第13話 実際のところ、どんなプロットになるんだろうか? ~相生のプロット騙り~



 なんとなく、創作っぽいことを相生の思い出とともに説明してきましたけれど、実際、みなさん、どんなプロットなんですかね?


 フローチャートみたいになってるんでしょうか? もうフローチャートとか言われた時点で?だったりするかもしれませんよね。


 プロットなしで書くのをパンツァーと呼ぶそうですけれど、結局のところ、それって、プロットが頭の中にある状態だと思うんですよね。


 それをガーーーーーーってガンガンいこうぜって感じに書くのがパンツァー。


 頭の中にある物語を一度、整理して、細分化していくのがプロッター。そういうことなのではないかと思うんですよ。


 まあ、実際、少しだけやってみるのがいいのかな、と。


 相生のプロットは基本、短文・箇条書き・起承転結です。別に起承転結は序破急でもいいです。


 作品は『寝取られ幼馴染の地獄堕ち ~あんなに好きだと思っていた相手が、今では気持ち悪くて見たくもないと思うオレは歪んでいるのだろうか?~』で、考えてみたいと思います。


 まずは短文を4つぐらいから。3つでもいいのかもしれません。




――――――――――――――――――――――――――――

<プロット>


彼女が浮気セックスをする。

彼女の浮気を知って苦しむ。

彼女の浮気によって別れる。

彼女は浮気が知られて外に出られなくなる。


――――――――――――――――――――――――――――




 スタートとしては、こんな感じでしょうね。

 全体の流れはこうだ、という部分。骨組みですかね。


 ここに、疑問を持ってきて、それをぶつける。なんで浮気したのか、とか、なんで浮気が知られたのか、とか、どんな風に苦しんだの、とか、どうやって別れたのか、とか、そもそもどういう彼女なのか、とか。


 自分自身に問いかけて、それに答えていく。ひたすら、自問自答する。


 この疑問の答えを、また、短文で書き加えていくワケです。それぞれの間に。




――――――――――――――――――――――――――――

<プロット>


彼女が浮気セックスをする。

 彼女は元々幼馴染だった。

 受験勉強で会えない時間が増えた。

彼女の浮気を知って苦しむ。

 気持ち悪くなって吐く。

彼女の浮気によって別れる。

 浮気したから別れを告げた。

彼女は浮気が知られて外に出られなくなる。

 友達とのチャットに書き込んだ。


――――――――――――――――――――――――――――




 一文字ずらして書くことで、階層を分けていきます。このずらす位置は別に変化してもいい。


 とにかく、自分に問いかけていくように疑問をぶつけて、その答えを書き加えていく。自分の中にある物語と対話するように。


 幼馴染からどうやって彼女になったのか? とか。ああ、それについては、こういう感じかな……。

 受験勉強でどうして会えなくなったの? とか。ああ、実はこの二人は……。




――――――――――――――――――――――――――――

<プロット>


彼女が浮気セックスをする。

 彼女は元々幼馴染だった。

  思春期を迎えて、好きだと気づいた。

  もう一人の幼馴染に協力を頼んだ。

  告白して受け入れてもらえた。

  幼馴染でもあるので熟年夫婦と呼ばれた。

 受験勉強で会えない時間が増えた。

  元々二人の学力に差があった。

  二人の将来のためにも頑張ろうとした。

  彼女は学力に見合った塾を選んだ。

  そこで他の男と仲良くなった。

彼女の浮気を知って苦しむ。

 気持ち悪くなって吐く。

彼女の浮気によって別れる。

 浮気したから別れを告げた。

彼女は浮気が知られて外に出られなくなる。

 友達とのチャットに書き込んだ。


――――――――――――――――――――――――――――




 短文が増えていけば、関連する部分も出てきます。特に、登場人物同士の関係性で、何も感じないのはおかしいし、関わらないとか有り得ないですからね。


 幼馴染の恋人なら、親同士はどうなのか? 付き合う時にどうだったのか? それなら別れる時はどうしたのか? もう一人の幼馴染はどっちの味方に? など、ですね。


 関連付けをすることで、物語がぐっと大きく膨らみを持つようになります。




――――――――――――――――――――――――――――

<プロット>


彼女が浮気セックスをする。

 彼女は元々幼馴染だった。

  思春期を迎えて、好きだと気づいた。

  もう一人の幼馴染に協力を頼んだ。

  告白して受け入れてもらえた。

   どっちの親も認めてくれた。

  幼馴染でもあるので熟年夫婦と呼ばれた。

 受験勉強で会えない時間が増えた。

  元々二人の学力に差があった。

   もう一人の幼馴染は彼と学力が同じぐらいだった。

  二人の将来のためにも頑張ろうとした。

   もう一人の幼馴染は彼の頑張る姿を見ていた。

  彼女は学力に見合った塾を選んだ。

   もう一人の幼馴染は彼と同じ塾に通っていた。

  そこで他の男と仲良くなった。

彼女の浮気を知って苦しむ。

 気持ち悪くなって吐く。

彼女の浮気によって別れる。

 浮気したから別れを告げた。

   相手の親に浮気したことを伝えた。

彼女は浮気が知られて外に出られなくなる。

 友達とのチャットに書き込んだ。

   もう一人の幼馴染は彼女の浮気に怒りを抱いた。


――――――――――――――――――――――――――――




 まあ、ずっと、この作業をしてても、基本的には同じことの繰り返しですから、このくらいで。




 まず、骨組みとなる短文を4つ、書く。


 自分の中にある物語について、自分に問いかけ、その答えを書いていく。それを、階層を分けて、何度も繰り返して行く。できれば起承転結や序破急を意識する。


 関連する部分を繋げていくような問いかけで、物語の構造を膨らませる。




 これが、相生の短文・箇条書きによるプロットになります。


 最終的に、この作業を続けていけば、どこかで短文の順番を入れ替えたりしつつ、そこにもっと長い文章を加えていって、物語が出来上がっていくワケです。

 まあ、「あー、もう書けそう。書けるな。よし、書こう」と、そう思ったら、ガーッて書き進めていくワケです。短文ではなく、長文で。


 もちろん、登場人物に名前を付けたり、会話の語尾、一人称、そういったものを決めていきます。そういう特徴を持たせないと、「」の中で誰のセリフか判断できないですよね?


 あとは、自分なりのテーマですかね。小さなものでもいいので、そういう何かを混ぜる。


 この物語の場合は、ネットの怖さとか、バタフライエフェクト、とか、そういうのを意識しました。主人公は積極的に復讐しようとはしないんだけれど、結果として、浮気女は追い詰められていく、みたいな……。

 具体的には、グルチャでちょっと、つぶやいただけ。それなのに……!! みたいな。


 そうなるんなら、高校生よりも中学生の方がもっと潔癖な感じになるからその方がいいな、とか。全体的な設定も少しずつ決まっていくワケです。




 そんな風にして書かれた作品は最終的に『寝取られ幼馴染の地獄堕ち ~あんなに好きだと思っていた相手が、今では気持ち悪くて見たくもないと思うオレは歪んでいるのだろうか?~』という物語になりました。


https://kakuyomu.jp/works/16816927860964195909


 もし良かったら、読んでみて下さいね~。






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