第8話 この街
「そうだ…! 左手だけ…ちょっとだけ、離してもいい?」
「ちょっとだけだって!」
(カサカサ…ポッケをあさる音)
「はい! あめちゃん!」
「あ! なに? なんで、今、笑ったん? なんか、変な事言うた?」
「関西人が本当に、あめのことをあめちゃんて呼ぶから、笑った!? そんなん東京の人がマクドの事マックって言うのと同じやん。それぞれ、呼び名あってんねん」
「……なぁ…ほんまに、今すぐ笑い止めないと、このトンネルから出るよ?」
(ピタッと止む)
「ふ…ふふふ…なんや…かかあ天下みたいでええな」
「え? ちっともよくない? そんなこと言わんといてよ。ちょっとした遊びやん。俺で遊ぶな? キミは…昔から、遊び甲斐のある少年やったもんね…。その辺は…変わってないんやな…」
「なんか…微妙に嬉しくて、感動したわ…」
「さっきの涙は……お疲れさん、の涙や。誰か一人でも多く、労ってくれる人、いたら、心も体も癒されるやん?」
「……体…って、なに見てんのよ!!」
(視線がスカートの中)
「キミ…、もしかして…、単なるスケベだったから、勉強が出来ても、スポーツが出来ても、格好が良くても、フラれて来たんやな? せやったら、納得するわ!」
「ふふふふふ!!!! そんな顔真っ赤にして弁明しなくてもええって。あんなん、関西やったら、当たり前のノリ突込みや! それこそ、キミは活躍したわ!!」
「え? 関西人は、落ちがないと話をしない? それは~…あるな! 絶対、落ち作るな。関西人は。それが命で、生活の一部やし…」
「キミは…今日まで、ずーっと、この街にいたの?」
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