哀れにもコーヒーしか書いてない飲料の様な甘い展開を期待したんだろうが肉吾郎のエスプレッソは激苦だった

※タツ視点


 ここは肉吾郎、ドラマにて素晴らしくも肉い(憎い)演出をした素晴らしき名店だ。

 

 いや、チェーン店だからこの店かどうか知らんけど…多分…フードコート映ってなかったから違うけど…いわは平行世界だな、うん、そうに違いない。


 私の目の前には米国の変態性癖を持つ痴女みてーな格好の母ちゃんと何か体育会系の若造男子、そして気絶した親父を挟むように私とヒロが対面に座っている。


 何故挟むかと言うと、逃げるからだ。この親父は。躊躇いなく逃げる姿に、ヒロがタツそっくりだなとか言いやがったが…。


『今日はヒロの奢りだ!こだわり和牛のハンバーグセット5個!ドリンクバー付きで!『はっ?なんで俺が?』1つはご飯大盛りで!』

 

 注文した事で話が、脱線していた事に気付いた。  


 私は以前、イタリアンレストランSでNTR男のネットリ(略称)や、ヒロを悲しませた股ユル女、幼馴染のクソイカ(略称)と対決し、有耶無耶にされた過去がある。


 だがっ!今回はっ!違うっ!テンションか上がるっ!


 私は今、某無限にツェー奴が出てくる漫画のスカウターのような物を付けている。

 これは寝ながらインターネットサーフィンが出来る便利な機械だが…この機械で先程見たドラマのスポンサー企業のホームページを開けている。


 あぁ勝ったな…情報、状況、戦力、全てが整っている。

 母よ…顔面蒼白の、まるで初めて戦場に来て死体を見た少年兵のような母よ、ミニスカボンテージ姿で腰をカクつかせ、今もガクガクしている母よ、私の企業(スポンサー)の素晴らしさとざまぁの融合技の犠牲(暇つぶし)になってもらうぞ…


「母ちゃん、まず…申し開きはありますかな?」


「ちが…違うの…これはね…その…私が…あの…」


「おい、母ちゃんの横の若いツバメ…そう、ツバメタクシーッ!」


 最高のタイミングで思いついたのでヒロを見る。


「だからツバメじゃねーって。ツバサだよ、つ、ば、さ!後、近所で走ってるお前と犬猿の仲なのはモロヘイヤ★タクシーな。」


 変なツッコミを入れるヒロ、モロヘイヤ交通のクソの話はやめていた頂きたい。


「ツバメ若造、モロヘイヤ交通知ってるか?アプリで配車すると『モロヘイヤ』って出たら気をつけろ。何故か速攻で自己都合キャンセルになってキャンセル料400円取られるんだ、そして来ない。後、駅前でタバコ吸ってて『乗って良いか?』って聞いたら『おう』って言っていきなり遠隔でドア開けたから、現場で怪我したカズ爺がドアクラッシュして追加ダメージを負った。しかもゴツい姉ちゃんが避けたからとか訳分かんね―事を…」


「タツ!タツ!やめろって。ズレてる!話が…」


―――――――――――――――――――――――


 ※ヒロ視点


 何回、タクシー会社の名前を間違えるんだよ…スポンサーだったら間違いなく離れるぞ。


 しかしまた、タツの暇つぶしが始まった。しかも母親相手に…よくやるよ…


 でも以外だったなー、タツのお母さんの雪虎さんはどちらかと言えば品の良い人で、立ち振る舞いもスマートな感じだけど…コスプレして意味不明な事騒ぐってあり得ない感じ…もしかして本当に殺し屋だったのかな?

 組手お願いしても『駄目よ』しか言わないし、子供の時いきなりおっぱい殴ったら組手始まるかと思ったけど『今日こそパッドが憎いと思った事無いわね♥』とか言ってたし…言ってたし?


