第二十五話 反省会2
「──そして気がついたら俺たちはマガツヒノセオリツの部屋から弾き出されていたんだ。『アレ』とマガツヒノセオリツが呼んでいた存在。白ポメが仮初めに顕在させた俺たちのいた空間を『アレ』が破壊したんじゃないかと俺は思っている」
俺は、モモちゃんに向かって一連の出来事の最後までようやく説明を終える。
しばらくじっと考え込むモモちゃん。
「リツちゃんが無事だといいんだけどね。あんなに小さくて可愛らしい女の子があんなところでワンちゃんと二人だけであんな状態だなんて、かわいそうだよ」
「──茜さん、マガツヒノセオリツはたぶんの神とか、それに類する存在の可能性すらあるんだけど……」
「例え神様だって可愛い女の子だよ!」
「ま、まあ、確かに。でもあの名乗った名前がさ──」
「それにこの指輪。これのお陰で私たち無事に出れたんでしょ?」
「──うん、それは確かにそうだと思う。もしかしたら他にも何か力を秘めている指輪かも知れないけど、明らかに破裂した空間から無事に転移されたのはマガツヒノセオリツの力のお陰としか考えられないし」
そういってお互いの左手の薬指を飾るお揃いの指輪を眺める俺たち。
ちなみに一度外そうとしたのだが、抜けなかった。
「──その指輪をはめた姿は、界隈でもとても話題ですよ。白ポメが現れた前後から同接人数が爆発的に増えての壁抜け。そこで、まず、『壁抜け』が一気にSNSのトレンドに載りました。そしてそのタイミングでのあの姿ですからね。『婚約発表』ワードでまたトレンドに──」
頭が痛そうに額を片手で押さえるモモちゃん。可愛らしい顔にすっかり額にシワがよっている。
「申し訳ない……」
俺は思わず謝ってしまう。
「──いえ、まあその。そちらは何とかなるでしょう。茜ちゃん単体の時でもこれぐらいの騒動は何度かありましたし」
「モモちゃん、単体ってひどい……」
「それよりも二人が消えてしまったあとの話しですよね。何があったのか表層的な部分については把握しました。お二人の語るマガツヒノセオリツは上位の存在と見て間違いないかと私も思います。確かに、これまでもダンジョンでは上位存在とおぼしき者との遭遇したとの報告は数件はあるはずです」
「……どうしたらいいと、思いますか?」
「それは再びマガツヒノセオリツへと接触を持ちたいという前提、ですよね」
俺とモモちゃんはそこで二人して茜さんの方をみる。
満面の笑みで手を組ながら可愛らしい笑顔を作っている茜さん。
──こ、これが、あざと可愛い、というやつかっ!?
「そう、ですね……」
「……政府筋の知り合いで、頼れそうな知り合いが一人、います。お二人が良ければ連絡をとってみます」
なぜだかとても嫌そうにそう告げるモモちゃん。茜さんは大好きと叫びながらそんなモモちゃんに抱きついていた。
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