元魔王の仲間の修業期間⑤

 修行を始めて4か月がたったある日……


「これで始めてから4か月がたちましたけど、これだけで強くなるんですか?」

「基礎は大事じゃぞ? 基礎が全て、それを極めてこそ、応用が利くのじゃ」

「魔法の応用は魔法の数だけあるということですね?」

「そうじゃ。 基礎を極めれば、儂ができるようになってほしいこともできるようになるはずじゃ。」

「できるようになってほしいこと、ですか……」

「おほん。 やってほしいことは一つだけじゃ。 魔法の効果を“出す”のではなく、空間に”付与”することじゃ。」

「……どういうことですか?」

「目に見えるものではないがわかりにくだろうが、魔法はその魔法の効果を具現化して“出す”だけじゃ」

「それじゃだめな理由は?」

「その人の想像力に威力が左右されるからじゃ」

「威力が安定しないから良くないと言うことですね」

「そうじゃ じゃが、空間に”付与”することで、”出す”時と同じ想像力でも、威力が高くなるのじゃ」

「どういうことですか?」

「空間に”付与”というより、空間に存在する粒子に”付与”する感じじゃ」

「そんなことできます?」

「できるかと言われると、できるとしか返すことはできん」

「どうやったらできます?」

「簡単に言えば、空間を把握し、その空間に存在するすべての粒子に”付与”するイメージじゃ」

「というより、空間に“付与”ではなく,空間に存在する粒子に“付与”なんですか?」

「空間だと攻撃は一回しかできん じゃが,粒子は小さいし,空間に“付与”した時と同じ範囲でも、数が多いから,一回の攻撃で、連続に攻撃ができるのじゃ まあ、空間全体に影響を及ぼす魔法だと、その影響力が大きくなるのう」

「なんで連続で攻撃できるんですか?」

「例えば,この火球ファイヤーボール 形が円球だから、攻撃が当たるのに若干の遅れが生じる」

「だから、一回の攻撃に連続で攻撃できると」

「空間に存在する粒子一つ一つに“付与”するから、この火球ファイヤーボール火球ファイヤーボールが形作っておるのじゃ」

「で、それをやってほしいと……」

「そうじゃ」

「やるだけやってみます」


ーーーーーーーーー3週間後ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あれからできようようになったか?」

「少しずつですが……」

「どこまでできるようになった?」

「少しの範囲なら……」|

「なら、模擬戦でもするか?」

「成果を見せろというわけですね……わかりました、受けて立ちます!」

「期待しておるぞ」

「はい」


「始めようか、装備クイック、精霊武装」

装備クイック、大魔導師武装」

 辺り一体がピリつく

「最初の時より,上達したではないか」

「こそこそと練習しましたから」

「同時並行で修業とは……ストイックじゃな」

 森に静寂が訪れる……

 小鳥の鳴き声がこだまする……

 森に風が吹いた瞬間……

無色鉱物ダイヤモンド!トーム!」

粒子ナノ重力グラビティ!」

 二つの魔法がぶつかり合い、あたりに爆風が巻き起こる

「その技が修行の成果というわけか……面白い、量より質で攻めるとしようか……青鉱物サファイアフィスト

重力空間グラビティエリア

 青鉱物サファイアフィストが重力により地面に叩きつけられる

「ほ、ほ、ほ、今度は量、質どちらも併せて攻めるか、無色鉱物ダイヤモンド拳嵐フィストストーム

新星重力ノヴァグラビティ

 また、魔法同士がぶつかり、爆風が吹き荒れる

 その爆風により、森の木々が薙ぎ倒されていく

「さすがにここまでやれば大丈夫かのう……これ以上やったら被害が大変なことになるからのう」

「そうですね……やり過ぎました」

 そう言いながらミサキはヘロヘロと地面に座り込んだ

「ほ、ほ、ほちゃんと魔力調整しなければならんな」

「わ、忘れてました」

「忘れるとは……それぐらい成果を見せたかったんじゃな」

 だが、ミサキからの返事はない

「どうやら、疲れて寝たようじゃな……仕方ない、運んでやるか」


ーーーーーーーーー3時間後ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「なんでベットに寝かされてるんだ?」

「それは突然寝たからじゃ」

「で、どうでした、その……修行の結果は……」

「合格じゃ」

「やった」

 こうしてミサキの修業は終わりを迎えた


「ありがとうございました」

「お礼はいらんよ、おーそうじゃ! 渡しておきたいものがあったんじゃ」

「渡しておきたいもの?」

「これじゃ」

 それは一冊の本であった

「これは?」

「様々な魔法の組み合わせが書いてある『魔道統合書』というものじゃ」

「『魔道統合書』?」

「まぁ、困ったときに読むといい、役に立つぞ」

「分かりました、困ったとき読んどきます」

「で、これからどうするつもりじゃ?」

「適当に依頼を解決していきます」

「それじゃあ、気を付けるんじゃぞ」

「では、行ってきます」


 森を抜けた先には辺り一帯に草原が生い茂っていた

「まずは、依頼を受けるためにギルドでも行くか……それにしても、それなりに距離があるな……」


ーーーーーーーーー歩くこと1時間半ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「やっと着いた……ギルドに行く前に、まずなんか食べよう さすがに歩き疲れた」

 町に入ってすぐそこの食堂に足を運んだ

「入ったはいいけど、何を食べよう……メニュー見よ」


 メニュー

主菜

1.海老鹿のリゾット

2.蝸牛鰐のアーリオオーリオ

3.鴨蛇の焼き鳥

4.鯨鮫の蒲焼

副菜

1.緑トマトと白ナスのサラダ

2.赤キャベツと赤白菜の赤サラダ

3.木綿豆腐のおひたし


備考

すべてのメニューに米と白カボチャのスープが付きます

 

 と、メニューはこんな感じである

(さて、何にしようか……)

「すいません」

「はい」

 呼びかけるとすぐ店員が来た

「この鯨鮫の蒲焼と木綿豆腐のおひたしをください」

「わかりました、そのままお待ちください」

ーーーーーーーーー待つこと40分ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お待たせしました、鯨鮫の蒲焼と木綿豆腐のおひたしです」

「ありがとうございます」

 鯨鮫の蒲焼の醤油のいいにおいがする

 とても食欲がそそられる

「いただきます」


ーーーーーーーーー食べること50分ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おいしかった」

 鯨鮫の蒲焼、初めて食べたけど、触感は鰻に似てる

 おひたしはそのまんまの味だった

 さて、早く会計を済ませてギルドに行こう

「お会計は、銀貨6枚です」

 少し安い、全然払える

「これで」

「ありがとうございます」

 ささ、ギルドに向かって早く依頼を受けよう


ーーーーーーーーー1週間後ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そして時間は現在に戻る

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[2400PV達成]元魔王の勇者としての冒険 黒嶺瑠加 @takumi10gou

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