妄想書き殴りアレルギー

 タイトルは適当です。


 今回は「設定は次々と思い浮かぶのに文章にできないようわぁん!」という話です。


 次のふたつの文章を読んで、どっちが面白そうか考えてみてください。


【A】

 2112年生まれの猫型ロボットのドラえもん。誕生日は9月3日でどら焼きが大好物でネズミが大嫌い。お腹の四次元ポケットには未来の世界のひみつ道具が入っていて、ガールフレンドもいたことがある。ドラミという妹もいる。


【B】

 ドラえもんはのび太の未来を変えるために未来の世界からやってきた猫型ロボット。空を飛べるタケコプターに時間を行き来できるタイムマシン、どこにでも行けるどこでもドアなど未来の世界のひみつ道具でのび太のピンチを助けるぞ!


 ……さて、どっちが面白そうですか?


 どちらも「ドラえもん」という作品について書いているけど、【A】のドラえもんめちゃくちゃつまんなさそうじゃないですか?


 その理由は、【A】の文章は「ドラえもん」の説明でしかなくて、【B】の文章は「ドラえもん」という物語の中で起きる出来事の説明だからです。


 いや、わかるんですよ。世界の設定を書きなぐるのが楽しいことくらい。この作者だってキャラの設定ノートがパンパンで訳わかんないことになってるよ。だけど、それを作品として出そうとは思わない。


 何故かと言えば、それは「物語」ではないからです。キャラの設定はあくまでも設定で、ゲームで言えばキャラデザとか背景とかBGMとかそういう部分です。どれだけ凝った背景のゲームでも操作性が絶望的に悪かったり難易度調整がおかしかったりシナリオがつまらなかったら全く面白くありません。


 最近「キャラの名前が異世界に相応しいか否か」という話がありましたが、登場人物の名前も「設定」の領域です。どれだけ面白い名付けが出来たとしても、またどれだけ凝った世界を考えたとしてもただ設定を書きなぐっているだけでは「物語」として機能しません。そこで生き生きと動き回る主人公などの登場人物あってこその世界です。「設定」はどれだけ文を連ねても「設定」にはならないんです。


 じゃあ「設定」から「物語」にするためには?


 とりあえずキャラを動かしましょう。外へ連れ出して、何かを見せましょう。誰かと話をさせましょう。ご飯を食べさせましょう。その時「このキャラならどう動くか」というのが「設定」です。


 往々に【A】のような小説は世界の説明が多く、登場人物の内面の説明が少ないように感じます。「彼はピンク色の髪で」というより「彼は困った人を助けたくて」という方が物語っぽいですね。


 もちろん「設定」の文章が全てつまらないわけではありません。ただ「物語」としてみればジャンルが違うので評価はされにくいですね。


 さて、あなたのドラえもんはひみつ道具を出していますか?


 今日はそんなところです。








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