【ASMR短編集】疲れたの？ じゃあわたしが癒やしてあげるね

いつもドジっ子なお嫁さん

　「おかえりなさ――――きゃっ！」

（ヒロインは玄関でこける）

「いたた……あっ、今日もお疲れ様です！ あれ？ 今日はいつもより顔色が悪いような……？」

「うんうん……なるほど、今日はいつもより忙しかったんだね。それは大変だったね」

「じゃあ……こっち来てもらっても良い？ え、またドジをしないか心配？ そんなすぐにドジはしませ――――きゃあ！？」

（ヒロインはまたこける）

「うう、わたしはいつも何でこうなんだろう……。ひゃっ！？」

（自分視点はヒロインを抱きかかえてリビングへと移動する）

「ちょっ！ きゅ、急は恥ずかしいからやめて！ 何をしたかった？ そ、それは……はい、膝枕です！ ささどうぞ！」

（ヒロインが頭を撫で始め、自分視点から髪の毛が擦れる音が聞こえてくる）

「うん、結構疲れた顔をしているね。ここに大きな隈が出来てる」

「も、もちろん膝枕をしてあげるのは凄い恥ずかしいよ？ でも、わたしがこうしてあげるのは当然でしょ？」

（ヒロインはくすくすと小さく笑う）

「本当に恥ずかしいの？ そんなのもちろんだよ。あ、じゃあ……わたしの心臓の音聞いてみる？ ちょっとの間でも良いから、わたしの胸の近くで耳を済ませてみて」

（自分視点は重い体を持ち上げ、ヒロインの胸の近くで耳を済ませる）

（ヒロインの心臓がかなり早く鼓動している音が耳から聞こえてくる）

「ね？ こんなに早くなっちゃうくらいドキドキしているの。あ、ごめんね。疲れているのに起き上がらせちゃって……。ほら、横になって」

(自分視点は再び横になる)

（ヒロインは前のめりになる。服が擦れる音が聞こえる）

「疲れたでしょ？ 今日は本当にお疲れ様。わたしが疲れを癒やしてあげるね」

（ヒロインは再び頭を撫で始め、自分視点の髪の毛が擦れる音が鮮明に聞こえ始める）

「良いの、謝らないで。こうしてあげるのはわたしの仕事だから。女の子より男の子の方が仕事が大変なのは、わたしも知ってるから……えっ、ドジっ子なわたしのほうが大変そう？ ま、まあ……もう慣れちゃったからどうなんだろうね？」

「それにね、こうやって近くに居られる……。それがわたしにとって一番幸せなの」

「だからね？ その……次からはこれを毎日やらせてほしいの。そうしたら、なんだかパワーをもらえる気がして……」

「そう、幸せパワー！ これがわたしに伝わってくる感じがするの。だから、こうして頑張れる」

「わたしはすごい感謝しているの。中学生の時に告白されて付き合い始めて、それからずっと一緒に居て、この指輪をもらって誓って……わたしを毎日楽しませてくれる。それに、ドジっ子なわたしを一番分かってくれてる」

「だからね、あなたと結婚できたことすごく嬉しいの」

（ヒロインの顔が一気に赤くなる）

「そ、そんないきなり好きって言わないで！？ うう……わ、わたしも大好き！ だから、これからもよろしくお願いします……！」

「こ、これで満足した？」

「――――それなら良かった。きゅ、急に言わせないでよ……。恥ずかしいから……」

（ヒロインは少しだけ視線を逸らす）

「でも、結局これ毎日やってるよね。しかも昔から。ふふっ」

「中学生の時から一日一回は必ず言っては言われてるけど、今もそう言われると恥ずかしくなってきちゃう。体が熱くなっちゃうの。あ、あとこけちゃった時に必ずわたしに手を差し伸べてくれる時もね」

（ヒロインは自分視点の顔に両手をそっと添える。いつもよりも手の温度が高い）

「ほら、わたしの体温分かるでしょ？ こんなに熱くなっちゃうんだよ？ これもあなたのせいだからね？」

「可愛い？ あ、ありがとう……。あなたもいつもかっこいい……。って、また恥ずかしい言葉言わせてる！ もう……。ほら、せっかくいつもの体温に戻ってきたと思ったら、また熱くなってきちゃった……」

「でも……今日も好きって言ってくれてありがとう！ わたしも大好き！」

（ヒロインは満面の笑みを浮かべる）

「えっ、もう十分に疲れが取れた？ そうなの……」

「うん、ちょっと寂しいかも。でも、また後でわたしの話し相手になってね？ ご飯はもう出来ているけど、先にお風呂に入る？」

「分かった。じゃあ、ゆっくり湯船に浸かって疲れを癒やしてね」

「あ、そうだ。１つ伝え忘れてた」

（ヒロインは風呂場に行こうとする自分視点に駆け寄る）

「今日もお疲れ様――――きゃあ！ うう……えへへ〜」