 タツの馬鹿が伝染る…何故ならタツはいつも通り意味不明な事をペラペラ喋っている。


 スカウターみたいなのは目の前に画面を投影して画面が無くてもインターネット出来るみ最新デバイスみたいなものらしいが、そこには『肉吾郎を作った男 丸井富吾郎物語』みたいな誰がそのページ見るんだみたいな所が写っており、それを雪虎

さんと浮気相手?の2人に朗読している。


「そこで私、丸井富吾郎は従業員に言った。目に見えていない所、お客様から見えない所こそ更なる工夫を凝らすべきだと。不満気なシェフに、私は腹がっタッチしてクビを宣告したが…」


 誤植をそのまま読み上げるタツ、腹が立つがタッチになっているのを気付かず読み上げる妻、腹が立つのでは無く、腹をタッチしたら首を宣告か…その予備動作、怖えな。


 そんなタツをどうすれば良いか決めかねていた。


 そんな時、こだわり和牛のハンバーグセットが来た。

 リーズナブルな価格は企業努力の結晶だが…5人前(ドリンクバー付)は俺の奢りらしい…この知らん体育会系の若者に何故奢るのだろう?まぁ俺も二十代半ば、働いてるから良いけどさ…

 皆どうして良いか分からない顔…そりゃそうだろう。

 十分な教育を受けた店員さんも、誰も動かないし、自分の所の謎の社長物語を読み上げているから困っている…本社の人間と思われたら嫌だな…

 まぁやり辛いだろうなぁ…客側に問題があるからな…俺が話を進めよう。

 

「店員さん、ありがとうございます。あ、じゃあ、皆さんどうぞ…一番安いやつですけど…」


「ヒロ!?何言ってるんだ!?ちゃんと聞いてた?一番お得なセットって言わないとっ!!」


「あ、あぁ、はい…悪かった…」


 肉吾郎(教育係)サイドから注意するタツ。


 そして一通り、肉吾郎、ロイヤル、ルノエルノ、ツバサタクシーの社長挨拶を朗読して満足感のあるタツ。



「さぁ、皆、この最高のハンバーグを冷めないうちにつつこうじゃないか?」


「タツ、駅前留学のアイゼンは?」「何それ?」


 お前、アイゼンにロイヤル使って訴えられるぞ?


 そしてハンバーグを目の前にして、タツは当初の目的を忘れつつある。

 そーいや子供も小さいし、あんまり夫婦で外食しなかったもんな…いや、夫婦じゃねぇな。親族ですら無い人が紛れ込んでいるし。


 まぁでも…人の恋路にガタガタ言うまい。誠一だってきっと、同じ状態になったら何にも言わなかっただろう、知らねぇけど。


 カチャカチャ…黙々と食べる。何だよ、これ、子供連れて来た方がマシだわ…てか、気絶しているお義父さんの前にもセットが置いてあるが起こした方が良いのか?


「それで…母、そしてヤクルト若ツバメ、君らはゴム、してるのかな?」「ブフォッ!?」


 何言ってんだコイツ!?せめて段階があるだろ?


「し…(まだそもそも本番も)してない…」

「雪虎さんとは、その様な関係では」


 まるでウブな女子中学生のような雪虎さん。


「おやおや、名前呼びぃ?まぁまぁそれは良い、しかしゴムをしない、それは良くない…アカクサ薬師堂の薄くてまるで付けて無いコンドーム…是非体験してみてはどうか?オレもひとり寂しい時はアカクサ薬師堂の箱に記載の0という数字が異様に多いゴムを使っている、コケシが尻穴に入ってしまう時、まるで付いていない様な付け心地、しかし専用工場による滅菌加工によって清潔そのものだ。またローションによって尻の穴の…『飯中にやめろ馬鹿ッ!』イタイっ!?」


 俺は食事中にこの手の話は許さない、たまにタツが食卓に例のコケシを置くが、本当にイラッとするからやめろと言っても『ちょっと興奮しちゃって…』とか意味はわからない言い訳をするが、飯中に汚い話は許さん。


「ゴムどころか…田中君とは何もしてないわ…ねぇ田中君?」


「そうですね…帰り一緒だっただけで…」


 田中君っていうのか…バツ悪そうだな。んー…本気では無かったのかな?それともやべぇ娘がいるから引いたのか…タツがまた、ニチャアと笑いながらせめる。


「いや、何もしてねぇ訳ないだろ?アレが何もしてないんだったらクソスライムの公開停止三連星小説なんぞ少年誌で連載出来るわ!話が面白く無いから無理だけども!」


 タツはニチャアっと笑った、もうやだ、この妻…


「まぁ安心しろ、お前らのチュッパチュッパ的なランバダみたいなダンスは、ルノエルノの『コーヒーでダンスを踊ろう』のコーナーと、ロイヤルのホームページの相談窓口に送った…」


 それ、本当にやっちゃ駄目なやつだ…

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