第7話 奇跡

「ふーん…キミも中々の盛り上げ上手やったんやね…。私もやで? 明るい顔するんは得意やってん! もう、こうして君に会うのが、スマホになった後で良かったわ…」


「なんでって? だって…ガラケーににギャル時代の私、写ってるから…。そんなもん、見せたら、一生忘れないとか、言いそうや、キミ」


「あー! そんなげらげら笑うこと無いやん! だから、嫌やってん! 私の事話すの…」


「そんじゃあ、そろそろ本気で白状してもらうで?」


「……ふふふ。そんなこっち見んといてよ…、寄り添ってる上に、顔まで近いんやから……、何か…口臭とかしたら…嫌やな…」


「えーーー!! そこ笑うところ違うやろぉ!? キミの事臭いいうで!? あはは!! そない怒らんでもええやん! 自分で蒔いた種やもん?」


「……なぁ、空見て? 今夜は…満月なんかなぁ? 綺麗やね…」


「……はぁ? …」


(白い目で見ながらも頬は赤く染まる)


「……キミの方が綺麗だよ?」


(視線を逸らす)


「……今の…スマホで録音して、一生保存しておけばよかったな…」


「え? 絶対やめろ? なんでよ、自分で言うたくせに…。でも、なんか…でも…何となく…嬉しかったヨ。なんやろ…ちょっと、小説にでも出て来そうやん?」


「え? 名探偵〇ナンのナイト〇ロンシリーズの『ナイト〇ロン殺人事件』見てて初めて聴いた口説き文句がそれやった!?」


「何その理由!! そんな笑わせんといて~!! もう…お腹痛いわ~…!!」


「あ―…、大分涼しくなって来たね…。今日は…賭けだったよ…キミは?」


「あ、やっぱり? …憶えてるはずがない…って思うよねぇ…。んだから…」


「キミもそう思う? だよね。さっきも言ったけど、これは、奇跡に違いない!! …と、思わない?」

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