第17話


関わるとろくなことにならない。

それから二日後に、やはり騎士オルガは事故にあったと言われ、職場から消えた。


ロレーヌは窓の外を見るばかりで、あまり食事をしなくなった。


ロレーヌの侍女たちはあまりロレーヌに話しかけない。

それからずっと、ロレーヌは一口二口食事をしただけで、食事をやめてしまう。

仕方ないのでロレーヌにハリスは話しかける。


「お食事いらないのですか?」


にこにこ笑いながらロレーヌは頷いて、すぐに窓の外を見ている。


「食べないと、お身体に障りますよ」

これはクレオ殿下に報告せねばと、ハリスが思っていると、ロレーヌは目を輝かせてうれしそうに微笑みながら、一枚の紙をハリスに差し出してきた。


「これは?」


「これ、私の甥っ子への手紙なのだけれど、届けてほしいの。だめかしら?」


「クレオ殿下に一度報告してですけど、いいですか?」


こくりとロレーヌは微笑む。


「それともう一枚手紙があるのよ」


「もう一枚ですか?」


「この手紙は私の騎士のシャパードへ、届けてほしいの」


そのロレーヌの言葉に、ハリスは心臓に冷たいものがはしる。


「・・それは・・・」


「お願い」


まずいことになる。


「なりません。王子の側妃様が、他の男への手紙など」


「そう・・。残念ね」


ちっとも残念そうな顔をせず、ロレーヌは微笑んだ。


ハリスは咄嗟に、その手紙をポケットに入れてしまった。厄介なことになると、確信して。


一方そのころ、クレオの元には、ロレーヌの元婚約者の侯爵家の嫡男アロイが訪れていた。


「殿下。殿下の側妃様であられるロレーヌ様が、私の息子を誘拐しようとしたと、私の妻が言っている。・・・・それは本当だろうか?」


アロイがそんなことを言う。


クレオはおかしくなって、冷たく笑った。

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