テンプレは使っていけ
今回は「なろうはテンプレ小説しかない(笑)」に対する個人的な見解です。
例えば絵画を練習する際「絵には独創性が大事なんだ、模写なんかするな!伸び伸びとするのが一番だ!」という意見があったらどうでしょう。「いや、それでもデッサンは大事でしょう?」となりませんかね?
自分勝手に伸び伸びと描くのも大事だけど、まずはお手本に忠実に描くというのは上達のコツなんじゃないですかね。習字とか彫刻なんかも、基本の技術とか大事ですよね。
翻って小説。実はストーリーを作るというのは膨大なテンプレをどうやって料理していくかというのに似ていると思う。決められた材料を決められた切り方で調理して決められた味付けをする、というのが料理の鉄則。創作料理も楽しいけど、まずは基本の味付けを覚えないと創作料理なんて恐ろしいものでしかない。
これはストーリー作りにも言える話で、どれだけ決められた話の展開を用意して自然になるようにくっつけて行くかもいうのもひとつ大事なスキルになってくる。
そのとき決められた展開、というと「異世界転生で俺TUEEEEなのか?」と思いそうだけど、実はそうじゃない。
例えば「主人公の元に人外の登場人物が嫁いでくる」という異類婚姻譚。主人公が動物に何かの親切を働いてお礼に動物が人間に化けて恩返しに来たり、逆に神の怒りを買って動物的な存在が人間を連れ去ってしまうものなど古今東西そこから生まれるドラマは限りない。「~の恩返し」「~女房」と呼ばれる類の民話はみーんな、いわばテンプレである。
更に異類婚姻譚には「~しないでください」という禁止の展開を盛り込むことが多い。「決して扉を開けないでください」という鶴女房やうぐいす女房、「決してこのことを話してはいけないよ」という雪女。
更に禁止は物語を生みやすい。「この玉手箱を開けないでください」という浦島太郎に「この淵で釣りをするな」というおいてけ掘り、「あまり転びすぎないように」という宝の下駄に「山へ入るなとあれほど言ったのに!」と血相を変えて村の子供を叱る老人。
これらはみんな「異類婚姻譚」「禁止」というテンプレのもとに成り立っている。話を辿ると民話なんてものは古今東西テンプレで出来ている。白雪姫とシンデレラ、落窪物語は継子いじめであり味噌買い橋に代表される「夢のお告げを忠実に守った者が幸福を得る」話は世界各地に存在する。また神の化身が人間に姿を変えて地上に現れ、親切にした人を死後に引き立てるというのも大人気のテンプレだ。
現代のストーリーもよく読めばテンプレがあちらこちらに存在している。病気で死にそうな恋人、意地悪な姑、ツンデレの妹、無意味に悪意を撒き散らす敵役。そう言った材料の組み合わせや材料の取得がストーリー作りにおいて重要になる。
かく言う自分も今書いてる作品に物凄く古典的なテンプレを組み込んでいます。読む人が読めばわかるくらいの、超典型的な大人気テンプレです。つまりテンプレは有用なのです。
そんなわけで、最初はテンプレを用いて小説を書くことは間違いというより正しいと思うのです。それが書籍化とかランキングとかいう話になれば別ですが……自信の無い人ほどテンプレで展開を進めるのは大事です。
ただね、テンプレすぎてパクりとしか思えないような作品はダメですよ。テンプレとパクりの境界がわからないようなものはちょっと……とは思いますね。
さて、次回は「テンプレにならないキャラ作り」ということで書いていきます。真夏の創作祭りということでなるべく更新していきます。それではのびのび書いていきましょう。
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