第5話
黒鉄学園定期試験当日。
今日は実技試験の日。
昨日芽愛が手伝ってくれると言ってくれた。
なら僕は精霊使いとして、メアの父親として、やるべきことをこなすだけだ。
「よぉ、劣等生。今日の試験は大丈夫なのか?」
声を掛けられ振り向くとそこにはにやにやと笑みを顔に張り付けた男が3人いた。
彼らも黒鉄の生徒。その中でもこの三人は魔法の技能が高く出力が高い術を使えるいわゆる優等生。
「別に、いつも通りどうにかするだけだよ」
「おいおいつれねぇなぁ?劣等生ともなると返事すらまともにできねぇのか?」
いちいち煽るように、というより確実にバカにして煽ってくる。
しゃべっているのは基本一人で後ろの二人はそれを見て笑っているだけ。
後ろの二人は特に僕に絡んでこようとは思っていないみたいなんだけどこの絡んでくる一人がとてもめんどくさい。
筆記試験の成績で僕に負けてそれがどうにも気に入らなかったんだろう。
別に筆記試験と実技試験にそこまでの相関関係があるわけでもないからほかの人はそこまで気にしていないみたいだけど。
ちなみに僕は260人中34位でした。割と勉強は頑張っている方。
実技は250位くらいだけど。
それでも総合で190位を保っているんだから成績的には問題ない。
ただの妬み嫉妬で絡んできているのだろうが正直めんどくさい。
「おい、何とか言ってみろって。たまにはちゃんと返事してくれてもいいんじゃねぇの?」
「べつに、ただ煽ってきてるだけなのに返事をする必要性なんてあるの?」
「あ''あ''?」
やべ、言い過ぎた。
というより普段ならこういったことには角が立たないようにそれっぽくごまかして逃げているんだけどちょっとテンションが高かったのか売り言葉に買い言葉で返してしまった。
「てめぇ、言ったな?おれと決闘でもするってのか?ああ?」
黒鉄には生徒同士での諍いに対して決闘というシステムを用意している。
当然特別な力を持った子供たちなんてその力を使いたくて仕方がないのだろう。
実際僕だって魔法は大好きだし。
その学生たちの欲求をある程度放出させるためにルールに従った決闘ができるようになっている。
それが結果として生徒の能力向上にも役立っているのだから素晴らしいことだ。
このシステムを考えた人は頭がいいんだろう。
それかマグレかもしれないけども。
それはさておきあくまで学生間での決闘。
人死にが出ないように実力に大きく差がある相手とはできないようになっている。
一応の保護策はあるのだが実力にあまりに差があるとほかの手段を用いなければ命の危険が伴うからだ。
この絡んできている男の実技順位は500点満点中380点で全体で18位。それに対して僕は250位。
基本的に100位以上順位に差がつけば決闘というシステムは機能しない。
それは知っているはず。
というよりほかの手段に関してはそもそも有名な話ではないしあくまで噂話程度。
(多分どっかの先輩から聞いたのか)
僕と同じように。
「いいよ、だけど手続きとかは任せる。僕はまず目の前の試験に集中したいから」
「そうか、まずは進級できるようにせいぜい頑張るんだな」
にやにやしながら歩き去っていく男。
....そういえばあの人いつも絡んでくるけどそういえば名前一回も聞いたことないや。
まぁいっか
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