第14話 書いてる物語とそのリアリティ ~リアリティって何だろうね? 相生なりのリアリティの出し方~
自分が読んでる小説に、ふと、冷める瞬間ってないですかね?
登場人物のセリフや行動に疑問を感じたり、納得できなかったり……。
本屋さんで売ってるような小説ではそーゆーことはほぼないんですけれど、ネット小説だと、私にとってはあるあるです。
小説ですから、山あり谷あり。だから、こういう事件も起きる。そう、強引に納得しようと思っても、できなかったりする。
ファンタジーな世界観で、普通ならひとつしかまともに使えない魔法属性が、神様だか、精霊だかの加護で、複数の属性を思うがままに使える! なんてチート能力がもらえて……え? なんで君がそんなにあっさり誘拐されてんの? みたいな……。
こじつけでも、心理描写で、わざと捕まった、みたいな描写がされてるとかならまだしも……相手がそれを上回ったって……え? 何のためのチート? みたいな。
……もちろん、ご都合主義は大切。大事。とっても大事。
でも、冷める。冷めるんですよね。
頑張って続き読んだら……誘拐されてるけど、色々と無事。は? なんで? 当然、色々とヤられちゃうでしょ……みたいな。相手が自分を上回ったのに尊重する理由とかあんの? 完全に下に置かれたからさらわれたんだよね? ほしいものを手に入れて我慢すんの? 誘拐なんて犯罪行為にまで手を染めて?
どんどん、その物語に対して、冷めていくワケです。別に欝展開が読みたいワケじゃないので、無事でもいいんでしょうけれど……誘拐されて無事で済むなら、そもそも誘拐されないまま物語を進めればいいんじゃないの? みたいな……。
ま、あくまでも個人の感想です。
一番、冷めるのは、たぶん、キャラがブレてると感じる時、ですかね。
そういうネット小説は、結末だけは知りたいから、さくっと斜め読みになっちゃいますね。じっくりと呼んだら「?」ばっかりになって、読み進められない。
結局、それって、小説にリアリティが足りないんじゃないかと、相生は思ってます。
坪内逍遥が小説神髄でも書いてたリアリティ、ですね。
現実性があるか、ないか。どのくらい、あるか。
これがなんで大事になるのかというと、読者の共感、ですよね。ある意味で一番大切にしなきゃいけないもの。
……あー、この気持ち、わかる。
とか。
……まあ、こうなるよな。似たような経験、あるし。
とか。
逆に、「は、こいつ、何やってんの?」と思われたら……それで物語終了ですよ。もちろん、連載の手法として、最後にそう思わせといて、次回! みたいなことはあるかもですけれど。
まあ、全ての読者の共感を得られるワケではないので、大多数の読者の支持を得たいところです。
……なろうなんかだと、感想欄を荒らされて、無秩序で無法な掲示板状態になることも。みなさん、そういう時は、そっ閉じがいいですよ? そっ閉じ、大事。
まあ、共感、と書きましたけれど、納得感とかでも、いいです。
とにかく、登場人物が読んでて自然に感じられるかどうか、とか、その空間が自然に感じられるかどうか、とか、物語の展開が自然に感じられるかどうか、とかですね。
その空間が自然に感じられるかどうか、は一番組み込みやすいリアリティですね。世界観的なものまで含むと大きくなっちゃいますけれど。
ただし、異世界ものは除く。異世界はリアリティが足りないのが基本なので、また、それを書き切るには違った力量が必要になるんじゃないかな?
