第3話 2018年8月 相生、ネット小説にデビューするってよ ~『かわいい女神と異世界転生なんて考えてもみなかった。』について語りたい~



 もう、5年前? になるんですかね。


 相生は、ふと思い立って、ネットに小説をアップしました。

 それまでも小説を書いていたことはありましたけれど、基本的に就職してからは忙しくて、そんな時間はなかったな、と。

 仕事に慣れて、時間が作れるようになって、ようやく、そういう趣味の時間が……。


 ネットに小説が書けるなんて、知らなかった、というのもあります。


 つまり、小説家になろうと出会ったことがきっかけでした。なろうに出会ったのは、デスマだったか、転スラだったか……。

 続きがネットで読めると聞いて、マジか!? と。


 それで、なろうで続きを読んでみると、実は自分でも書けるらしい……。


 あ、それなら書こうかな、くらいの軽い気持ちでした。

 もちろん、なろうのことなんて何も知らない状態でした。


 そうして書き始めたのが、『かわいい女神と異世界転生なんて考えてもみなかった。』です。これが相生のネット小説デビュー作になります。


 なろうでの最終的な到達点は、総合評価がだいたい4000ポイント、ブクマは1200くらいでした。




 なろうの仕組みなんて何もわかってなくて、とりあえず、書けたらアップする、書けたらアップすると、そういう感じ。


 プロットを用意して書く人をプロッター、とにかく書く人をパンツァーと呼ぶそうですけれど、この時の相生はパンツァーでしたね。間違いなく。

 パンツァーって、要するに「プロットが頭の中にある」状態のことではないかと。


 主人公が女神を背後霊みたいに引き連れて、一緒に転生するお話。

 テーマは自殺。スイサイドですね。もうひとつが教育。


 全然テーマに届かず、エタってしまったんですけれど、まあ、その方が良かったかな、と。


 あ、形の上では、一応、完結しています。ただ、伏線が残ったまんまですね。そういう意味ではその世界を描き切っていないので、エタ、です。


 頭の中にイメージしてたのはGSMのオキ〇ちゃんですね。あんなかわいい性格のいい子が近くにいたら楽しいだろうな、と。

 いやいや、だったらなんで自殺をテーマにしてんだ。アンタ、頭おかしくないか? そう言われても仕方がないかもしれません。


 ……当時、学生時代の友人が自殺してしまったんですよね。それで、色々と思うところがあって。


 まあ、そういう心の中のドロドロとしたものを吐き出したくて書いていた、というのはあります。


 それと、中世ヨーロッパっぽい舞台のお話が多かったので、もっと古い時代の、原始世界や古代世界を書いてみたい、というのがありました。めっちゃ不便な感じの。


 異世界は、神様たちの箱庭。

 そして、自殺した人の魂に懲罰を与えるための世界。命を粗末にしたら地獄に落ちるとかよく言われてますけれど、そういうイメージでした。割とふんわりでしたね。

 自殺した魂を転生させて、古代世界を少しずつ発展させる、神様の、なんだろう、シムシティ的な感じの。

 そこに、自殺ではなく、事故死した主人公が転生させられて、クレームをつけた結果、手に入れたチートでいろいろとやっちゃう。

 古代社会は強い男に女の子が集まるから当然ハーレムものですよね。

 神様の方も、こいつが転生したら、世界が進歩し過ぎてちょっとまずいと考えて、とんでもない僻地へと主人公を追いやるワケです。

 同行者はドジっ子なかわいい女神がひと柱。


 ここまで書いて思うのは……。


 ……いや、誰が読むよ、こんな小説。


 ですねー。笑っちゃいます。




 実際、最初は、ほとんど読まれなかったですね。


 今だからはっきりと言えますけれど、なろうはそもそも、連載作品は読まれにくい環境にあります。これはそもそもの作品数の多さが、どんな新作であっても埋もれさせてしまう訳です。


 なろうは短編、カクヨムは長編連載。

 この違いは大きいですね。


 なろうで読んでもらうためには、地道に作品を積み重ねて、読者を獲得して、そうなって初めて、ランキングに入って、ポイントがもらえて……。


 逆お気に入りユーザが少ない状態では、なろうは戦えないですね。




 そうは言っても、なろうで底辺作家と言われるのはブクマ100未満だそうです。

 一応、『かわいい女神と異世界転生なんて考えてもみなかった。』はブクマ1000オーバーですからね。底辺ではなくなってます。


 じゃあ、どうして読まれたのか。


 そもそも、なろうについて無知な状態で、ランキングすらよく分かってなくて、とにかく書いてアップするだけだったワケですから、戦略も戦術も、何もないんですよ。

 最初の方なんて1話あたり1万字くらいで書いてました。

 3話で、もう無理、ブラバします、みたいなことも書かれました。


 それなのにどうして底辺を脱したのか。


 ズバリ、運ですね。運以外の何ものでもない。




 きっかけはひとつの感想を頂いたことでした。


 ただし、その感想を下さった方が、とんでもなかった。


 なろう世界ではトップランク。


 あの、平均値の能力を求めた女の子が異世界ではちゃめちゃしでかす物語を書いているお方だった訳です。なろうで3作品の書籍化、現在、2作品がアニメ化済みという、スーパースターです。


 しかも、かなり好意的な感想でしたので。


 それを頂いてから、おそらくその先生のファンだと思われる方が、たくさん読みにきてくれました。もう、全然PVが違うんですよ……。


 ある意味では「スコップ」のひとつの形だと思います。


 スコッパーではなく、有名作家さんだったというだけで。


 それで、アクセスが増えて、ブクマが増えて、ポイントも増えて……。

 当時はまだ、なろうで評価が二種類に分かれていた頃でしたね。


 急に読まれるようになって、とても驚きましたけれど、すごく嬉しかったです。




 ただ、仕事と執筆の両立がうまく出来ず、執筆間隔が開くと、執筆感覚も狂って、なかなか続きが書けなくなっていくワケです。


 もちろん、パンツァーの限界だったのかもしれません。頭の中にあるプロットだけでは、書き切れない何かがあったんだと思います。


 結局、転生から仲間を増やし、最初の課題をクリアするところまで、そして、そこから世界を広げていくところまで、さらには古代王国へと踏み込んでその国の混乱を解決に導く……というところまではなんとか書き切ったんですけれど、この世界の秘密を明らかにしていく最終章は、書くことができずに終わりました。


 形の上では、区切りのいいところで終わっています。


 ただし、肝心の世界観が語り切れていない。

 なぜ転生するシステムがあるのか。

 神様たちは何を考えてるのか。


 そういう部分をひとつも書けなかった。


 ……今の力量で、ちゃんと設定を組み立てて、プロットも組めば、書き切れるのかもしれないですし、それでも書けないテーマなのかもしれないですし。


 どっちなんでしょうねぇ。


 あ、カクヨムでは8月1日から、毎日更新で公開する予定になっています。興味がありましたら、夏休みの娯楽としてお楽しみ下さい。


『かわいい女神と異世界転生なんて考えてもみなかった。』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893673457




 なろうでは、長編連載は読んでもらえない。

 なろうで読んでもらえるかどうかは運ゲー要素が強い。


 SNSで自分から宣伝できたりするんなら、違うのかもしれません。


 でも、それがなろうのスタンダードです。


 長編連載を書くなら、カクヨムで!


 相生は、お世話になっているカクヨムさんに全力で媚びを売ります。






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