第9話 モテ男

「そうなんや…、高校、スポーツ推薦やったから、県外で寮生活だったんや…。共学? 男子校?」


「男子校か…むさくるしいんやろうね…。なぁ、じゃあ、一つだけ聞いてもええ? 男子校って、太ってる男子の胸を触って妄想してるって、あれ、マジなん?」


(赤かったはずの顔が青くなる)


「あー…、やっぱそうなんだ…。で、キミもしてみた事がある…と」


「ほんまに、そんな汗かかんでええよ。男の子…特に男子校は仕方ないやろ…。エロ本とかも散らばってたりしたん?」


「ごめんごめん! もう聴かへん! 私はね、女子高で、レズに異様にモテてん。それで、レズ以外は寄ってきいひんくて…。でも、その子たちといれば、なーんも考えずに、楽しく過ごしたんやけけどね」


「あ、そんな、深刻な顔するのやめてくれへん? もう嫌や!」


(頭をブンブン)


「過去なんて、本当はどうでも良いねん。ここであえた時点で、過去は、もう必要ないねん。そうやろ? そう思わへん?」


「そんな…大きく頷かれると…恐縮ですが…。せやけど、ほんまに、そう思ってるんよ、私。まさか、いると…思いもしなかったんや…。あんな約束…憶えてる二人がどうかしとで。ほんまに…ふふふ」


「例えばさ、いま、お互いに好きな人がおったとするやん? その恋、応援できる?」


(首を横に振る)


「…それは…なんでなの? なんか、私は…好きになっちゃいけないん?」


「え? キミも、好きな人居てるん? 彼女では……無いねんや…その子は、近くにいたりするん?」


(首を縦に振る)


「……なんや…キミもやっぱりモテ男やったんやな…」

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