ある男性の誕生日

梛狐

ある男性の誕生日

しとしとと降る雨の季節。

紫陽花がとても綺麗に咲いている。

私は武装探偵社で働いている太宰治だ。

探偵社に行く前にある場所へ向かった。

「ふふっ。着いたね」

私はある場所へ着いた。

「約束通り来たよ。元気にしてかい?」

そう、声を掛けた。

(約束通り来てくれたんだな。あぁ……元気にしていたさ。太宰も元気そうで良かった)

「織田作、どうかな?君のことだから大丈夫か。そうさ、私は元気にしていたさ。でも、例のあれは上手く如何ないけどね」

(だろうな。まだ、こっちには来ては駄目だ)

「何でだろうね。まぁ、今日はしないから安心し給え。おや?これはルリハコベだね。私への贈り物かな?有り難く頂くとしよう」

(あぁ……今年もこの花は太宰への贈り物だ。受け取ってくれ)

「ふふっ。この花を見ると思い出すね。去年も君から貰ったからね」

(そうだったな。よく覚えているな。嬉しいぞ)

「織田作、嬉しかったよ。有り難う」

(構わんさ。太宰が喜んでくれたなら)

「却説……私は探偵社に行くね。また国木田君に言われるだろうから」

(そうか。来てくれて有り難うな)

「また来るよ。この花の通り。『約束』ね……」

私はそう言って『墓地』を出た。

「太宰、またな」

うん、またね。

私は織田作にそう言われた気がした。




探偵社に着き、扉を開けると……

 




「誕生日おめでとう!!!」





「えっ?此れは此れは……皆、有り難う」 

私は皆に笑顔で言った。

「太宰、一体何処に行っていたのだ?皆ソワソワしていたぞ」

国木田君から少し呆れられた感じで言われた

「すまないね……一寸1つ用事があったのだよ」

「まぁ……良いだろう。ほら、俺達から太宰への贈り物だ」

そう言われて受け取ったのは『青いバラ25本』だ。

「有り難う……皆。嬉しいよ」

私はこの意味を知っている。




こんなにも祝ってもらえるなんて……幸せなことだよ。

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ある男性の誕生日 梛狐 @nkao5121

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