第8話 2021年10月 相生、ネット小説ではない公募にチャレンジ ~HJ小説大賞2021中期未発表新作部門~(1)



 約2年前か。1年……と9カ月前? 8カ月前? まあ、それくらいかな?


 相生はネット小説ではない公募にチャレンジしました。ネット小説ではない、というところがミソです。


 この公募はHJさんですね。夢男アニメ化おめでとうございます。めっちゃ期待しています。めっちゃ期待しています。2回言いました。


 HJさんの公募は、実は3つあって、なろうでタグを入れるだけのなろう部門が前期。未発表新作にあらすじ付けて、枚数制限で応募する、一般的な公募パターンの未発表新作部門が中期。あと、HJさんの自社枠になるノベプラ部門が後期。


 相生は、この中期の、未発表新作部門に応募したのです。じゃじゃん!


 いやいや、なろう部門でタグだけ入れてりゃ楽じゃん。

 なんでわざわざ、文字数と枚数指定の上、あらすじまで要求されてんのに、そんなのに応募すんの? メンドくない?


 いや~、確かに面倒なんですけれども、ちゃんと理由があるんですよ。


 この未発表新作部門なんですが、応募要項の中に『一次審査通過者の中で、希望される方には、作品の評価をまとめたシートを審査後にPCメールにて送付いたします。』って、あるんですよ。


 これに気づいた相生は思いました。


 ……自分の筆力を、ズバッと客観的に評価してもらえるんじゃね? え? それってすごくない? めっちゃすごくない?


 ちょうど、書いてはエタらせ、書いてはエタらせ、と。とこしえの世界を次々と量産していたこともあってですね。

 相生は自分の力量が知りたかったんです。客観的に。書き手としての力量がどれくらいあるのか、というものを。

 特に、『アインの伝説』がいろんな公募で、一次は通ってから落ちる、一次は通ってから落ちる……というのを繰り返していたこともあってですね。

 どの程度の力量で、何が足りなくて、どこが長所なのか、と。

 自分を知りたかったワケです。


 ただし、『中期の応募作品は、未発表のオリジナル作品に限ります。未発表作品とは、過去一度も商品化、同人誌等での掲載、インターネット上での公開をされたことが無い作品を指します。』と要項には書かれてるから、既存の作品はアウト。


 完全新作でのチャレンジですよ。未発表作品を書くんです。書いてもしばらくは賞の関係者にしか読んでもらえないという……承認欲求がなかなか満たされないタイプですよね、こういう公募は。

 ネット小説だと、読んでもらえないというパターンも含めて、即レスですから。


 しかも、この賞で評価シートが頂ける(あくまでも一次通過ですよ?)と気付いたのは10/3というタイミング。〆切は10/31でした。


 ……1カ月切っとるやないかーい。


 要項の規定だと、「原稿データ」は1ページ40文字×32行の書式で、80枚以上130枚以下。

 およそ10万字だから、本1冊くらいの文量。分量?


 ……1カ月で本1冊分、書けるのか? しかもそれを一次通過できるクオリティで?


 相生にできるのか、本当に、という疑問しかない。

 でも、評価シートで自分を客観視してみたい。


 この評価シートは、5項目の10段階評価によるレーダーチャートと、選考総評が書いてもらえるというなかなかの優れもの。

 5項目の評価は、1文章力・文体、2キャラクター・台詞の魅力、3設定・世界観、4ストーリー・構成力、5同時代性、というもの。

 50点満点で何点くらいか、相生が数値化されちゃう!? いや、50点満点なら受賞するだろ……ということは、少なくとも、一次通過レベルが点数化されるって話であって……。

 しかも、数値の凸凹で、苦手分野と得意分野も明らかになるんですよ。


 ……ほしい。これ、めっちゃほしい。


 これをもらえたら、自分がわかるかもしれない。絶対にほしい。


 お友達と書いたものについて議論すればいいじゃん。

 みたいなことを思う人もいるかもしれません。


 あれはダメですよ。人間関係が終わりますよ。


 自分はまだ足りない、と思っていても、それをズバズバと言われるのはキツいんです。なろうの感想トラックですよ、それは。

 それを友人間で互いにやっちゃうとか、相生には無謀だとしか……あ、相生、そもそも友達少ないんで関係ないかも。


 とにかく、ガチ批評を知人間でやっちゃうと、その後の人間関係がめっちゃ微妙ですよ。相生はそれは避けたいですね。


 批評は他人だからこそ、です。


 相生が決断したのは、気づいてから10日後の10/13でした。

 書くよ。書くわ。書きたい。書かねば。書け。と。とにかく、書いた。相生はとにかく書きました。

 間に合わなかったら、なろうでアップすりゃいいじゃん、と。

 そう。

 間に合わなかったとしても、公開する機会は保証されている。そこは別に、今までと変わらないのだ、と。相生はそこに気づきました。


 そんな感じで、相生は10月の激闘に身を投じました。まさか激闘になるとは思わずに。




 10/13の初日は8枚。最低80枚なので達成率10%。


 コロナワクチンでなんか発熱して、仕事は早退。それをラッキーととらえて、書く。

 10/24の時点で47枚目。達成率は約50%。あと7日間! 燃え尽きるまで頑張るぜ! これが私の火の七日間! 焼き尽くせ! どうした、それでもキサマはなろう戦士の末裔か! だが相生はなろう戦士の中でも最弱……。


 ちょっと熱が下がって仕事に復帰。通勤中にプロットの見直しをかけて、仕事場近くのマクドで朝マックしつつ、ノパソを広げて執筆。10/26の朝7時頃、58枚目。達成率約75%!


 その日、仕事に復帰したけど、また熱が出て、再度、早退。何やってんだ?

 結局、自宅で執筆。ゆっくり寝るという選択肢はない。10/26の夜23時頃、64枚目。達成率約80%! 仮病じゃないよ?


 翌日、朝から電話ひとつで休みをもぎ取った相生。もちろん執筆。部長! あいつ、実は仮病かもよ!?

 10/27の午前11時頃、70枚目。達成率は約87.5%! 残すはあと3日半!?


 いや、マジですか。これならワンチャンあるな。〆切に間に合う可能性が出てきたぜ! コロナワクチンの効果はバツグンだ!(仕事を休めるとか、執筆の時間が取れるとか、そういう意味で。)





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