第7話
「人間の子供が妾に挑戦か...。面白い。どの程度か見せてもらうぞ!」
そういうとともに鬼の手から火の玉が放たれる。
それは和葉の足元に着弾する。
「パパ逃げて!」
「ッ!」
芽愛の声に従って飛びのくと着弾した個所からおよそ50センチ程度の炎の華が咲いた。
火花を散らしながら咲く花はきれいだが同時にその一撃に込められた魔力量と圧倒的な威力が見て取れる。
「式札解放・水爆布」
和葉の言葉とともに投げ放たれた式札から放たれるのは莫大な量の仮想的な水。
術式において用いられるのは本物の水ではなく水の性質を得た魔力。
それが仮想的な水となり魔術的な意味を持ち、魔法的な効果を得る。
和葉にとっての範囲術式のなかでも最高位に入るような術式。
だが...
「鬼呪・陽華」
その一言とともに振られた指から放たれた炎の華一つにすべて吹き飛ばされる。
仮想的な水は蒸発こそしないものの打ち消されたことにより衝撃波は発生する。
「ぐっ」
自身の放った術式の相殺によって壁際まで吹き飛ばされる。
吹き飛ばされる勢いのまま続けて術を放つ。
「式札解放・雷槍」
次の札から雷の槍が飛んでいくものの今度も炎の華によって打ち消される。
「なんじゃ?こんなものか?相も変わらず人間はもろいのう」
(おそらくこの鬼は第二種。一学生の身で勝てる相手じゃない)
鬼種などの種族は強さが個体ごとに大きく異なるためいくつかの段階に分けられる。
例えば酒呑童子のような伝承にも名が残るような強大な鬼を指し、それに準ずる扱いの鬼を第二種という。
第三種の鬼はほとんど術を扱うことができずその身体能力を扱うことがほとんど。
だが目の前の鬼はまるで息をするかのように術を用いる。
よろけながら立ち上がるものの本来決め手として使うような術をこんなにも軽々とあしらわれた以上勝ち目はない。
一人ならば
「芽愛!」
「はーい!」
うすうす芽愛の権能には気づいていた。
だけど検査官の人は発現するのはかなり先だと言っていたけども。
説明もされてない、だれからも教えられてない、だけども芽愛とまるで感覚が一つになったかのように理解できる。
その権能は...................
「「水呪・水爆布!」」
魔力を圧縮し、ためて放ついわゆる〈チャージ・アンド・ファイア〉
そして芽愛がため込んでいる魔力は空気中にある微細な魔力と和葉が保有する莫大な魔力。
それも数年分のレベルでため込んでいる。
本来水爆布は学生レベルの術式。
それが
「なんだこれは!まるで津波のようではないか!」
本来の威力の数十倍に膨れ上がった魔法的な水が襲い掛かる。
「鬼呪・鳳仙火!」
先ほどのきれいな華と違って威力と数を重視した炎が飛び交う。
さながら鳳仙花がはじけるように飛んで行ってははじける炎が大量の水を押し返すものの全方向から襲い掛かってくる水の前には一方面しか攻撃できない術式では対処しきれず鬼は水に呑まれる。
「やったのか?...いや、だめだ。こんなフラグ立ててちゃ...」
「面白いのう!現代の人間は!今のは一瞬おぼれたかと思ったわ!」
ほとんど効いていない。
先ほどの一撃は確かにかなりの威力だったはずだが2割ほど相殺されていたことと今の鬼から見ればわかる通り
「そもそもに出力が足りてないのか....」
「その通りじゃ。せめてあと10倍は欲しいかのう?」
先ほどの一撃ですら事前に魔力を芽愛に預けて自分一人で時間を稼いで芽愛と同時に術式を発動してなんとか出せた威力。
もはや学校の試験レベルのものではない。
鬼の存在は言うまでもなく先ほど放った芽愛と和葉の合わせ技についても。
それでも傷一つつけることすらできない。
「妾は鬼の中でも魔力を用いた攻撃に対する耐性が高くてのう。生半可な威力では通らんぞ人間」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます