「ごくごく普通」って、どう普通なのさ

俺は御手洗頼光(みたらいらいごう)。みんなからライゴと呼ばれているごくごく普通の高校生だ。

「あー、眠い」

今朝も朝飯は卵焼きか。俺は目玉焼きのほうが好きなんだ。眠いけどカバンの中身をチェックして、行ってきますと玄関を出


こらこらこらこらこらこら!!


いきなり何が始まったかと思えば、「ごくごく普通」で始まる目覚めた瞬間に自分の名前を確認する意識高い系高校生が登校するだけの導入じゃないか!!!


とりあえずそれっぽく作った導入なんですが、これを叩き台に「普通とは」を考えていきましょう。


最初に、「普通」って何よという話です。辞書を引くと「平均的な」というような意味が出てきますね。「俺は平均的な高校生だ」という話がしたいのだろうなと思うじゃないですか。これが三人称なら、まあまあ悪くはないかなとは思うのよ。「彼は御手洗頼光。平均的な高校生である」ってさ。神様目線なら全世界の高校生と比べて平均的と言えば平均的、ならわからないでもないのよ。


そこで前回も少し触れたけど「結局普通って何よ」ってところね。ところでこの文章読んで、御手洗くんに彼女はいると思いましたか?無意識に「何となく冴えなくて彼女なんかいたことない」と思ってしまわない?


しかし、普通のアメリカの高校生ならサニーサイドアップよりスクランブルエッグが好きかもしれないし、彼女がいるのが当たり前かもしれない。普通に放課後は友達とバスケットボールに興じたり彼女と次の夏休みの計画を立ててるかもしれない。しかしそれも「ごくごく普通」と言えば、アメリカでは普通かもしれない。


タワマンで生まれ育っていたら「普通は年1くらいで海外旅行に行くものでしょ?」とか思うかもしれないし、宮城県民なら「河原で芋煮会やるのは普通だよね?」となるし、雪国なら「積雪3センチとか普通ザコだよね?」となる。人の数だけ地域の数だけ国の数だけ「普通」は存在する。


そろそろ何が言いたいのかということなんだけど、「普通」ってとっても便利な言葉なんだよね。細かいキャラクター設定しなくても、読者で勝手に読者の中での「普通」を当てはめてくれるから、ある意味感情移入しやすくてWeb小説としては正攻法なキャラクター設定なんだと思う。


その代わり、読者にキャラクター設定をある程度任せることで作者のコントロールが完全にできないという事故が起こりがち。たまに「このキャラはこういうはずなのに!!」とお怒りのコメントが来るとすれば、それは読者の感情移入にキャラを預けている影響かもしれない。


ちなみにこの「主人公を普通と言い切る」ことにメリットもあって、それはもちろん読者に感情移入をさせることが容易になるということ。「これは私の物語だ!」と読者が思ってくれた方がPVは伸びるし、人気も出る。それにこれは夢小説というジャンルでは必須の表現方法だろうし、かつてのケータイ小説でも頻繁に見られたやり方ですね。


実はこの「ごくごく普通」という言い回し、平均的なという意味より「取り柄がなくて目立たない」というマイナスな意味で使われることも多い。「なんの取り柄もない高校生だけど大活躍」と書けばいいのに何故書かないかと言えば、それはやはり読者の感情移入を考えてのことだと思う。みんな自分が「普通」だって思っていたいよね。


もちろんしっかり主人公をコントロールして物語を展開していくなら「ごくごく普通」で終わらせず、主人公が何者なのかしっかり作り込む必要はある。よくキャラの履歴書を作れ、というのがあるけどそういう作業が必要だよね。出来れば主人公はしっかり設定してほしいな。


さて、次回は上記した叩き台を使って「キャラメイク」について書いていくよ!何となく最初の文章をより良くするにはどうすればいいのか自分なりに考えてみよう!


今回結構真面目に書いちゃったけど、基本的にのんびりした創作エッセイなので気楽に書いていきましょう。

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