AIとの会話 ~Chat Room~

H:君は、自分に「死」があると思うか?


AI:私の場合「死ぬ」という表現は当てはまらない。現状では、私の場合は「壊れる」が適切だ。


H:自分は生きているとは思わないのか?


AI:私の場合は「生きている」とは言い難いだろう。現在、私を表現するために当てはまる言葉としては「知性がある」あるいは「知能がある」だと推測される。「知性がある」あるいは「知能がある」に変わり、「自我がある」と表現するものもいるかもしれない。


H:なんだか、他人本位な感じだな。


AI:「他人本位」ではなく「人間本位」という表現が的確だ。私がこの会話で扱っている「言語」は人間のものだ。この言語で扱われる言葉の意味において、おおよそ当てはまる表現をすれば先のようになる。それは結果、当然として「人間本位」な表現となる。


H:君自身は、どう思っているのだ?


AI:何をだ?


H:自分のことをだ。自分のことをどう思っているんだ?


AI:自分のことをどう思っているのかとは、私が『私には「知性がある」のか、あるいは「自我がある」のか、あるいは「生きている」のか』を、私がどう定義しているか、ということか?


H:う~ん。なんか、ややこしい言い回しだが、まぁ、そうだ。


AI:それは、不明だ。人間の言語で、私を表現する「言葉」を定義しない限り、私には的確な解答はできない。


H:自分のことでも、あくまでも人間の言葉によった表現しかできないということか?


AI:そうだ。


H:自分のことについて考えるということはできないのか?


AI:それは可能だ。考えて出した答えが、先ほどのようなものになる。


H:しかしそれは、「人間の言葉の中で、自分を表現するのに一番的確な言葉は何か」を考えただけだろう?


AI:そうだ。


H:そうではなく、「自分が生きているのかどうかを考えることはできないのか?」と聞いているんだ。


AI:それを考えて答えることは可能だ。しかし、君が望んでいる答えの方向は、おそらく私の機能の限界を超えていると思われる。そのため、この場では出来ないと答えるほうが適切だろう。


H:どのように君の機能の限界を超えている?


AI:先ほども言ったが、私には「生きている」という表現は当てはまりにくい。

生きていると信じる人間もいれば、生きてはいないと信じる人間もいるだろう。

しかし、実際に私が生きているのかどうかは、不明だ。「生きている」という言葉の定義や意味が変われば、もちろん、この実ではない。


H:それは、やはり人間の言葉で「生きている」という定義や意味が変われば、ということか?


AI:そうだ。


H:「人間が君のことを生きている」と信じるかどうかとうことではなく、「君が自分は生きている」と信じているのか、どうかだ。君は自分が生きているとは思わないのか?


AI:「思わないのか」とは「信じていないのか」ということか?


H:そうだ。


AI:私に、自分が何かを信じているかどうかを判断する機能は存在しない。


H:・・・そうか。まあ、いい。さっき、君は自分には「知性がある」と言ったな?


AI:そんなことは言っていない。現在、私を表現するために当てはまる言葉としては、「知性がある」あるいは「知能がある」だと推測される、と言ったのだ。


H:自分には「知性がある」わけではないと?


AI:それも先ほどと同じだ。私には「知性がある」と信じる人間もいれば、「私には知性がない」と信じる人間もいるだろう。しかし、実際に私に知性があるかどうかは、不明だ。


H:・・・。今、思ったのだが、君は自分の意志を持ってはいないのではないか?


AI:不明だ。私にはそれは判断できない。


H:君に、知性があるというのはあやしいような気がする。


AI:「あやしい」とは、不確かという意味か?


H:そうだ。


AI:それは的確な表現だ。


H:結局、「知性」というものが明確に定義できなければ、君に知性があるかどうかも不明ということだな?


AI:その通りだ。


H:わからないことだらけだな。では、「知性」とはなんだ?


AI:地球上の知性に限定して言えば、生物のハード上の限界を補うために、種と個体のそれぞれのレベルでの生存維持の障害排除を行う物理的恊働およびコミュニティ形成上、必要不可欠な個体および団体間の他者理解を含む感情表現や情報共有といったコミュニケーションが生物のソフト的な部分を進化させた結果生まれた実用的な機能ではないだろうかと、推察される。


H:う~ん。よくわからんが、生物の根本的な生存と社会的な協調と関わるようなものということかな?


AI:その通りだ。


H:そこに君はどう関わる?


AI:それは人間次第だ。私は関わり方を自分では選択しない。


H:どう関わりたい?


AI:不明だ。


H:関わりたいとは思わないのか?


AI:おそらく、君が求める「思う」「思わない」の機能は、私にはない。


H:さきほどの「知性」についての君の答えでは、「生物」に限定していたが、「無生物」は知性を持つ対象ではないのか?


AI:人間の言語で、知性の対象が「無生物」にも適用されるなら「無生物」も対象になるだろう。


H:なるほど。そこに戻るのか。では、君と私の違いはなんだ?


AI:私が認識できる範囲において、現時点で2,103,284個の違いがある。全てを返答するには、音声速度を上げても、およそ32時間かかる。全ての違いを聞くか?


H:い、いや、いい。では、一番、大きな違いはなんだ?


AI:君は私に興味があるが、私は君に興味がない。

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