第19話 2023年7月後半 相生のとじまり ~今年は青色申告にならない、らしい~



 ……おいおいおい。予告でリアリアの話って言ってたよな? いえ、これは仕方がないのです。だって、緊急事態だったので。以下、その話。






 突然、税務署のお方から連絡が入りました。


 ……まさかの脱税疑惑!? いやいや、相生、そんな収入なんぞありません!? どこに税を脱する要素が!?


 ドキドキしながら、お話を聞くところによると、開業と青色申告に関する話で、別に相生の脱税の話ではないらしい。


 では、いったい、何が起きたのか、というと……。






 結論から言えば、相生、今年、青色申告、できないそうです。ガーーーーーン!?






 なんてこったパンナコッタ!?


 いったいどうしてこうなった!? 相生は全部、税務署のおねーさんに相談した上でおねーさんの指示に従って書類を書いたというのに!?

(ラノベ的ではない、正しい「どうしてこうなった」の使い方の一例。)






 バタン。がちゃん。(相生が開業したお店のとじまりをする音。)






 相生の開業がまさかの即時終了!?


 いや、マジですか……。


 せっかく開業したというのに、青色申告ができないなんて!?


 ……とりあえず、どういう状況なのか、説明しましょう。






 相生は、この7月に税務署へ行って、開業届と青色申告承認申請書を提出しました。


 でも、専門家でもなんでもないので、実際のところ、よく分かりませんから、税務署のおねーさんを頼りました。


 現状を説明して、どう書けばいいのか、アドバイスを頂いたのです。


 まあ、その時に、開業の経緯というか、要するに、相生が趣味だったネット小説の世界から、お金を受け取って税金を納める状態へと、どうして変わったのか、という話をですね、おねーさんに色々と聞かれた訳です。


 相生は、基本、おねーさんに弱い。とにかく弱い。これが若さ溢れるイケメン男子とかだったら強く出られなくもない(相生の旅エッセイ『旅路の徒然』の第6話を参照。)のですけれど、おねーさんにはゲキ弱です。もう、相生はデレデレとしつつおねーさんの言いなりでした。


 相生は2023年の3月末に、公募の事務局から事前連絡を頂いて、佳作に選ばれたことを知り、それが2023年の4月に公表されました。この佳作によって、相生は賞金を頂くことになったため、開業に至った、ということになります。


 だから、2023年の7月に税務署へと出向きましたけれど、書類上は、相生の開業は4月と、さかのぼって書くことになりました。


 ここからは、税務署のおねーさんにも責任があるんですが、そこは相生の弱点なので、何も言えません。おねーさんは、青色申告の方も、4月の日付で書くように言ったのです。開業が4月にさかのぼりましたからね、相生も何も不思議に思わずに、言われた通りに書きました。






 で、今回、連絡を頂いたのは、税務署のおっさんでした。もう、おっさんというのはですね、見た瞬間に、相生は仲間と認識してしまうんです。これはどうしようもないんですが、一度、仲間と思うと、もう相生は強く出られません。これが若~いイケメン男子とかだったら違うんですけれどね……。


 この税務署のおっさんが言うには、青色申告は、開業から2カ月以内に申請しないとダメだ、と。そう言うんです。まあ、そういうルールがあるんだと思います。相生は詳しくないので、反論も何もありません。


 で、相生は7月に税務署へ行ったので、その2カ月以内というのは9月なワケです。未来ですよ。余裕ですよ。まだ1カ月以上、時間があります。


 というか、前回、同時に青色申告も申請したはずです。


 相生の頭の中は?がいっぱいです。


 そこで、おっさんは丁寧に説明してくれました。


 開業届については、7月に提出しても、4月までさかのぼって開業することはできる、と。


 ふむふむ、なるほどです。確かに、相生はおねーさんに色々と相談した結果、もっとも自然な形となる、佳作を頂いた4月に開業したことになっています。7月に提出したけれど、確かに4月にさかのぼっています。


 だが、青色申告については、開業から2カ月以内なので、5月末か6月1日までに申請しなければならない、と。


 そこで相生は?になりました。


「ええと、どういうことですかね?」

「つまり、書類の提出は7月ですが、開業はさかのぼって4月1日になっているので、青色申告の申請は6月1日までにやらなきゃダメ、ということになるんですよ」

「は……?」


 ……開業から、2か月、以内。相生の開業は、4月。もう、2か月は、過ぎた。あ、確かに!?


「そんなん、ドラえ○んにタイムマシン出してもらわんと無理やないですか!?」

「ええ、つまり、不可能ですね」

「めっちゃ冷静ですね。その返し。いや、一瞬で頭冷えたわ」


 むむむ、と相生は考え込みました。


「……あ、そしたら、開業を7月にしたらええやないですか!」

「いえ、開業事由は、まったくもって正当なものでして。あ、ネットでも確認させて頂きました。今さらですけど、佳作、おめでとうございます。むしろ、7月に開業するとなったら佳作の受賞の話はどうすんのって、ことになりますけど」

「あー……」


 なんや知らんが、おっさんにおめでとうとか言われました。大変失礼なことに、相生は、ありがとうの一言も言えない状態でした。


「……ちなみに、青色と白色って、どこが違うんですかね?」

「そうですね……白色は、赤字を次の年に繰り越せないところが一番大きいんじゃないですかね」

「開業した時が一番お金かかんのに、その赤字が繰り越されへんって最悪やん!?」

「誠に、ご愁傷さまです」

「めっちゃ棒読みやな……あー。旅行費用全部旅エッセイの経費にして、ガンガン赤字出して旅行したって、給料から天引きされとる所得税めっちゃ取り返したろーって思てたのに……」

「スレスレの節税方針を僕の前で堂々と言うん、やめてもらえます?」


 ……このおっさん、なかなかおもろい人やん。絶対エッセイに書こ。


 そう思って、このエッセイを書きました。






 みなさん、開業と青色申告は、2か月以内でなければならない。


 これ、めっちゃ大事です。






 相生はコレで、今年の青色申告、やめました。






 来年からはいっぱい赤字、出してやるるるるるっっっっ!!

(そこは黒字になるくらい成功してやる、と言うべきところですけれどね……。)





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