく流行っていたから4,50年くらい前か、に流行っていたTASからゲーム内での動きを完全に再現しようとして肉体を金髪幼女にして頭脳をAIにしてそれに抽出したプレイデータを突っ込んだら何故か人格も芽生えたなどという頭おかしいものなんだよな、TASも。


尤も、一番頭おかしいのは狂創工場ともう一つの武器だからね。


さて、明日配信の為に行くダンジョンも考えないとな、いやいいところがあるじゃん。ここから近くてある程度の難易度の浜松第三上級ダンジョンがまだ未踏破ダンジョンだし配信映えする風景とかもあるからいいよね、ちなみにダンジョンの名前は日本は面倒くさがりなのか地名、その地名を使うところでできた番号、等級と特級ダンジョンまではなっている、さすがに特級になってくるとダンジョンらしい名前になるけどな。


あとはここにあう装備をそろえて明日に備えますか。あー、眠い。

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