創造と腹ペコのジレンマ
「無限の腕輪と俺の魔法については大体理解した、ホウトウ、これってなんとか解決出来たりしないのか?」
「創造を続ける限りは不可能でしょうな、ですが、緩和することは可能かと」
緩和? 脳のダメージを減らすってことか……。
「それってどうしたらいいんだ?」
「創造する物体をあらかじめ、記憶しておくことです」
「記憶?」
ホウトウは静かにい頷き、コツコツと音を立てながら歩いて自分の椅子に戻った。
「例えば、ガイ様が最初に創造した机、あれは四角い物体と丸い円柱をイメージしてお創りになられたはず……、大きさや形を毎度創造するのではなく、あらかじめ、何かに近いものに似せてからイメージをする。いわば大枠を作ると言い換えた方がよろしいかな」
なるほど! 目から鱗が落ちたような気分だ。確かに、それなら、急に創造する際にも機転が利きそうだ。それに脳への負担も少ない。多くの創造を一度にすることもできそうだ。
「過去にガイ様はそういう経験をもうされておられるはず」
「経験? 俺がか?」
「確か、あれは赤と青と緑の魔法使いと戦った時の事。あの時は怒りに任せて隕石を無我夢中に創造されたはず、しかし、大枠を決めておらなんだために隕石の形は均一ではなかったはずですじゃ」
確かに、あの時、隕石の大きさがバラバラだったのは、そう言う事だったのか。隕石の大きさをあらかじめ決めておけば、大きめの隕石を創造することができてたってわけね……、え、でも待って。そしたら……。
「まぁ、そのおかげで
そう言う事だよな。でも、アイツらを殺すことが俺の目的ではなかったわけだし。俺は目の前のコップを手に取り、軽く口に含んだ。
「よし、なんとなく理解できてきた、ありがとう」
「ほーほっほ、なんのこれしき」
「さてと、また聞きたいことがあったら、聞くとするか。そういえば、レイチェル、森でなにか不審なことは無かったか?」
「あぁん? ウチが失敗するとでも思ってんの?」
レイチェルはバンッと机を叩き、怒った顔でこちらを睨んできた。いや、ただ聞いただけなんだけど……。
「あぁ、でも1個だけあるとすれば……」
「なんだよ、あるんじゃないか。で、それはなに?」
「なんか、ライガー達が物凄い大群で畑の食料持って行ってたよ? みんな待ってたっぽいから、畑のイモ渡したらバクバク―――」
「おぉい! 勝手にイモあげてんじゃねぇよ! 俺の食い物が無くなんだろうが!」
クソッ、俺はゴーレムじゃないんだぞ。食い物が無かったら飢え死にするじゃねぇか! 幸い少し備蓄があるからいいものの、少しは考えろよ。
「だってさ~、あいつら可愛いんだもん。目がクリッとして、尻尾をフリフリしてさ。あれは誰でもあげたくなるって」
「それでですか、レイチェルさん。あまりあげないでください」
ミスズがすかさず叱責した。そうだミスズ、言ってやれ!
「私もあの子たちにあげたいんですから、少しは残しててくださいよ」
お前もかよ! なんだよ、揃いも揃ってライガーに食い物渡しやがって! あぁ、ダメだ……いろんな意味で頭痛くなりそう。
「大丈夫ですか? ガイ様、少しふらついておられますが」
「お前らのせいだろうがー!!!!!」
思わず大声を出した、出さないと頭がおかしくなりそうだったから。
グウウゥゥゥ……
盛大に腹の音が鳴る、さっきから食べ物の話ばかりをしたからかな。まぁ、ここらで1回食事でも挟むかな。
「ガイ様、お腹が減っているようですね。なにか簡単にお作りしましょうか?」
「え、ほんと? それは助かるな。それじゃ、お願いしてもいい?」
「かしこまりました。それではすぐにお作りしますので、ここで待っていてもらっていいですか?」
ミスズはそう言って家に転がっている食材をとって、家の外に向かった。外にはかまどもあるし、ベッドもあって労働力もある……少しずつだが、生活もしやすくなってきたな。ほかにも必要なものがあったらその都度、足していくとして、ご飯食べた後はどうしようかな? 俺はそんなことをミスズがご飯を作ってくれている間に考えていた。
しばらくすると、ミスズが食べ物を皿に盛りつけて戻ってきた。結構待ったからもうお腹もペコペコだ。そういえばミスズの料理って初めて食べるな。一体どういう料理が出てくるんだろう。
「お待たせしました」
コトッ……
皿の上には何やら得体の知れない料理。これは……。
「ねぇ、ミスズ、これは……なに?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます