無限の代償
「……様、……ガイ様。起きてくださいガイ様」
耳から聞こえる優しい女性の声。俺はゆっくりと目を開ける、そこには俺の顔を覗き込むミスズが俺を起こしてくれていた。
「おぉ、ミスズか……。だいぶ寝てたっぽいけど……」
「3日間寝ておられました、だいぶお疲れのようでしたね、見てください涎で世界地図です」
「いや、見ないよ……それより、みんなは?」
「ホウトウ様は、近くにある岩の上で静かに小鳥と戯れております。ローランド様は部屋の外で1日中見守ってくれています。レイチェルさんは森の徘徊をして警戒をしてくれています」
「そうか、ありがとう」
俺はベッドの上にいた、ミスズがあの後運んでくれたっぽいな。俺はあくびをしながらベッドから降りた。ベッドには枕と布団が敷かれているが、村から調達したのをミスズが準備してくれたみたいだな。さすが俺の身の回りをするゴーレムだ、ちゃんと部屋を綺麗に片付けて……
「って、クソきたねぇじゃねぇか! なにやったらこうなるんだよ」
部屋はぐっちゃぐちゃだ、物は散乱してるし、畑から採った食料は山のように積まれてる。これじゃ生活も一苦労だな……。
「この後はどうされますか?」
「え、この状況でそれ言う?」
ミスズはきょとんとして俺の顔を覗いている。……いや、これ以上追及するのはもうやめよう。自分で片付ければいいし、俺はそれよりも知りたいことが山積みだ。俺はミスズに指示を出す。
「ミスズ、みんなを集めてくれ、聞きたいことがあるんだ」
「かしこまりました、すぐに3人を集めてまいります」
俺はミスズが3人を呼びに行ってる間に、リビングに向かい、大きめの丸いテーブルと5つの椅子を創造した。この世界に来てから随分と創造をしてきたからな、だいぶ要領よく創造ができるようになってるぞ。
「ガイ様、3人お呼びしました」
「ほーほっほ、お呼びですかな?」
「……」
「チッ、めんどくさ」
「レイチェル、やっぱりお前だけちょっと違うんだよな……まぁいいや。とりあえずさ、そこにみんな座ってよ」
4人はそれぞれの椅子に座り、俺もみんなが座ったのを確認した後椅子に腰を掛けた。
「みんなに聞きたいことってのが、俺の創造魔法についてだ」
そう、俺はずっと気になっていた。俺のこの魔法は結局どんな魔法なのか、土の魔法ってのは一体なんなのか、色んな人に聞いてきたがどれもイマイチピンとこない。
「ミスズは俺の『知らないことも知ってる』って言ってただろ? 俺は創造魔法を使用した後に強烈な頭痛やめまいに襲われるのは何か関係があるのか?」
「そうですね、まずガイ様の魔法はいずれも莫大な魔力を消費しているということです」
「莫大な魔力?」
「はい、本来”創造魔法”とは膨大な魔力を有する土の魔法使いのみが使用できる魔法です。そして唯一の欠点は脳を異常に酷使するということ」
ミスズの説明を補足するように、ホウトウが淡々と話し始めた。
「一種のパンチドランカー状態とでもいいましょうかな。そのような状態で更に魔法を使用すれば最悪、記憶障害、脳死もあり得ます。それ程に酷使することはあり得ないですがな」
「じゃあ、どうして俺だけが?」
ホウトウは立ち上がり、俺に近づくと左腕に着けている腕輪に優しく触れた。
「この”無限の腕輪”のおかげであり、原因もまた”無限の腕輪”にあります」
無限の腕輪……やっぱり、コイツには無限の魔力が秘められてるってことか。
「無限の腕輪は魔力が際限なく使用できる。通常の魔法であれば魔力が無くなれば魔法は使えない、これが鉄則。しかし、腕輪の持ち主は魔力が無くならない、ゆえに知らぬ間に脳へダメージが蓄積していくのです」
なるほどな、だから魔法で創造をするたびに、目まいや頭痛がするのか……。つまり、この最強に思える魔法と、腕輪も使い過ぎには注意しないといけないってことね。
「気を付けてくださいね、我々4人はガイ様からの魔力の供給によって動いているので、もし腕輪がガイ様から離れれば、ものの10秒もしないうちに我々は微動だにしなくなりますので」
ミスズはそう言いながら、俺の机の前に水の入ったコップを用意してくれた。
「え、そうなの? それって、俺を魔力をずっと消費してる?」
「そう……ですね。我々は常に魔力をガイ様から頂いておりますので、言ってしまえばず~っと満腹状態といったらいいでしょうか」
「ゴーレムはどれほど強力な魔法使いでも1体が限界、それも5分程度ですからな。我々4体を動かすとなると……ざっと世界中の魔法使いを足しても1日中動かせるかどうか……」
いや、お前らどんだけ魔力食うんだよ―――
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