愉快なゴーレムたち
「なにやってんだよ、自分の身体が土でできてるって忘れたのかよ!」
「申し訳ありません、珪藻土でできているので、ワンチャン行けるかと……」
ゴーレムがワンチャンとか言うなよ、なんで少し現代が混じってんだ。俺はミスズに新しい足を創造しなおし、さらに補強するため、チタン製の足に変えてあげた。これで濡れても問題は無いだろう。
「いいか、俺は他のゴーレムも作り直すから、できる限りでいいから畑よろしく頼むよ?」
「かしこまりました、お任せください」
任せてられないから、ここに来たんだっての! 俺はブツブツ言いながら家に戻り、1体のゴーレムの手を掴んだ。ミスズを創造したときに要領は掴んでる、”盾”の前に次は”頭”となるゴーレムを先に創造しようか。頭がいいって言うと、軍師か……。諸葛亮や竹中半兵衛、黒田官兵衛がいるけど、あまり強く助言されたりすると、俺委縮してしまうからな。ここは頼れるって意味でも龐統がいいな。よし、名前はホウトウで。
ゲームとかで見た目は老人みたいにしてるから、イメージしやすいな。ついでだから杖を持たせてあげよう。魔法使いのような帽子を被せて、背格好は低くても大丈夫かな?
俺が創造したホウトウは三国時代の中国の服を着たような老人の姿だ。目は土で作った布のようなもので隠してみたんだが、問題は動くかどうかだな。
「いいか、お前はこれからホウトウだ、俺の”頭”として動いてもらうからな」
ホウトウは口角をゆっくりと上げ、土の髭を撫でおろす。
「ほーほっほ、承知しました。このホウトウ、我が主であるガイ様に仕えさせていただくこと心より感謝いたしますぞ」
喋り方がいかにも老人だ、まぁ、老人の見た目で若者言葉使うわけないか……。
「さぁ、余生をエンジョイしますかな」
あぁ、やったわ。これはやった。老人がエンジョイって言わないもん。しかも余生って……お前ゴーレムじゃん。見た目は人間の老人だけど、中身はゴーレムじゃん。
「……まぁ、いいか、ホウトウとりあえず、その辺で待ってて」
「かしこまりました、さぁて……」
ホウトウは杖で周りを確認しながら歩いている。あぁ、そうか目を隠しちゃってるから見えないのか……。いらない設定だったかな?
「ねぇ、大丈夫?」
「なぁに、こんなことで、ガイ様のお手を煩わせる程ではありませんぞ」
周りにバシバシ当たってるけどね、まともに歩けてないですけど。まぁ、いいや。次は”盾”を作るとするか、俺の護衛となるぐらいだ、戦闘力は欲しいな。それに忠実で余計なことを言わないような寡黙なゴーレムに仕上げよう。剣士なんかカッコイイな、よし! 名前はローランドに決定。見た目は甲冑みたいなのを着せたいところだけど、それだと機動力とかなくなりそうだから、あくまで軽装の服を着た感じにして……と。
こうして創造したローランドは双剣を携えた立派な剣士風のゴーレムに仕上がった。軽装の見た目にしたのが良かったな、顔つきも俺の護衛になるんだ、あえてイケメン風にしてやったぞ。
「よし、お前はローランドだ、これからお前は俺の護衛として、そばを離れるんじゃないぞ?」
「……」
「ん? 返事は?」
「ガガル……グラ……ディルガ」
ん? なんて? 今なにか喋ったけど、どういう意味?
「ガイ様、それはゴーレム語ですぞ? ローランドは『かしこまりました』と言っておられます」
なんだよ、ゴーレム語って! なんでコイツはゴーレム語とかわけのわからない言葉を話すことになるんだ、会話できねぇだろこれじゃ。俺がもやもやしていたのを見ていたホウトウが、俺の気持ちを察してくれたのか、ローランドと会話をし始めた。
「ガルバドググルガ、ドルバドドルガ」
「グルググバルド、グルグバドガルバ」
「……」
「ガガドガガルンガ」
「……ドゥガ」
「ほーほっほ、こやつ、面白い奴じゃな」
「いや、わかるかぁ!!!!!」
どこが面白いのかわからないし、何を話しているのかわからない。ホウトウ、頼むから俺にもわかるように共通語を教えてやってくれよ……ダメだ、こりゃミスズを呼び戻そう。
「ミスズ! ちょっとこっちに来てくれ! ダメだ」
俺の呼びかけにすぐさま反応し、ミスズが駆け付けてくれた。水やりの途中だったのか、体中ビショビショに濡れている。何をどうしたらそうなるんだ……ミスズ、外で何をやってた?
「大丈夫ですか! 私が来たのでもう大丈夫です、ご乱心を!」
ご安心な、なんかすでに俺が心乱れてるみたいだから。なんだよ! 俺の創造したゴーレムどれも癖強すぎだろ! 最後の”足”となるゴーレムだけはまともに作らないと俺の苦労が増えるだけだぞ……。俺は失敗しないと心に強く誓い、4体目のゴーレムを創造しなおすことにした―――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます