ドラゴンが支配する大地を考える

前回からの続き。「ドラゴンが支配する大地」という例文からどんな世界が出来るかを考えていきましょう。ここで前回の「収納の中身」が役に立ちます。


「ドラゴンが支配する大地」があったとして、そこで例えば冒険者たちがドラゴン討伐をしているとなったとき、果たしてドラゴンたちは人間たちを放っておくでしょうか?もしドラゴンたちが賢くて団結できる生き物であるなら、力を合わせて害獣である人間を掃討しているはずです。


明らかに戦闘力に差がある場合、権力は戦闘力に依存します。日本がペリー来航で開国したのは、いろいろ理由はありますがやはり黒船の攻撃力及び背後にあるアメリカ艦隊を恐れたことは大きいですね。これが黒船じゃなくてペリーが手漕ぎボートでやってきていたら「南蛮人はタルタルソースにしてしまえ!」となっていたに違いない。


戦闘力というのは人類史上において交渉には不可欠な要因でもあります。豊かな資源や地形(河川や港湾など)、経済力、そして軍事力。そして思想と権力。戦争というのはいろんな要素のじゃんけんに加えて地形と気候や運が絡んできます。元寇で神風が吹いたのもナポレオンが冬将軍に負けたのも、気候や地形に気を配らなかったというのがありますね。


さて、ドラゴンに支配される人間は一体どうやって暮らしていると思いますか?ある日突然人間社会にドラゴンがやって来たのか、ドラゴンが住む地に権力闘争で負けた人間が追いやられたのか。入植者が先住民を追いやるのか、それとも奴隷として被差別民を連れてくるのか。


「ドラゴンが支配する」というだけでこれだけの世界に関する設定事項が出てきました。全てはドラゴンを権力者に見立てて様々な物語を当てはめて見た感じです。権力勾配があるということは、そこにラブロマンスも生まれます。人間とドラゴンの相容れぬ関係。男女の中でなくても、例えば傷ついた子供のドラゴンを保護した人間の子供に「そんなものは殺してしまえ!」と憎悪の視線を向ける大人。ドラゴンと子供の禁じられた友情、なんてのも出来ますね。


実はこれまで「ドラゴン」ではなく「支配」というワードをピックアップして世界を構築していました。何度か書いてますが、人類の歴史を参考にしていれば支配被支配の関係がどんな物語を生み出すかというのはよくわかります。


そして、人間はドラゴンに対してどんな態度を取るでしょうか?支配を受け入れ、ドラゴンに逆らうものは捉えられて見せしめで死刑なのか、ドラゴンと全面戦争に陥って各地にレジスタンスが展開されているのか。


あるいはドラゴンが神として祀られているかもしれないですね。各神殿に御神体としてドラゴンが存在して、人間からの供物で飼われているのかもしれません。その場合、人間とドラゴンの力関係は逆転しています。イオマンテのように子供のドラゴンを空に返す儀式なんかもあるかもしれないですね。


そんな感じでつらつら考えてきましたが、ここからいろんなお話が作れそうですね。その世界の中で世界の変革を願う竜少女とか反逆者の少年とか、後はキャラクターを作っていくと自ずとストーリーが出来るでしょう。ここまで出来てから、「見せ場は」「対象読者は」とかになるのではないですかね……?


これがストーリーの作り方の全てでは無いので、参考にするくらいでちょうどいいと思います。「~べきである」が小説を書く一番の敵なので……。


次回は、特に考えてません。思いついたこと書きます。それではのんびり書きましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る