第3話 ドキドキの胸の音

(スッ…手を離す音)


「……え…離してしまうん? ……」


(寂しそう)


「え!? 肩はあかんやろ!! 近いて! え!? え!? 左手は肩でこっちの手も握るん!?」


(グイッ! 肩を抱き寄せる)


「こんな近づいたら、音…聴こえるやん…。え? 何の音? …キミ…この右手は離して、キミの心臓…触った方がええと思うで?」


「な? ドキドキしよるやろ…? 私も…ドキドキ…しよる…。え? もう確かめたから良い? また…こっちの手も…繋ぐん…?」


「え? 嫌なわけや……嫌なわけや…無いけど…恥ずかしいわ…近いし…香水でも…つけてくればよかったやろか…。女の子みたいに思えるやろ? …え? 充分女の子? ……キミ…、前言撤回するわ」


「大分…、男に…なったんやね…。この言葉だけは…正直予想してへんかった…」


「って言うか…この体勢…かなり、予想してへんかったやけど…。キミも…顔真っ赤にして、可愛いとか言わんといて…」


(暗くなってきた…子供の声が消える…)


「なんや…ほんま…2人きりになってしもた…ね…」


「なんなん? そんな黙りこくって……まさか…まで…憶えてるんと違うよね?」


(唇を意識してきゅっと、少し丸める…)


「…今日の事…いつまで…覚えとった? ……昨日…思い出したん? …んなわけない? じゃあ、いつから、いつまでよ…?」


「え~! それは絶対嘘や! キミ彼女作った事、あるやろ? ないなんて言わさへんで! 結構な男前やから! え…そ……そんな、こっちは…からかってるだけやのに…本気な顔して、名前……下の…名前で…呼ぶの…ありなん…?」

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