空間にリアリティを出そうと思ったら、実際にそこにあるものを描写すればいい。
例えば、相生なら、『情けない元カレの未練旅断ち ~オレが前を向いて先へと進むために、溜め込んで澱んだ想いをぶつけるのは許されるのだろうか?~』で、富山という現実の空間を描写することで、空間のリアリティを出しました。
実際に自分が旅行に行って、そこで見たもの、感じたものを、物語の背景として混ぜ込んだんですよね。実際の富山の雰囲気の中で、登場人物は行動しますので、背景にリアリティは溢れてます。
これ、相生は一番簡単に、作品にリアリティを混ぜ込む方法だと考えてます。
旅行しながら、どういう物語が書けるかな、なんて考えながら旅してました。
そこに本当にあった小道具的なもの、例えば資料館っぽいところに展示されていた地図とか、レンタルできる二人乗り自転車とか、実際に食べたハヤシライスとか。そういうものを物語にそっと混ぜ込むだけで、空間のリアリティは出てきますよよね。
……上記の『情けない元カレの未練旅断ち ~オレが前を向いて先へと進むために、溜め込んで澱んだ想いをぶつけるのは許されるのだろうか?~』には、ガッツリ混ぜ込んでますけれど。
でも、本当に行った旅行とは異なる部分も、当然、あります。
西日本に住んでる相生は、富山へ行くのに東京から北陸新幹線は使いません。大阪からサンダーバードで金沢、それから北陸新幹線で富山、ですね。
ただ、東京からだったら、普通に北陸新幹線を利用するはずですから、実際の旅行と食い違っても、そこにリアリティは残ります。
現実世界で小説書くなら、そういう部分の活用はいいと思います。
でも、やっぱり、小説でもっとも重要なのは主人公をはじめとする登場人物、キャラクターですよね。
こっちのリアリティはなかなか、簡単なようで、難しい。
キャラブレ怖い。キャラクターって、簡単にブレるから。
そして、作者は言う。言っちゃう。言ってしまうのだ。
「衝動的な行動です。若いから、そういうこともあるんだ」
……若いからこそ直情的ではあっても、行動原理にブレはなく、年齢を重ねて受容できる範囲が増えるから、ブレてるように見える行動が不自然でなくなったりしていって、さらに年齢を重ねると今度は頑固になっていって……。
ま、そんな感じです。
心理学的な基礎でも齧ってるとまた違うのかもしれませんね。
好きな女の子をいじめる――反動形成の代表的な例、とか。
短編だと、ブレずに書き切れても、長編だと、後々、ブレてきてしまったりとかも、ありそうですね。それを成長だと受け止めてもらえる書き方って、かなりレベルが高いと思うし。
短編で書く練習を積んでいくって、大事だと思います。長編と短編を交互に繰り返せば、書く力量って上がっていくと相生は思ってます。
キャラブレは怖いんだけれど、勘違いされてしまうのは「葛藤」ですね。これは物語の重要な部分になるので、大切なんだけれど、難しい。
キャラがブレないように、「行動原理」を決めて、キャラ設定をするんだけれど、「基本となる行動原理」を守っていると、「護りたい大切な存在」が傷ついてしまう、みたいな状況です。
当然、そのキャラはそこで苦悩するんですよ。どっちをとるのか。
ラブコメで三角関係が基本なのは、そういうことですよね(あくまでも個人の感想です)。
え? 全然ちがうだろ? そのパターンは、優柔不断が行動原理だろ? その通り。でも、優柔不断だから、二人のどっちかを選べなくて、苦悩するから、キャラが人間らしさを持つんじゃないですかね? それってリアリティですよね。
ところが、そのパターンでキャラが苦悩しないと、途端にリアリティはなくなっていくんですよね。難聴系主人公とか、鈍感系主人公とか……ハーレムの女の子の一途な恋心にはリアリティを感じても、ハーレム男には「?」しかなかったりします(あくまでも個人の感想です)。まして、女の子がハーレムに同意するパターンは……原始時代の強いオス状態ですか、と。この現代社会で、と。
どっちかが結ばれて、どっちかが失恋するから、リアリティがあって、共感もできるんじゃないでしょうかね……。
キャラのリアリティは重要なんだけれど、相生にはうまく書くテクニックを説明できそうにないです。
だから相生は、「空間のリアリティ」を混ぜ込んで誤魔化します。
展開に関するリアリティは、プロットですよね。
原因と結果の因果関係があるかどうか。しっかりプロットの段階で確認しておくことが大切だと思います。
昔、やおい、という言葉がありましたけれど、展開に関するリアリティのない作品の代表的なものって、エロ同人まんがとかじゃないですかね。とにかく、エロい状況になればいい。読者の欲望をいかに素早く満たせるか、ですね。山もなければ、オチもないし、意味もない。
でも、小説でそれはちょっと……。
小説にリアリティなんかいらないんだ、という説もあるのかもしれませんけれど、少なくとも相生はそういう小説を面白いとは思わないタイプなので。
それでいて、相生は一番簡単そうな「空間のリアリティ」でそのへんをうまく誤魔化そうと企んでしまいます。だって、相生にしてみれば、一番簡単にリアリティが出せますから。
相生的「空間のリアリティ」に満ちた『情けない元カレの未練旅断ち ~オレが前を向いて先へと進むために、溜め込んで澱んだ想いをぶつけるのは許されるのだろうか?~』をどうかよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16817139558134668366
富山に行った気分になれるかもしれませんよ?
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