第4話
芽愛と一緒にご飯を食べ終わってかたずけを済ませた後僕は自分の課題をこなしていた。それは明日に控えた黒鉄で行われる実技の定期試験に向けての準備だ。
黒鉄での定期試験は筆記と実技の両方がある。
点数配分は1:1。
だから実技が悪くてもある程度筆記で点数は取れるし筆記が悪くても実技さえできればある程度の点数は取れる。
とは言っても全国屈指の偏差値の学校でもあるし、実技だって一般成人男性が5人で戦ってやっとというモンスター相手に一人で戦うことになるんだけど。
僕は体術こそ学んでいるものの圧倒的な出力不足で近接戦闘をこなせる肉体強度にすることができない。
だからこそ魔法で遠距離から攻撃するほかないのだが僕にはその出力すらない。
けど自分で作ったサポートアイテムは使用してもいいのでなんとかそこそこの成績は出している。
数値上はいいけども実践になったら使えない技能だ。
余程の練度でもない限り事前に射程、威力、属性、性質が完全に決まっている魔法を扱いこなすのは無理だ。少なくともそれでまともに戦えるわけがない。
僕は二年ほどこの戦い方をしているけどそれでもまだ扱いきれない。
とりあえず手数でゴリ押しするしかないから試験では1体相手だが本番では下級のモンスター3対相手につかいはたしてしまうだろう。
だからといってほかの手段ではまともに戦うことすらできない..。
「どうしたものか...」
「パパ困ってるの?」
考え事をしていてつらそうな顔をしていたのだろうか?心配そうに芽愛がのぞき込んでくる。
「いや、大丈夫だよ」
心配してくれるのは嬉しいが僕自身の問題だから自分で解決するほかない。
芽愛はまだ生まれてから数年しかたっていない。
精霊は生まれたときにとりこんだ魔力量とその後取り込んだ魔力量と強さが比例する。
芽愛が取り込んでいる魔力のほとんどが僕一人の魔力。
ならそこまで強力な力は持ち合わせていないはず。
あまり無茶はさせたくない。
「でもパパがつらそうな顔してるのはいや。芽愛も力になりたい」
それは純粋な心配。
「そっか、ありがと。それじゃあ今度手伝ってもらおっか」
「うん!芽愛はパパのお手伝いをする!」
「それじゃあ明日も早いしそろそろ寝ようか」
「はーい!」
僕はまだ寝ないけど。
明日の試験は僕一人だと少し厳しいかもしれない。でも芽愛と二人ならきっと大丈夫だろう。
そう思いベッドに行き芽愛を寝かせる。
僕はこの後準備を済ませて軽く家事をして寝る。
今は8時。このままいけば10時には準備が終わるだろう。
そのあとはゆっくり寝て体を休めて明日に控える。
大丈夫、芽愛と一緒なら僕は負けない。
芽愛の前で恥なんて晒せない。
僕はあの子の前では父親として、契約相手として胸を張っていられるように。
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