メートル異世界ライダー

 こんにちは。


 ずっと書いてた長編がひとつ完結しましたが、だから何だって話です。奥田民生の「イージュー☆ライダー」の歌詞が沁みるこの頃です。何もないな、誰もいないな……道はただ延々続く……。


 そういうわけで大げさに言うのならば「異世界メートル論争」です。要は「異世界の話でメートルを使用するのはアリかナシか」という話なのですが、何もそんな難しいこと引き合いに出されても知りません全然僕らとかそれでもいいのですが、ちょっと考えていきましょう。今日は奥田民生の気分ですね。


 さて、異世界以前に「小説内でメートルを使用するとき」ってどんな時でしょう。例えば「彼の家の敷地は4.6ヘクタールだ」と言われてもそもそも1ヘクタールが微妙にわかりにくいのですが、平方メートルに直すと「46000平方メートル」とやはり数字で出されてもわかりにくいです。しかし、「彼の家の敷地は東京ドームひとつ分だ」と言われると東京ドームに行ったことがなくても「なんかデカいぞ!」と思わせられます。彼の家デカイな。


 そもそもメートルなどの単位はどうして作られたのかと言えば、「規格」が必要になったからです。古くは税を徴収するために穀物を測る升の大きさや天秤と釣り合う重りが統一され、敷地を管理するために長さや広さなどの規格も統一されました。厳密に規格を定められる前は「なんとなくこのくらい」でみんなやっていたわけです。


 ではそれを前提に「異世界でメートルを使う意義」をみていきましょう。


 まず異世界転生で主人公がメートルを知ってる前提であればおかしいことはありません。「3mくらいはある大蛇だ!」でいけそうですね。


 次に、異世界の言語を翻訳しているスタイルの地の文でもおかしくないですね。「我々で言うところ3mくらいはあろうかという大蛇が躍り出てきた」という感じです。ただこれにはどこかでエクスキューズ(お断り)が欲しいところですね。


 それから問題なのが、その世界でもメートル法を採用していて通じるところ。そもそも1メートルの基準が違う世界と一緒ということが有り得るのかと言えば、現実世界を見てもヤード・ポンド法や一里一尺などそれぞれの基準はバラバラです。つまり読者に「不自然だな」と思われてしまう要因になります。


 じゃあどうやって大きさなどを伝えるかといえば、そこは小説の魅力を最大限に使うわけです。つまり、比喩や例えを使うわけです。先程の「3mの大蛇」は「建物の2階にも届くほどの大蛇」になります。流石に人間の大きさはそれほど変わっていないでしょうから、建物の高さなどはあまり変わらないはずです。


「小さな家ほどある」「人間が簡単に飛びこせるくらい」「両手で抱えて持てるくらいの」など、大きさを表現する方法はたくさんあります。それに東京ドームの例にもあげた通り、数字よりも具体的なものと比較したほうが伝わりやすさはあがります。


 裏技として「なに、デニス庭園ほどもあるのか!?」という会話文があったとしましょう。デニス庭園が何なのかよくわかりませんが、話の内容としてかなり広い敷地のようですね。おそらくデニス庭園とやらは現代日本で言うところの東京ドームのような存在なのでしょう。話者が驚いているところから「デニス庭園は4.6ヘクタールもある広大な庭園である」と但し書きをつけなくても、雰囲気で押し切れます。つまり具体的な数字はいらないわけです。


 これに「異世界ならではの単位」を組み合わせてみましょう。「400エース競走だ」「短距離なら任せろ!」というところからメートルで言うところの100mか200mくらいなんでしょう。ここの反応を「嫌だなあ、ただひたすら疲れるじゃないか」などにすればこの400エースを長距離にすることもできます。


 実践例として、「となりのトトロ」では七国山までの距離は数字で出てきませんでした。しかし「(子供がひとりで向かったと聞いて)七国山!?」という反応や「大人の足でも3時間かかる」というあたりでどれだけ七国山が遠いのかが伝わります。距離や大きさを表したいときはそんな風にやるといいですね。


 さて、「じゃあ時間はどうなの?」と思う方もいるでしょう。正直これは弄ると非常にめんどくさいので素直に60進法に従うか、暦から作るかのどっちかになると思います。それでも「正午頃」「日差しが照りつける時刻」などやりようはまあまああると思うんですけどね。


 とりあえず現実の明日は藪の中なので多少大げさに書いていきましょう。眠らない体欲しいね。よーし、がんばるぞー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る