第7話


朝起きたらベッドには、ロレーヌ一人きりである。

昨晩のことは夢?

鏡を見ると、ロレーヌの首筋やらそこにはキスマークがついている。鏡にはいつもの不細工なロレーヌの姿が映っている。

シャパードは立派な体躯だし、別に他の女性にもモテそうな人である。昨夜のことをどう考えてもわからないので、シャパードは熱さに頭をやられたのだと、考えることにした。

まぁ、いいでしょうと、ロレーヌはにっこり微笑んで、昨夜のシャパードの奇行を忘れることにした。


扉が叩く音がして、「ロレーヌ様」とシャーロットの声がしてくる。

「はい」

ロレーヌは微笑んで、声を上げた。

シャーロットに手伝い身支度をしていると、部屋がまたノックされる。

「ロレーヌ様」

シャパードの声だ。


「なぁに?」

にこにこロレーヌは微笑む。


「ロレーヌ様のご実家の方から、ロレーヌ様に面会を申し出ている方が来ています」


ロレーヌの実家からの急な訪問。事前に連絡しないで来るのは困るわ。

ロレーヌはため息を吐いて、困って笑う。


「今行くわ。しようがない人たちね」


シャパードは前は側妃様と呼んでいたが、ロレーヌ様と呼び名を変えたことに、ロレーヌは気づいていた。



ロレーヌが待ち人のもとに行くと、そこには男の子を抱いた見知らぬ女性がいた。


「ロレーヌ様ですね?私はジュベール伯爵家の乳母のイリエと申します。あなた様の妹カリア様の命で、こちらに来ました」


「カリアが?」


ロレーヌとカリアはあまり話したことがない。お互い顔を合わせたことがあまりない家族だった。


「こちらのお子様は、カリア様の次男イール様であらせられます。イール様の面倒をカリーヌ様に見てほしいと、カリア様から仰せつかりました」


この乳母さんの抱いているつまりロレーヌの妹の子供を、ロレーヌが面倒を見ろということらしい。

ロレーヌは笑顔のまま固まった。

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